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こちら異世界派出所前。  作者: caem
season 4【冬】けじめなさい、あなた。
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第9話 引いて楽しいアミダくじ


 久しぶりの休日だった。

 なんか、いろいろあった。

 寝室では、となりですやすやと寝息をたてていた。

 

 超巨大化した彼女、真凜ちゃんはトオルの横にいた。

 まるで、何事もなかったように。

 昨夜は激しかったが、いまではただの美少女で。

 緩やかに髪型を撫でたところで、目覚めはしない。


「ふわ~あ」


 だらしない欠伸がこぼれた。

 ひとまず、起きてから、トイレへと向かう。

 勢いよく、出た。 全部、流れていった。

 トイレットペーパーは、まだあった。


 手を洗って、うがいをしてから、キッチンに立った。

 冷蔵庫を開いて、さて、朝食を作ろう。

 どちらかといえば食パンと、ベーコンエッグだった。

 彼女が起きるまえに、それぐらいは準備したい。


「え~っと」


 熱したフライパンに、ベーコンを乗せて。

 何度かひっくり返して、たまごをパカッと割って。

 食パンがいい感じに仕上がっていて。

 紅茶の準備も出来ていて。


「おはようございまふ」


「やあ、おはよう」


 トオルは、ただ、幸せをかみしめていた。

 いま、人生のパートナーが、いることを。

 ふたりで仲良く、朝食を済ませることを。


「いってらっしゃい」


 まるで新婚生活みたいに、お出かけのキスをしてから、勤務先に向かう。

 ただ、それからが地獄だった。


「アミダくじ~、アミダくじ~、引いて楽しいアミダくじ~♪」


 先輩刑事達が、なんだか楽しそうにしていた。

 ホワイトボードに書かれていた線を、指先でなぞっていくと。


「ゴ~~~~~ル!!」


 その、ぷにぷにの肉球がたどり着いた先にあったのは、刑事の誰もが嫌がる仕事だった。


「はい、トオルちゃん。よろしくね♪」


 それは警察官として、当然の仕事であったが。

 異世界の住人を取り締まらくてはならなくて、じつにつらい業務だった。


「……交通課のしごとじゃあないのかよ……」


 とか、愚痴っていたら「基本だぜ?」とふたりに肩を叩かれた。

 ぷにぷにの肉球が、やさしくて、断れなかった。



(∪^ω^)(∪^ω^)



「はいはい、そっちに行ってください」

「はいはい、あなたはこっちに」


 ネオトキオという、この異世界では、とにかくいろんな種族が暮らしていて。

 見た目が凶悪であっても、実際には人間とも変わらなくて。

 ただ、言語だけは、なんとなく通じあっていて、犯罪もあって。


「そこの車、止まりなさい!!」


 また、いつものように違反者を追いかけていった。

 ただ、今回の相手はヤバかった。


「はあ? おまわり(・・・・)になんて、簡単に捕まるかよ!!」


 ふたり組のミノタウロス(・・・・・・)が、トオルに向けて、バズーカを向けていた。

 彼らは二流の犯罪者で、阿吽(あうん)と呼ばれていた。

 うまく見分けはつかないけど。


「くらえっ!」


「「ヒャッハー!!」」


 それは、バズーカが発射されるまえに。

 それは、拳銃なんて所持しないでいい。

 ふたりのあぶない刑事の奇声だった。

 

「先輩っ!?」


 やがて、あっけなく、阿吽(あうん)はお縄についた。



 

「またしても……」


 それは、どこかの、誰かの、独り言であった。

 

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