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『竜の子』 〜冒険者に憧れるおっさん全裸で異世界に転移する〜  作者: スメコ


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第20話

 


「皆!よくやった!」


 魔物襲撃の前線、ベルクハイムの北方、ヴァルディアとの国境線。


 照りつける昼前の太陽の下、ガルドとその部隊は魔物を押し返し、ようやく殲滅、勝利を掴んだ。


「この二ヶ月、よく耐えた。今夜はとことん飲もうぜ!」

 ガルドが勇ましく声を張り上げ、兵士達が応える。


「ガルド様の痣、かなり広くなりましたね」


 右膝から始まったガルドの痣は、手首の手前から上腕中程まで広がっている。


「あぁ、何体倒したか、数えきれねえな」

 そう言うと口を大きくして笑う。



「ガルド殿、あれを......」


 側にいた兵士が空に向かって指を差す。


「なんだあれは?」

 目を細めるガルド。


 北の空が黒く染まっていく......


 西から東へ。

 先細る巨大な三角形を描きながら移動している。


「あれは......鳥でしょうか......」

 単眼鏡を覗き込む兵士。


「鳥だと?」


 兵士がガルドに手渡す。


「鳥......とんでもない数だぞ......」



「あれは......レイバーンか?」


 レイバーンは比較的大きい魔物に分類されるが、個体数が少なく、群れも小さい。


 遠征でも一度飛んでいるのを見た限りだ。

 その時は驚異ではなかった......


 しかしあの大群。

 どこに向かっている......


「恐らくヴァルディアの中心に向かっていますね......」




「中心......王都か。俺は行く」


「ガ、ガルド殿!今回の魔物襲撃、ヴァルディアは援軍を寄越しませんでした!」


「俺は勇者だ。お前達は帰れ」


 そう言うと、ガルドは馬に跨った。



 ――――――



 レント村に到着し、"耳" との接触を試みるクレイス。


 一般人には聞き取れない高音の出る笛を取り出し、息を吹き込む。


 しばらくすると、一人の杖をついた老人がよたよたと近づいてきた。


 すれ違うその時、杖を落としてしまう。

 クレイスが親切に杖を拾おうと身を屈める。


「あるか」

 クレイスが問う。


「エルフの里、三人衆が出た」


 クレイスは杖を手渡し、老人はまた歩き出す。



(三人衆だと......?)

 激しい違和感。


 エルフの密偵。

 風魔法を使い、その姿、気配を消す。


 三人衆は特に、暗殺を専門とする部隊だ。


 それが里を出る理由......


 ヴァルディアの政局は安定。

 ベルクハイムは魔物襲撃の最中。

 他の国もエルフの里を狙うという情報はない。


 アリアか。


 リズが長老に話した頃だろう。

 あの長老が、ただ黙って匿うとは思えない。


 鉢合わせるとセリーン様も危ない。

 二人が合流する前に探し出さなければ。


 ふと、遠くに鐘の音が聞こえた。

 王都へ顔を向ける。


「なんだ......あれは......」


挿絵(By みてみん)


 第21話に続く。


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