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こちら異世界派出所前。  作者: caem
season 4【冬】けじめなさい、あなた。
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第10話 勇み足サミー


 ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!


 盛大な破壊音が鳴り響いていた。 


「こんなことが許されていいのか!? いや、いいはずがない!!」


 激しく拳を机に叩きつけた。

 そして、粉々にされた。

 机には、なんの罪もなかったのに。


「我々の計画を、(ことごと)く邪魔するとか……じつにあり得んことだ!!」


 大理石の机に八つ当たりしたとて、握りしめていた拳には傷ひとつつかない。


 そこは一般人にも、警察官にも決して見つかりはしない、いわゆる秘密基地だった。

 

ゴレム(・・・)がいうにも一理あるが、ひとまず落ち着けさ」


「なんだと、ダクエル(・・・・)。じゃあ、お前ならどう出来るんだ!?」


「わたしなら、もっとスマートにできるさ」


「へ~、具体的には?」


脳筋(・・)のアンタには、理解できないだろうさ」


「……なんだとおっ!!」


 一触即発という四文字が、まさにそこにあった。

 ゴレムとダクエルは、じつに相性が合わなかった。


「おいおい、お前ら。言い争ってる場合じゃあないだろうが」


「じゃあ、お前なら奴ら(・・)をどうにか出来るってのかよ。デモン(・・・)さんよッ!?」


 三人の悪役が勢揃いした。 


 ゴレム(・・・)は全身を金剛石で出来ていた。

 光輝く巨体と、決して壊れることはない拳が自慢だった。


 ダクエル(・・・・)は、生まれつき漆黒の身体に、長い耳と、黒い長髪で、いわゆるダークエルフそのものだった。


 デモン(・・・)は、まさしく悪魔そのもので、羊のような角と漆黒の翼を携えていた。


「そこに愛はあるんか?」


 まるで、奈落の底みたいに、お腹に鳴り響く。

 その声に、三人は即座に、とっさに跪いていた。


「「「魔王様……!!」」」

 

 次に発されることばが恐ろしくて、三人とも黙るしかなかった。


「まだ、そのときではない」


 魔王(・・)と呼ばれた者の発言は、空気を一変させた。


 それはまだ、ネオトキオ(・・・・・)になる前に発足された犯罪組織。

 暗黒と混沌を支配する組織──、警察からは金星界(・・・)と呼ばれていた。

 

「まだ……慌てる時間じゃあないから」


「「「ラジャー!!」」」


 その金星会の、魔王(ラスボス)は、圧倒的な存在で。

 たった、ひとこと話すだけでよかった。



((( ;゜Д゜)))



 いつも通りに出勤した。

 湾岸署にむかうまでの道のりで。

 トオルは、まだヤバいことが続くのだと肌で感じていた。


 数日前にあったことなんて、なかったかのように。

 むしろ、これからが本番なんだと。


「最近、暇だな~」


「いや、マジで暇だよな~」


 いつもなら、ふたりを叱る署長でさえ、ぼんやりしていた。

 珈琲を飲み過ぎていて、助手のひとみちゃんだけがつらかった。

 そんな感じで、せっかく、まったりとしていたのに。


「湾岸線で事件が発生しました! 至急、応援を!」


 ドカン、ドカンと鳴り響く。

 それは犯人による、爆弾の音だった。

 レインボーブリッジという名所が、破壊されていく。


「いってきます!」


 トオルは、ふたりの刑事に無理やり連れ出されていった。

 そして、かつてないほどの、アクションシーンが待ち受けていた。


「ほうら、ドカーン!!」


 ネオトキオ自慢のレインボーブリッジには、怪物がふんぞり返っていた。

 見た目は、金色の怪物──、煌めく巨人だった。


「各部隊に告ぐ! 冷静に対応しろ!!」


 それは湾岸署だけではなく、緊急要請された部隊にも通告されていた。


了解(ラジャー)!!」


 スマートに、ワッショイして 当たって、取り締まる部隊。略して、S.W.A.T。

 よほどの緊急事態にしか召集されない。

 

「集中して、撃てえええっ!!」


 目映い。眩しい。目が眩むほど。

 いわゆる、レーザーと呼ばれるモノだった。

 近代科学の最終兵器だともいわれていた。 

 S.W.A.Tの、標準装備でもあった。


「はっ!! そんなもんかよ!!」


 ゴレムは片手を振るった。

 的確に、急所をとらえていたレーザーはそれだけで消失していった。


「そんなもん、効くかよ!!」 


「だったら……こんなのは?」


「ぶげらっ!?」


 タカとユージの両足が、ゴレムの顔面に叩きつけられた。

 ついでに、トオルも、ここぞとばかりに。

 それは、後世に継がれるぐらいの、連携技だった。


「トリプルアタック!!」


 金色の巨人──、ゴレムの顔面に、タカとユージのぷにぷにの肉球と。

 トオルのキックが炸裂した。

 巨体は揺らめき、崩れ落ちた。


「まだ続くんだぜ?」


「ほら、立ち上がってこいよ?」


「こんなモンじゃあないんだぜ?」


「くそがっ、なめやがって……!!」


 やがて、後悔することとなる。

 勇み足サミー(・・・・・・)と、ゴレム(・・・)は改名されることになる。

 

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