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第17話 戦闘服

「軽い、アハ♪ 身体が羽みたいに軽いわ」


 ワタクシ、今、テンションMAXですの、そう身体が軽い、昨日から始めたエーテルによる強化の効果も確かにありますわ。


 けど、それよりもお胸が軽いんですの♪ ……いえ、違いますわね……お胸の重量は変わってませんわ……ん? 何故なのでしょうか?


 えっと、エーテルによる強化? エーテルによる強化もお胸には何も効果はありませんわ。お胸は脂肪が主でしてよ? 骨格も筋肉もありませんから強化出来ませんわ。えっ? 萎んだ? 多少萎むのは喜ばしいのですけど、お胸が軽くなる程萎んでシワシワになるのはイヤですわ! ……いえ、多分大丈夫、大丈夫な筈……思い出しましたわ! 今朝も元気に揺れてました、ですから大丈夫な筈ですわ!


(あっ……そうですわ、揺れてないですわね……こんなに動いているのに揺れてませんわ! だからお胸が軽く感じたんですのね……)


 お胸が大きい、それ自体は女子の嗜み? いえ、違いますわね、例え小さくても女性らしい方は居ますわ。


 特にシオンとかもう……いえ、小さすぎはしませんのよ? ただ華奢な体形ですから、あの位が体形に丁度良くて、スッとしなやかな印象が……はぁぁぁ堪りませんわ!


 コホンッ、まあお胸が豊かなのは、女性として喜ばしい事では有るのですわ。ワタクシもお胸が豊かなのはそれはそれで嬉しい……いえ、小さいのが悪いわけではありませんわ。ワタクシはシオンの小ぶりなのも大好きですわ。


 うーーん、何と言ったら良いのでしょうか? お胸は大人の女性らしいシンボル的なものでしょう? ですから何と申せば良いのか……んん……大人っぽくてカッコいい?


 そうですわね、大人になれたようで、大きく成ったのは喜ばしいのですわね。そう……そうなのですけど……


 皆さん知ってますか? 大きいと痛いんですのよ……何のこと? ……ううっなんと説明したら……大きく成りかけの頃も痛かったのですけど、ワタクシが言いたいのは、大きく成ってからですわ。大きいと揺れますの!


 自慢? 違いますわ! 揺れて本当に痛いんですの……ダンスのレッスンは激しく動きますでしょ? ちゃんとインナードレスで固定してますのよ? それでも揺れると千切れる様に痛いんですの……


 ワタクシも大きく成るまで気が付きませんでしたわ。大きいのはカッコいいし、何となく鼻高々だったのですけど……身軽に動き回ったり、飛び回れませんの……ええ、お胸にこんな重量物がぶら下がっているのですから、動けば慣性の法則でお胸だけワンテンポ遅れて動きますでしょ? スポーツブラで固定して、更にインナードレスで固定しても、お胸が千切れそうに痛いですわ……ワタクシ、大きなお胸にこんな罠が有るとは思ってませんでしたわ……


 ワタクシのお胸は10歳位から徐々に大きく成って来ましたわ、最初の内は、コリコリして痛かったですけど、大きく成るのが嬉しかったのを覚えていますわ……


 侍女やお母様のような大人の仲間入りだって、それにこう、この国ではお胸を強調するお洋服が多いでしょ? お胸の有るほうがお洋服が綺麗に着こなせますの。


 ですから大きく成るのがとても嬉しかったのですわ……ええ、ワタクシ、完全に失念してましたわ……お母様があの大きさでらっしゃいますから、ワタクシもそれなりに大きく成るのは容易に想像できたはずですのに、そこが頭から抜け落ちてましたわ……


 どんどん、どんどん、成長していって今やこの大きさですわ。まだ成長してますのよ! 大きく成り過ぎですわ!! ワタクシはもう一寸小さくて構いませんのに!!


