第28話
「リズ!怪我はない?」
アリアが抱き留めたリズに問いかける。
うん、と頷くリズ。
「アリア!」
駆け寄るセリーン。
アリアが振り向く。
「セリーン!」
「ごめんなさい!」
叫ぶように言って、セリーンはアリアに抱きついた。
「何で謝るの」
涙声で笑う。
――少し離れた場所にクレイスがいる。
(あの三人衆が、反応すらできず焼かれるとは……勇者とは化け物だな)
――――――
「あの耳......エルフね」
セリーンが黒焦げの三体に目を向ける。
リズが頷き、砂を浮かせ、宙に文字を書く。
(長老に騙された。アリアを狙っていた)
「じゃあ、私を攫ったのも......」
「それは違うの、アリア、話を聞いてくれる?」
セリーン。
頷くアリア。
―――
セリーンは全てを話した。
「そうなの......」
「で、その男を呼んでいい?今は私の "耳" になった。役に立たせる」
リズが心配そうにアリアを覗き込む。
「わかった。リズ、大丈夫よ」
セリーンは立ち上がり、
「聞いてるでしょ。こっちに来なさい」
と呟く。
馬で駆けてくる男。
アリアはその姿を見た瞬間、鳥肌が立ち、無意識に腹部に腕を回した。
「謝りなさい」
「アリア殿、申し訳ありませんでした」
深々と頭を下げるクレイス。
「あなたは仕事をしただけ......」
アリアが返す。
「これを」
クレイスが包み紙を渡す。
「消化が良く、栄養があります」
包を開くと、バーク村産の果物が入っていた。
「......気が利くじゃない」
セリーンが呟く。
「でもそんなんじゃ許されないわ。アリア、一発殴っとく?」
首を横に振るアリア。
「ありがとう、セリーン。"耳" さん、いただきます」
リズがアリアのお腹に手をやる。
静かに目を閉じ――
うん、と頷いた。
「これからだけど......」
セリーンが続ける。
「クレ...... "耳"、アリアを安全な場所で休ませて」
「アリア、二人にするのは嫌なんだけど、王都がレイバーンの群れに襲われているの」
「私も行くわ。バーク村も心配」
セリーン、リズと目を合わせる。
(もう帰る場所はない)
リズが描く。
「アリアは私が守る。行きましょう」
セリーンが続ける。
「 "耳" は何でもいいから、情報を持ってきて」
急ぎ立ち上がるセリーン。
アリアとリズもそれに続く。
第29話に続く。
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