第21話
「レイシアさん、木が低くなってきました」
「あぁ、どうやら森を抜けるようだ」
レイシアを左腕に抱え、疾走するテン。
「跳びます!」
右足で地面を強く蹴り、崖を飛ぶ。
木よりも高く飛び上がった二人の目に映ったのは、遥か先、空高く飛ぶ、真っ黒な鳥の大群。
着地したテンは、その勢いのまま走り続ける。
「今のは!?」
レイシア。
「鴉に見えました。かなり大きいですが」
「カラス?」
「ええ、もう一度飛びますね」
再度、飛び上がるテン。
そして着地。
「レイバーン......東に向かっているな」
レイシア。
「テン、嫌な予感がする。行こう」
――――――
ふらつきながら、屋敷から遠ざかりたい一心で歩き続けるアリア。
どのくらい歩いたのか、時間の感覚も距離の感覚もない。
「少し......休もう......」
大きな木がある。
「少しだけ......」
大木に背を預ける。
もう目も開けていられない。
......
誰かに呼ばれた気がして目を覚ます。
重たい瞼をゆっくりと開く。
目に映るのは、小さく霞んだ王都。
「何......?あれは......」
――――――
風魔法を使い、半径50メートルに渡る風を吹かせながらエルフの里を南下し続けていた。
風の感触を頼りに、アリアを探す、リズ。
エルフの森を抜ける。
目の前の景色が変わる。
見慣れないものがヴァルディア王都上空にある。
――――――
オルディスの屋敷から、エルフの里へ向かう。
倒れた草を頼りに、セリーンと、リオン。
「ずいぶんと蛇行してるね......」
「ええ、もう限界なのよ。これなら、思ったよりは遠くまで行けてないわ」
人の声が聞こえた気が。
アリア!?
二人が振り返る。
違和感に溢れた、王都が目に飛び込んできた。
――――――
それぞれが同時に、ヴァルディア王都の上空を見た。
黒く不吉な影を。
第22話に続く。
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