 途中までは良かったんですのよ? ここまで大きく成る前、そうですわね、アニスくらい? いえハンナ位が丁度良い大きさでしたわ。クララ位の大きさになってから、動くと痛いのが判明して、もう大きく成らないで下さいましと、神様にお願い致しましたのよ? なのに今やこの大きさですわ!


 動くと痛いでしょ? ダンスのレッスン以外は極力大人しくしていたのが悪かったのかもしれませんわね、何だか子供の頃よりも華奢になったような……いえ、あまり変わらないかしら?


 どちらにせよダンスのレッスンが本当の意味で苦痛でしたの。でもクララってばSでしょ? 自分だって大きいのですから、ワタクシの痛みは理解できる筈ですのに、激しいダンスを踊らせたがるんですのよ、酷いとそうお思いになりませんか? 絶対にクララはSですわ!!


 でもワタクシも色々工夫は致しましたのよ? 締め付けて潰せば、結構揺れなくはなりますでしょ? でもこれも良し悪しで、余り締め付けると今度は息が詰まって苦しいのですわ。


 スポーツブラを二重にしたり、インナードレスの素材や構造を、色々工夫して頂きましたが、動き辛く成ったり、息苦しかったり、通気性が無くて蒸れたりと中々……冬場はそれでもまだ良いのですが、暖かくなって来た今時分ですと、もう……ね。


 でも♪ 今朝、仕上がって届いた訓練用の戦闘服は違いますわ。ええ、とても! そうとても! 素晴らしい出来ですわ! 胸部のプロテクターの素材がとても素晴らしいんですの♪


 『衝撃吸収柔軟装甲』と呼ばれている新素材らしいのですけど、これが胸部前面をお胸にピッタリとフィットして覆っておりますの。肩辺りからアンダーバストまで広く覆っているのでお胸の重量は分散され、更に所々通気用のメッシュも組み込まれていて通気性も良いですわ。


 ハニカムメッシュで伸縮性の有る生地がベースなのですけど、空気を通して蒸れ知らず、吸汗性に優れていて速乾性にも優れ、耐刃性能にも優れているのに、これがまた適度に締め付けて、胸部装甲のズレを防いで……まさにジャストフィット! 素晴らしいですわ!


 そして何より『衝撃吸収柔軟装甲』ですわね、これは衝撃を受けると、その箇所だけが鋼よりも硬くなり、衝撃を跳ね返しますの。


 更にその他の箇所が柔軟に衝撃を吸収して、装着者にダメージを通さない、全く素晴らしい防御性能ですわ。


 けどこの素材の真髄はそこでは有りませんわ。『柔軟』そう、柔らかいのですわ。激しい動きに対しては硬く形状を維持、ゆっくりとした動きに対しては柔らかく追従する。


 分かりまして? お胸の揺れは防ぐのに、動きは一切妨げない、ちっとも息苦しくないのに、バッチリと固定なのですわ! もう巨乳女子の為の素材ですわ!


「何て素晴らしい素材なの……信じられませんわ、それにこんなに軽い……」


 なぜもっと早くこの素材に出会わなかったのでしょうか? でももう出会いましたわ! これが有ればダンスのレッスンが格段に楽になりますでしょ、素晴らしいですわ♪


「我がアシュリー侯爵家でも最近入手したばかりの新素材だそうですよ、お嬢様」


 今日はシオンもワタクシと同じ様な、戦闘服姿ですわ。着慣れた感が有るのは……ワタクシの知らないところでシオンは戦闘訓練を受けていたからなのでしょうね……本当にどうやって時間を捻出していたのかしら?


