雷雨(2)
この都市、東京では夜になると局所的に激しい雷雨に見舞われる。それが人為的なものなのか、はたまた偶然なのかまだ調査中である。そしてこの雷雨のなか雷に打たれれば人を襲う化け物、雨人になってしまうかもしれないのだ。雷の衝撃で脳がイカれ理性などなくなり、死ぬまで暴れまわる。しかし、雷に打たれても雨人にならなかった場合、特別な能力を持った雷人になる。佐藤は雷に打たれ雨人になってしまった。雨人になった佐藤に強化された肉体で殴られそうになるが
なんだ?佐藤の腕が止まったぞ?もしかして俺だって気づいたのか?
「佐藤!もうやめよう!きっとまだ助かる!」
「もう駄目だ…そいつは助からないぜ…」
足元の歯端が死にかけの声で語りかける。
「雨人のなったら、もう死ぬまで暴れるだけだ」
歯端が言い終わると、風を振り切り佐藤の拳が風間に直撃する。
「壁にぶつかる!」
ものすごい勢いで校舎の壁へと体が向かう。
死ぬのかここで?
壁に直撃する直前、突風が吹き衝撃を和らげる。
「痛ってぇ!」
また風だ。でも助かった。それに校舎もこんなに近くに、助けを呼べる!
しかし、佐藤が地面を蹴り上げると100メートルは離れていた距離が一瞬で縮まる。
もうここまで!今度こそやられる!
止まってくれ!そう念じると突風が吹き、今度は佐藤の体を吹っ飛ばす。
なんださっきから、もしかして雷人になったのか?俺が?
佐藤が距離を詰め襲いかかる。
「止まれ!」
また風か吹き動きが止まる。
やっぱりか俺が雷人になったのか。力を込めると風が出る。
雷人に憧れてた佐藤じゃなくて、なんでもない俺が。普通逆だろ…!
「モウ、ラクニ、カザマ、クン」
止まった佐藤が掠れた声で囁く。
「クソッ!なんで!」
「なんで!なんで!お前が…!」
突風を発生させ、佐藤をふっとばす。
「ア゛ア゛ァ」
地面に叩きつけられうめき声をあげる。
佐藤の足元から風が発生し、佐藤を上空へ持ち上げる。
「ごめん。佐藤。せめて楽に一撃で」
校舎の高さの2倍以上の高さから風で加速させながら。地面にたたきつける。
「やったか?」
たたきつけられた佐藤は動かない。
「ごめん…」
手を合わせると体から力が抜け、その場に仰向けに倒れ込む。
あぁ痛い。血が出てるし、骨も折れてるだろうなぁ。
そんなことを考えていると、近くまで足音が来ていることに気づいた。
あぁ誰かが助けを呼んでくれたのか。助かった。
佐藤だった。
落下の衝撃で右腕はなく、骨は折れ、満身創痍であったが、立ち上がり歩いてきたのだ。
「ヤバい、風!」
念じるも風はでない。
クソ。まぁ仕方ないか。頑張ったよ俺は。
諦めて倒れ込む。
あとは雨傘の人たちがなんとかしてくれるだろう。
拳が振り上げられたその時、拳が吹き飛ぶ。
「よく耐えたね。もう大丈夫だ。」
誰か来たのか?
雨水が固まり、槍のように佐藤の心臓を貫く。
「もう結構ボロボロだったな、歯端くんがここまでやれるはずないし、君かな?」
あいつそんな弱いのかよ。
「はい、俺です。」
「大分君もボロボロだし、治療しに行こうか」
「あっはい、お願いします」
雨水が集まり噴水のように体を持ち上げる。
あぁ助かった。温かい。
安心すると一瞬の出来事の疲れがこみ上げて気を失った。
目が覚めると知らない天井だった。
「あれ?ここは?」
体の痛みが消えている。
「おぉ〜起きたねぇ。意外と早かった。」
「あの、どのくらい寝てました?あと結構怪我してたと思うんですけど、いまどんな感じですか?」
「う〜ん。6時間とちょいってとこだね。ほぼ睡眠って感じ。」
「怪我はねぇ。もう全部治したよ。この私、姫路綾華がね。」
「そんなことができるもんなんですか?」
めっちゃいい匂いする。
「私の能力は再生。正確に言うとちょっと違うんだけど、他人にも能力が使えるから、そんな怪我すぐ治せるんだよね。」
能力もいろいろあるんだな。
「あの〜」
「あっそうだ!三波ちゃん!風間くん起きたよ〜」
そう言うと三波がカーテンの隙間から入ってきた。
「俺が起きるか心配してたのか?」
「そのままずっと寝ててもよかったのよ」
少し嫌そうな顔をして言われる。
「え〜三波ちゃん。風間くん運ばれてきた時、ちょっと泣いてたくせに〜」
「そんなことないです」
何故か俺に手の平がとんでくる。
「そうそう、風間くんは雷人になったわけだけど、雨傘に入るの?」
「入ったら、君の能力的にバンバン戦いに行かされそうだけど」
「俺は…」




