第13話
ーーーーーー 4日前 ーーーーーー
早朝。
扉を叩く音で目が覚めた。
こんな早朝に......
不安がよぎる。
椅子にあった上着を羽織り、扉を開ける。
「リオン殿、早朝に申し訳ございません。衛兵隊です」
制服姿の衛兵隊が二人。
「実は、アリア殿の乗った馬車が発見されまして......」
「隊長がリオン殿もお連れしろと」
「何だって!すぐ行く。待っててくれないか」
「セリーン殿にも衛兵が向かっております。リズ殿は居場所がわからず......」
リズはすでに里に向かっている。
「わかった。ありがとう」
ーーーーーー
林道に立つリオンとセリーン。
「いったい......」
リオンが空っぽの馬車を見て呟く。
「今朝、通りかかった荷馬車が発見しました」
向こうで発見者とおぼしき人物が衛兵と話をしている。
どう見ても魔物に攫われた様子だ。
リオンは考え込む。
(この林道は夜間でも通行できる安全な道だ。整備され、街灯もある。不自然に道を塞ぐあの木。逃げたのであろう、背中を抉られた御者......)
「先日魔物が出ましたが、どれも小物だったと報告が」
衛兵隊長が話しかける。
(アリアもそう言っていたな......こんな場所に強い魔物が出るわけがない。それならば付近で大騒ぎになっているはずだ)
御者は痣持ちが多い。
引退した兵士や冒険者が就く。
(アリアが付いていながら簡単にやられるとは思えない)
それはあまりにも魔物の仕業だ。
そう、あまりにも......
引きずった跡は消えた老夫婦のものだろう。
血のついたアリアの服はあるが違和感を感じる。
魔物は、もっと雑だ。
ーーーさらわれたのか......
セリーンと目が合う。
「言わなくてもわかる。私も同じ意見よ」
ーーーーーー
アリア失踪のニュースはその日のうちに街中を駆け巡った。
翌日には王が懸賞金を発表。
ある者は単独で、ある者は仲間とパーティーを組み探し回っていた。
しかし見つからない。
「さらわれた。とすれば、あれは素人の犯行じゃない」
「そんな人間を雇えるのは、結構な権力者か裕福な商人ね」
頷くリオン。
「アリアをさらう。目的は何だと思う?」
セリーンが問いかける。
「そうだね......。ただの誘拐にしてはリスクが大きすぎる。世界中を敵に回すことになる」
「僕たちの話を聴いていた者がいたとすれば......」
ぞっとする。
宿屋は貸切。
主人と娘は気を利かせて買い出しに行ってくれた。
誰一人部外者はいなかった。
それに、目立つから窓からは離れて座っていた。
もっと警戒すべきだったか。
しかし、どこにいても目立ってしまう。
「あり得ないと思いたいけど......」
セリーンがリオンの目をじっと見る。
「それも考慮して探ってみましょう。だとしたら王都で囚われている可能性も高いわ」
「わかった」
二人は王都へ戻って行った。
第14話に続く。
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