「なんでも、他国に大変お胸の豊かな聖女様が居られるとの事ですわ。その聖女様の為に、その御友人が開発されたのだそうです、素敵なお話ですわね」


 アニスが若干羨ましそうにワタクシの戦闘服を眺めていますわ。アニスの戦闘服の胸部装甲部分は革のような素材ですわ。決して悪い素材ではないと無いと思うのですけど、ワタクシの物に使われている素材の様な機能はないのでしょうね。


 アニスもお胸が豊かですものね、この素材はアニスだって是非欲しい筈ですわ……けどアニスの戦闘服も着慣れた感がありますわね……と言う事は、この素材はアニスが今着ている戦闘服を作った後で入手したのかしら? だってアシュリー侯爵家では侍女の着る物に関して、素材をケチるという発想は無いようですもの、有れば必ず使ってますわ。


「『全世界の巨乳美女に捧げるわ。その巨乳は私が護るのよ!』と情報を公開されているそうですわね。流石は聖女様のご友人と言ったところでしょうか、情報を非公開にして、その素材を独占して利益を上げようとする気が無いようですね。ただ製作の為の材料に高価な物もあるのと、製造技術に高度なものが要求されることもあって少し高価なのが難点ですわね……でも、やはり胸の大きな女性を中心に需要が高いようでございますね」


 クララの情報にある開発者の方の台詞だと、この素材の開発者の方は女性なのでしょうか? 聖女様の御友人……そうですわね、やはり聖女様ですから御友人も当然女性なのですわね。世の中には優秀な女性がおられるのですね。


 クララの戦闘服は元の戦闘服にこの『衝撃吸収柔軟装甲』の胸部装甲を新作して交換したのかしら? その部分だけが真新しいですわ。クララもお胸が大きいので早速取り入れたのでしょうね。有るのと無いのとでは動きやすさが段違いですもの。


「冒険者にはアンダーアーマーとして、この素材で急所を覆ったものが普及しつつあるようでございます、お嬢様。それに我がアシュリー侯爵家でも、戦闘服はこの素材を使用した物に順次切り替え予定となっております。今クララの身に付けている物が、試作最終段階のテスト用の品で、お嬢様が着てらっしゃるのが完成版の一番最初の品との事です、お嬢様」


 チェーンがそう教えてくれましたわ。ワタクシの物が最初ですか……


「ねえ、これは、普通の下着……いえ、ダンスの時のドレスに組み込めませんの?」


 戦闘服だけに利用するのでは、勿体無いですわ! ダンスの際には是非これを利用してお胸の動きを抑えたいのです、最優先事項ですわね。


「お嬢様、これは装甲でございます。装甲を付けたドレスは……中々難しいかと……」


 シオンが難しい顔してますわね、けどなんとか工夫出来ませんかしら……デザインを工夫すれば……若干厚みのある素材ですけど、そこはホラ……


「お嬢様、やはりドレスは可憐で華やかでございませんと……お胸の谷間から美しい肩に掛けてのラインで殿方を魅了するのも、ドレスとしての重要な役割りでございますでしょう……しかし……練習用で有れば可能かもしれませんわね、検討する様に手配致します」


 ダンスのレッスンは社交界へのデビューの為ですわ。社交界の舞踏会では女性はその華麗なドレスと魅力で、殿方を魅了する、それが重要視されておりますの。


 嫌らしい意味では御座いませんのよ? 魅了するだけで、特にお付き合いしたりは致しませんもの。婚約している方も大勢いらっしゃるので男女間の恋愛の為では御座いませんわ。


 ただ、殿方を魅了して、それが噂になりますと、それが貴族令嬢にとってのステータスになりますの。ダンスを申し込まれた人数が多い方がより魅力的な御令嬢だと、貴族令嬢としての価値が高まりますのよ。


 ですから仮にその御令嬢が婚約されていて婚約者の方がおられた場合、婚約者の方にとっては、ダンスを多く申し込まれる魅力的な御令嬢と婚約なさっている事は、誇らしい事として歓迎されますわ。


 だってそうでしょう? 殿方がみんな魅了されるような素敵な御令嬢と結婚して独占出来ますのよ? 男冥利に尽きる事として歓迎されておりますわ。


 またまだ婚約されていない御令嬢にとっても、社交界の舞踏会で、多くダンスを申し込まれる事は、その後の婚約者選びで、とても有利に働きますでしょ?


