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冒険者に憧れるおっさん全裸で異世界に転移する。  作者: スメコ


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第十一章



ーーーーーーあれ?


今、わずかに......音のような......


振動のような......


壁に頭をつけ、横たわるアリア。


壁から何かを感じ取った。



"考えろ......"


"考えろ......"




......あの男、悪魔のような男......


怖くない......


魔竜に比べれば......


赤子も同然......




あの男は雇われている......


だとしたら......



"聞いている" はずだ。


どこで......


どうやって......



さっきの音なのか、振動なのか......


どこから......


隣の部屋......


この向こう側......


泣き叫ぼうが、外には聞こえないと言った......



違う......


"聞いていた" としたら......



壁の薄い部分があるはず......



そこだけに音が通るように......



四つん這いになる。


人差し指の背で、壁を叩いてみる。


コンコン.......


コンコン......


"聞く" としたら、下ではないわ......


上から調べる.......



静かに立ち上がるアリア。



コンコンコン......


コンコンコン......



ビクッ


身体が固くなる。


もし、これを聞かれたら.......



いや、やるしかない。


一か八か......



もう一度鎖で繋がれた両手を上げる。

手の届く範囲を丹念に探る。


しばらくして、



コンコンコン......


コンコンコン......


コン、コントン.......



あった!



アリアの座らされていた椅子の近く、目の高さより少し上。




次はどうする......


壁を掘る......


道具はない......


道具は......


視線を落とす。


両手にはめられた金属の輪......



やるしかない。



思い切り壁に金属部分を打ちつける。

輪が手首にめり込む。


「いぃっっっ! たい.......」

最大限、声を抑えた悲鳴。


手首の骨に衝撃が走る。

涙ぐむアリア、


「ひ......ヒール......」


もう一度......


「あ"ぁ"ぁ"......」


「ヒール.......」


何度続けただろうか。


メキッ


骨の割れる音。


「んんんんんんんーーー!」


ヒール......


繰り返す。


繰り返す。


繰り返す。


............


ポロッ


壁の破片が落ちる。


やった!


やったわ!


次は......


ほんの少しだけ剥がれた壁に、手首の輪を引っ掛ける。


全体重を乗せて引く。


メリメリメリメリ......



「あ"ぁ"ぁ"あ"あ"あ"!」


手首の皮が剥がれる。


ヒール......


こんなに自分にヒールをかけたのは生まれて初めてだ......




繰り返す。


繰り返す。



ボロボロッ


ボロボロッ


壁が崩れ始める。



まだ手のひらほどの大きさだ。


今度はまた打ちつける。


両手を振りかぶり、何度も。何度も。


「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ......」


息切れし座り込む。


............


何とか身体が通れそうな穴を開けた。


覗き込む。


窓のカーテンがぼんやり光っている。

月明かりか。


夜だ。


暗い。


部屋だ。


テーブル......

椅子......


棚も見える......


あの窓から外に出られそうだ。


出る。


出て、逃げる。


つま先立ちになり、穴の下側に両手をかける。


んんんんんー!


全力で身体を引き上げる。


ガチャ


「ああ、ああぁ......」



四つん這いになりへたり込むアリア。


忘れてた......

私は壁に繋がれている......


冷静にならなきゃ......


壁に向かう。


んんん!


力を込めて引く。

ビクともしない......


後ろに下がり、思い切り引っ張る。


また......


やらなきゃ......


リオンは両腕を失っても強かった。


私も......やらなきゃ......やれる......


両手をすぼめ、勢いよく引く。


ガチャ

「ゔゔぅ......」


音と共にうめく。


「ひ、ヒー......」

思いとどまる。

治癒してしまっては意味がない。


時間がない。

今はいないだけかも。

帰ってくるかもしれない。


もう一度壁に近づき、後ろ向きに走る。


ガチャン!



もう一度。


もう一度。


何度悲鳴を上げただろうか。


もう一度。


もう一度。


............


ボキ


......悶絶。


声が出ない。


両手親指の骨が折れた。


キーーーンという耳鳴り、身体がガタガタと震える。


手の甲の皮膚は破け、骨が見えている。

血がボタボタと床を濡らす。



涙、鼻水、涎が噴き出る。


鬼の形相。


深く息を吸い込む。


さ......最後......


ヨタヨタと震える足を前に出し、壁に張り付く。



アリアは渾身の力を込め、後ろに飛ぶ。



ドンッ


激しく後頭部を床に打ちつける。


仰向けに倒れた。


痙攣する瞼を持ち上げ、揺れる眼球で天井を見る。



両手を上げる。

ぼやけているが......


抜けた......


痺れて感覚がない。


「ヒール」

か細い声で唱える......







第十二章に続く。







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