再会
あたしは、学校の屋上に向かった。
何も考えずに、ただひたすらに走った。
しばらく走っていたら、重々しい屋上のドアが見えてきた。
あたしはおそるおそるそのドアを開けた。
しかし、誰もいなかった。
辺りを見回しても人の気配が全くなかった。
・・・なんだ、誰もいないじゃん。
あたしがそう思っていると、
「千影、千影!」という声がした。
間違いない、この声は・・・宗馬だ。
あたしは振り返った。
そこには、学ランを着た姿が全く変わっていない宗馬がいた。
あたしはふと涙がこぼれた。
宗馬はあの時と変わらない笑顔を浮かべていた。
こっちまでも笑顔になりそうなくらい眩しい笑顔で。
彼はあたしに「久しぶり」と言った。
あたしも「久しぶり」と、そのまま返事した。
「はい、千影、プレゼント」と言い、渡されたのは、ガーベラの花がモチーフのペンダント。
あたしの誕生日だったわ、すっかり忘れてた。
「この花、可愛いだろ?この花言葉の意味を知ってるか?」
「知らない。」
「ガーベラの花言葉は、『希望』と『常に前進』らしいぜ」
あたしの心の奥にジーンときた。
今のあたしの目標を示しているように思えた。
「この花の花言葉のように、お前には、希望を持って、前に進んでほしいんだ。」
・・・宗馬が、あたしのしおれた心に水を与えてくれたようだと感じた。
「宗馬、ありがとう」
「気にすんな、お前が元気になったら、俺はそれでいい。」
「あたしはもともと元気だったよ。」
「何言ってんだよ、俺に会う時まで、死にかけだったじゃねーか」
「ピンピンしてたしっ!」
という他愛のない会話をしていた。
すると徐々に、あいつの体が消えていっていることに気が付いた。
もう二度と、会えないのかな・・・?
もう二度とこんな風に、会話をすることができなくなるのかな・・・?
「嫌だ!宗馬に会えなくなるのはもう嫌だよ!消えないでよ!」
「ごめんな、千影・・・俺、もう行かなくちゃ。」
「宗馬!行かないで・・・。」
「俺がいなくても、きちんとやるんだぞ。」
「待って!行かないで!」
「千影、今までありがとうな、もし俺が生まれ変わったら、また出会えるから・・・その日まで待ってて。」
「・・・うん、分かった、ずっと待ってるから!」
あたしは宗馬と指切りをして、そう約束した。
そして、彼は消えた。
遠い空の向こうに旅立ってしまった。
あたしは、どんなことが起ころうとも、希望を持って、前に進んでいくことにした。
だってそれが、あいつの願いだから。