 ですから貴族令嬢はこぞって華麗で豪華な魅力的なドレスを着て、殿方を魅了しようと競い合っているそうですわ。


 ハンナの言うように、豊かな胸の谷間から、美しい鎖骨と首へのライン、大胆に露出したその美しく女性らしい範囲は、ダンスを踊る際に、相手の男性の視線を間近で釘付けにする為に、非常に重要視されておりますわ。


 でも練習用なら、相手はチェーンですもの、魅了する必要が御座いませんわ。今でもダンスのレッスン用のドレスはお胸を固定出来るように、その範囲は覆ってますもの。


「お願いしますねハンナ、でもこの戦闘服は本当に素晴らしい出来ですわ、なんて動き易いのかしら」


 ここまで動き易いと無意味に飛び跳ねたく成りますわ。


「ふふ、本当に嬉しそうですね、お嬢様。そう言えばお嬢様はパンツスタイルのお洋服は初めてでらっしゃいますね、それも有るのかも知れませんね」


 そう言えば、そうね。パンツスタイルはベニカ初かも知れませんわね。スキニータイプでピッタリ脚にフィットしたパンツは上半身と同じメッシュ生地で伸縮性もあって非常に快適ですわ。


 スタイルがモロに出ますけど、ワタクシ、美脚も自慢の一つですから何の問題も有りませんわ。少し細過ぎますけど、これは鍛えれば少しづつ太くなる筈ですわね? 筋肉が付くのですからそうですわよね?


 足元を固める戦闘用のブーツも履き心地が良いですわね、ヒールが高く無いのも非常に良いですわ。しかも軽くて柔軟性も有るのに、耐刃性能も踏み貫きに対する防御性能も高いそうですわ。


 本当に良く出来た戦闘服ですのよ、紅華の記憶に有る日本でのどんなスポーツウェアよりも優れてますわ。縫い目も折り返しが表に向いていて肌に縫い目が当たりませんわ。折り返した先の布の端末はお洒落にパイピング仕立てになっていて、これもデザインとして機能してますのね。


 ワタクシの戦闘服は濃い青色に装甲部分やパイピング仕立てが銀色でコントラストも美しいですわ。微妙に色を変えたり、所々黒が入ったりととてもスッキリした仕上がりですわ。アシュリー侯爵家の家紋の刺繍がワンポイントでしょうか、これを着ているだけで強そうに見えますわ。


 髪も今日は邪魔にならない様に、編み込んで後頭部に巻いているから頭まで軽い気がするのも良いですわね。紅華の記憶ですと縦ロールは……そうですわねこれからは戦闘訓練も有るのですからこの髪型で通しましょうか! そうですわ! それが良いですわ!


 侍女達の戦闘服はワタクシの物とほぼ色違いですわね。濃い青の部分が黒色、黒色の箇所がピンク色になっている以外は装甲素材を除けばほぼ同じものですわ。


 今日は頭にヘッドドレスも無いので、周りに居ると、女性騎士みたいに見えますわ。戦闘服がとても馴染んでいて、ワタクシの様に強そうに見えるのでは無くて、実際に強いのでしょうね。


「そうね、パンツタイプのお洋服も最も増やせないかしら?」


 そうパンツスタイルとても気に入りましたわ。紅華もパンツスーツが多かったですもの。ワタクシ、パンツが好きなんですわね。


「それは……旦那様や奥様に伺わないと、私どもでは判断できかねます、お嬢様」


 ううっ、そうなんですか? クララのこの言い方ですと、恐らく中々許可は出ませんわね。やはりパンツスタイルは貴族令嬢として相応しくないと思われているのでしょうね。


 せめて部屋着くらいはパンツスタイルを許可して頂きたいですわ……無理なのでしょうか?

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