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こちら異世界派出所前。  作者: caem
season 4【冬】けじめなさい、あなた。
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第13話 ボスケテ!


 いつも、孤独だった。


「おまえ、ダークエルフだろ?」


 母から譲り受けた、褐色の肌艶と、長く延びた耳。

 父からは、キツイめつき(・・・)を譲り受けた。


「だったら、どうなのさ?」


 見た目だけで、差別されていた。

 ハーフエルフよりも、虐げられていた。

 次々と、罵られて、よく小石をぶつけられていた。


「「やーい、やーい! 呪いっ子!!」」


 ダークエルフというだけで、ひどい目にあった。

 ただ、彼女は、やり返すことも忘れなかった。


「シャランラ!!」


 そのひとことで、苛めを覆していた。

 魔術の申し子として──、皮肉にも、その才能を開花させていった。


「お母さん?」


 それは、ある日、いつものように。

 気持ちよく凱旋して、勝利の宴をあげようとしていた。


「今日の晩ごはんは、何かな~さ?」


 多少、傷跡が残ったものの、今回も返り討ちにしてやった。

 平屋という我が家へと、帰宅した。

 

「お母さん?」


 じとじとと、イヤな汗をかいていた。


「お母さん?」


 彼女の母親は、冷たくなっていた。


 即座に、腰がぬけた。

 身体中が、震えて、愕然として座り込んでしまった。

 そんな母親から最後に聞いた。


「負けないで……ね」


 たった、ひとことだった。

 それは彼女の指針となった。

 それは彼女の生きがいとなっていた。


 そして──、過去(・・)を捨てた。

 金星界という怪しい組織で、ありのままに。

 最強の魔女として、君臨していた。


 

「わたしは何者でもないさ!」


「メグちゃん!? どうしたんだよ!?」


「うるさいさ!! うるさいさ!! うるさいさ!!」


 やさしくされるたびに、どうしようもなくなる。

 やさぐれてしまった心に、ぬくもりが訪れる。


 いつも、冷たい雨に濡れていたのに。

 傘を差し出されるなんて──、ずっとなかったのに。


「何もかも消えてしまえさ……っ!! シャランラ!!」


 彼女は、最大級の魔法をつかった。

 隕石を落とすという──、レベルマックスの魔法を。

 ゴゴゴゴゴゴゴゴ、ゴゴゴゴゴゴゴゴ。

 空が、真っ黒になっていく。


「バッチ来いやあああっ!!」


 ふわふわの毛並みと、包容力には自信があった。

 遥か彼方から、落とされる隕石でさえも。

 やさしく、抱き締めて、ダクエルを受け入れる覚悟。

 それが、タカ(・・)の生きざまでもあった。


「いやあ~、よく、わかんないっすけど」


 トオルは、ひと安心していたが──、その状況は。

 ネオトキオ、そのモノを壊滅するほどだった。


 宇宙から、巨大な隕石が落ちてくる。

 それを、ただ呆然と、眺めていた。


「おいっ、タカ!?」


「ちょっ、タカさん!?」


 ユージとカオルは、トオルとは違って、真剣だった。

 ディズ⬜ーランドがなくなってしまう。

 それだけは、どうにかして欲しかった。


「アハハッ!」


 ネズミのマスコットキャラクターが笑っていた。

 そういえば彼も、魔法使いだった。

 そして──、その他にも、魔法学園の生徒と学長が。

 そして──、あの悪役(ヴィラン)たちでさえも、協力していた。

 

「「「とどけええええええええええっ!!」」」


 やがて──、みんなの願いは届いた。

 隕石は粉々になって、綺麗な打ち上げ花火になった。

 夜空をキラキラと輝かせ、轟音が鳴り響く。


「いいもんだろう?」


 いい男は、あまり語らない。

 生まれつき、それを知っていた。


「そうね……」


 いつしか、口ぐせがなくなっていた。

 ダクエルは、タカにやさしく抱かれながら。

 ようやく、救われていた。




「まったく──、どいつもこいつも……!!」


 金星界の真打ちは、苛立ちを隠せなかった。

 魔王様の出番はいらない。

 成り行きを見守っている場合ではなかった。


「甘酸っぱいのも、いい加減にしろ!!」


 その姿は、ネオトキオでも最強の存在だった。

 その姿は、誰にも見られたことはなかった。

 かろうじて──、魔王様にだけ。


 インビジブル(・・・・・・)

 完璧な暗殺者が。

 透明な世界の支配者が。

 いままさに彼らに、襲いかかろうとしていた。


「なんか……鳥肌がたったんすけど」


「鳥肌? さぶいぼ(・・・・)は聞いたことあるけど」


 トオルの直感は外れたことはなかった。

 ただ──、たまに外れることもあった。

 

「まあ、きにすんなよ」


「そうよ、気にしないで」


「相変わらずだな、トオルは」


 やがて、その身を、またしても。

 命を狙われることになるとは思ってもいなかった。

 ただ「ボスケテ」と叫んでいた。

 

  

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