第30話
「王はご無事か!」
総司令官ゼルヴァンが問う。
「は!地下の避難部屋に御家族とおられます!」
「大臣や元老院の方々はどうだ!」
「は!城におられました何名かは地下に避難できました!しかし、城外におられた方々とは連絡が取れません!」
「誰が城内に避難できたか確認し、王にもお伝えしろ!」
ヴァルディア城。
外壁は所々崩れ、建物という建物が半壊し、瓦礫と化していた。
旋回していたレイバーンは投石の後、地上に降り立ち、まずは城外にいる人々を襲った。
その後、無数のレイバーンが城を包囲するように集まり始めた。
今は岩や瓦礫を掴んでは飛び立ち、弓矢の届かぬ高度から外壁へ投下している。
「くそったれめ……完全に遊ばれている」
窓からそれを見る総司令官ゼルヴァン。
レイバーンは本来、執拗に戦う魔物ではない。
相手を弱らせてから襲う習性を持つ。
「外の部隊はどうなっている」
司令室は攻撃を受け、一時麻痺状態に陥っていた。
「各方面、全く連絡が付かず、城壁からの情報では恐らく壊滅したかと......」
城内は避難民で溢れ、パニックに陥っていた。
投石を受け、重症の者も多い。
部隊も損害を受けた。
レイバーンが城壁の上から姿を現す度に、悲鳴が沸き起こる。
「城に残るのは僅か二十部隊......動ける者は何人いる」
「は!軽傷者含めまして160名ほどです!」
「レイバーンの数は!」
「当初八千から一万との報告でしたが、五千体前後かと!」
五千……
それでも、多すぎる。
絶望的だ――
ゼルヴァンは額に手をやりため息をついた。
勇者達はどこにいる.......
「ありったけの武器を避難民に持たせよ!」
国境線に配置する部隊が異変に気づき、すぐに出発していたとしても、今日中には帰ってこれない。
レイバーンども、夜は活動しないはず。
陽が落ちるまで、それまでにやつらは動く。
「総司令官殿!たった今、東の空に勇者セリーンのものと思われる炎が上がりました!」
「セリーン!ではこちらに向かっているのか!」
「城壁からは確認できません!」
セリーンが来てくれると心強い。
他の勇者も、生きていれば来るはずだ......
第31話に続く、
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