第10話 勇み足サミー
ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!
盛大な破壊音が鳴り響いていた。
「こんなことが許されていいのか!? いや、いいはずがない!!」
激しく拳を机に叩きつけた。
そして、粉々にされた。
机には、なんの罪もなかったのに。
「我々の計画を、悉く邪魔するとか……じつにあり得んことだ!!」
大理石の机に八つ当たりしたとて、握りしめていた拳には傷ひとつつかない。
そこは一般人にも、警察官にも決して見つかりはしない、いわゆる秘密基地だった。
「ゴレムがいうにも一理あるが、ひとまず落ち着けさ」
「なんだと、ダクエル。じゃあ、お前ならどう出来るんだ!?」
「わたしなら、もっとスマートにできるさ」
「へ~、具体的には?」
「脳筋のアンタには、理解できないだろうさ」
「……なんだとおっ!!」
一触即発という四文字が、まさにそこにあった。
ゴレムとダクエルは、じつに相性が合わなかった。
「おいおい、お前ら。言い争ってる場合じゃあないだろうが」
「じゃあ、お前なら奴らをどうにか出来るってのかよ。デモンさんよッ!?」
三人の悪役が勢揃いした。
ゴレムは全身を金剛石で出来ていた。
光輝く巨体と、決して壊れることはない拳が自慢だった。
ダクエルは、生まれつき漆黒の身体に、長い耳と、黒い長髪で、いわゆるダークエルフそのものだった。
デモンは、まさしく悪魔そのもので、羊のような角と漆黒の翼を携えていた。
「そこに愛はあるんか?」
まるで、奈落の底みたいに、お腹に鳴り響く。
その声に、三人は即座に、とっさに跪いていた。
「「「魔王様……!!」」」
次に発されることばが恐ろしくて、三人とも黙るしかなかった。
「まだ、そのときではない」
魔王と呼ばれた者の発言は、空気を一変させた。
それはまだ、ネオトキオになる前に発足された犯罪組織。
暗黒と混沌を支配する組織──、警察からは金星界と呼ばれていた。
「まだ……慌てる時間じゃあないから」
「「「ラジャー!!」」」
その金星会の、魔王は、圧倒的な存在で。
たった、ひとこと話すだけでよかった。
((( ;゜Д゜)))
いつも通りに出勤した。
湾岸署にむかうまでの道のりで。
トオルは、まだヤバいことが続くのだと肌で感じていた。
数日前にあったことなんて、なかったかのように。
むしろ、これからが本番なんだと。
「最近、暇だな~」
「いや、マジで暇だよな~」
いつもなら、ふたりを叱る署長でさえ、ぼんやりしていた。
珈琲を飲み過ぎていて、助手のひとみちゃんだけがつらかった。
そんな感じで、せっかく、まったりとしていたのに。
「湾岸線で事件が発生しました! 至急、応援を!」
ドカン、ドカンと鳴り響く。
それは犯人による、爆弾の音だった。
レインボーブリッジという名所が、破壊されていく。
「いってきます!」
トオルは、ふたりの刑事に無理やり連れ出されていった。
そして、かつてないほどの、アクションシーンが待ち受けていた。
「ほうら、ドカーン!!」
ネオトキオ自慢のレインボーブリッジには、怪物がふんぞり返っていた。
見た目は、金色の怪物──、煌めく巨人だった。
「各部隊に告ぐ! 冷静に対応しろ!!」
それは湾岸署だけではなく、緊急要請された部隊にも通告されていた。
「了解!!」
スマートに、ワッショイして 当たって、取り締まる部隊。略して、S.W.A.T。
よほどの緊急事態にしか召集されない。
「集中して、撃てえええっ!!」
目映い。眩しい。目が眩むほど。
いわゆる、レーザーと呼ばれるモノだった。
近代科学の最終兵器だともいわれていた。
S.W.A.Tの、標準装備でもあった。
「はっ!! そんなもんかよ!!」
ゴレムは片手を振るった。
的確に、急所をとらえていたレーザーはそれだけで消失していった。
「そんなもん、効くかよ!!」
「だったら……こんなのは?」
「ぶげらっ!?」
タカとユージの両足が、ゴレムの顔面に叩きつけられた。
ついでに、トオルも、ここぞとばかりに。
それは、後世に継がれるぐらいの、連携技だった。
「トリプルアタック!!」
金色の巨人──、ゴレムの顔面に、タカとユージのぷにぷにの肉球と。
トオルのキックが炸裂した。
巨体は揺らめき、崩れ落ちた。
「まだ続くんだぜ?」
「ほら、立ち上がってこいよ?」
「こんなモンじゃあないんだぜ?」
「くそがっ、なめやがって……!!」
やがて、後悔することとなる。
勇み足サミーと、ゴレムは改名されることになる。




