ある夏の日
~8月14日~
「みんな、バスケ部合宿お疲れ! 今日はしっかり休めよ!」
キャプテンである宗馬が言った。
バスケ部一同は勢いよく「はいっ!」と返事をした。
ちなみにあたしは、バスケ部のマネージャー。
夏休みの最初から今日まで、バスケ部の合宿があった。
毎日朝早くから夜まで練習漬けだった。
何日か他校の人が来ており、練習試合もしたなぁ・・・
ほとんどうちの学校が勝ったけど。
「いやー! やっと合宿終わったぜー!」
「明日から部活ないからゆっくりできるぜー!」
という声が聴こえてくる。
なんか微笑ましいなぁ・・・って思ってたりする。
「先輩のみなさん、お疲れ様です」
「おー、お前もお疲れー」
「宗馬先輩、お疲れ様です、とてもかっこよかったです!」
「おー、ありがとな!」
「キャプテン、脚大丈夫ですか?」
「あー、こんなの唾でもつけときゃ何とかなるって!」
「宗、後輩に心配されてんぞー」
「うっせー」
「あっ、そういえば俺、宿題全く終わってねー!」
「俺もだ!」
「俺も全然やってねー!」
「宗、お前は宿題終わったのかー?」
「宿題? 夏休み入る前に終わった」
「えっ!?」
あたしはつい驚きの声をあげた。
だって、あたしより先に終わってるから。
終わったことには変わりはないけど。
「どした?」と宗馬に言われたけど、あたしは「ううん、何でもない!」と返事した。
歩いていくうちに、みんなだんだん家に帰っていった。
今ここにいるのはあたしと宗馬を入れて5人だけになってしまった。
あとの3人は1年生。
正直言ってレギュラーではなかったけど、他の1年生よりがんばってる3人。
木村君と宮口君と、とても背の高い大倉君。
「キャプテン、千影さん、お疲れ様です!」
と3人に言われ、あたしと宗馬は目を合わせて笑った。
なんか、照れくさい気持ちとおかしさが込みあがったから。
それからあたしたちは、今日までの合宿の話をして帰っていた。
信号待ちをしていて、青になったのであたしが先に渡ろうとすると、かなりのスピードで車が来た。
「千影危ないっ!」と言われ、腕を強くつかまれ、他の3人がいるところに放り投げられた。
すると宗馬が、ものすごい勢いで車に跳ねられた。
あたしは思考が停止した。
あたしだけじゃない、他の3人も体が硬直していた。
あたしはすぐさま、宗馬のところに駆け寄った。
宗馬は血だらけの状態で横たわっていた。
「宗馬!宗馬!」と呼んでも声がない。
すると、宗馬の口がほんの少しだけ動き、あたしに向かって
「千影・・・無事でよかった・・・ 他の3人も無事でよかった・・・」
と言い、宗馬は微笑んだ顔で動かなくなった。
まるで、何も悔いはないとでもいうかのように。
あたしは声を上げて泣いた。
ふと、さっきのことがフラッシュバックされて、あたしは意識が遠く感じた。




