繋がり7 思いつきの暴走と、覚悟の話
少し
時間は遡って——
「というわけで」
「路上ライヴ、やります~♪」
「お~」
ヴェル「お~」
——ちょっと待て!?
ツナグ「僕は聞いてない!!」
カナデ「え~?
もう観念しなよ~?」
ヴェル「お前、男だろ?
ビビってんのか?」
ツナグ「そういう問題じゃなくて!!」
(というか——)
(ヴェル、お前それでいいのか!?)
(完全に巻き込まれてるだろ!?)
ツナグ「僕たちのこと
まだ何も知らないだろ!?」
ツナグ「それなのに
カナデのペースに
乗せられて——」
ヴェル「……」
「何が問題だ?」
ツナグ「……は?」
ヴェル「ヴォーカルとヴァイオリンが揃って」
ヴェル「路上ライヴの段取りまで
全部用意してくれる」
「最高じゃねえか」
ヴェル「むしろ
断る理由がねえだろ?」
(……こいつ、ノリノリだ)
カナデ「さっすが~♪
ヴェル鳴らし~!」
ヴェル「その呼び方やめろ!?
俺はヴェル・ナラシだ!!」
カナデ「じゃあ音ナラシ?」
ヴェル「……好きにしろ」
ツナグ「……なんでだよ」
ツナグ「なんで僕たちと
セッションする気になったんだ?」
ヴェル「……カナデの音だな」
カナデ「私?」
ヴェル「どんなに好きに鳴らしても」
ヴェル「お前のヴァイオリンが
全部まとめる」
「崩れねえ」
ヴェル「だから——」
ヴェル「俺は“全部出せる”」
(……それは、僕も同じだ)
(どれだけ自由に歌っても)
(どれだけ迷っても)
(カナデの音が——)
“こっちだよ”って、導いてくれる
(怖さが消える)
カナデ「えへへ~
もっと褒めてもいいよ~?」
ツナグ「……で?」
ツナグ「どんな曲やるんだよ?」
——スッ
二人同時に
楽譜を突き出してくる
カナデ「私の曲!」
ヴェル「いや俺のだ!!」
ツナグ「……歌詞は?」
——ピタッ
二人の指が
同時にこちらを指す
ツナグ「……いやああああああああああ!!」
カナデ「え~?
あれだけ書けるのに~?」
ヴェル「俺にあれだけ言っといて」
「逃げるのかよ?」
ツナグ「……」
(毎朝の神社とは違う)
(ここは——街のメインストリートだぞ!?)
ツナグ「失敗したら
終わりだろうが!!」
カナデ「だいじょうぶ~♪」
「君なら繋げる」
ツナグ「だから名前で遊ぶな!!」
ツナグ「……もしヘタな歌詞書いたら」
ツナグ「何言われるか分かってるのか!?」
(だったら——)
(いつもより、もっと考えて)
(もっと良い言葉を選んで——)
「そのままでいいよ」
ツナグ「……え?」
カナデ「何も考えないで」
カナデ「何も作らないで」
カナデ「いつも通りの
ツナグの言葉でいい」
ツナグ「……」
カナデ「それが——一番強いから」
ヴェル「……」
「逃げんなよ」
ヴェル「お前が出す言葉に」
ヴェル「俺は音で応える」
「それだけだ」
ツナグ「……」
カナデ「まあ最悪さ~」
「全部、私が責任取るし?」
ツナグ「——それは違うだろ」
カナデ「……え?」
ツナグ「カナデに被せるのは違う」
ツナグ「これは——」
「僕がやることだ」
カナデ「……」
ツナグ「本当に」
ツナグ「いつも通りで行くからな?」
カナデ「うん」
「それが最高~♪」
(……やるしかない)
(逃げ場は、もうない)
——なら
「やってやるよ」




