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秘密組織の序列十位は自称器用貧乏  作者: 使い捨て系鉛玉
二章 勇者
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二十三話 マイスターの暗躍②


テスト終わったぁ……!

……終わったぁ(泣)

勉強した化学より圧倒的に点数の高い現代文(ノー勉)

文転しよっかな?と考えたりする今日この頃。


という訳で更新再開します。

お待たせしましたすみません。


勉強しながらちらほらアクセスされてるの見てニヤニヤしてたり。


 



「学院まで走ろう」


 二人の少女、十六夜 来ノ未と未記 風雨花が逃亡を図り学院の方へと走っていく。


「行かせない」


 そんな二人を赤髪の女性が追いかける。女性が時計塔の壁を蹴ると、二人の居る場所めがけて弾丸の如く跳んだ。

 その凄まじい勢いにどんどん両者の距離が縮まっていく。

 しかしその間にヌッと割り込む影が一つ。

 はためく黒マントに白地の仮面。ハルカだ。


「行かせませんよ」


 快音を響かせて剣と剣が衝突した。

 押し負けたのは女性の方で、勢いよく民家に突っ込み土煙を巻き上げながら半壊させる。


「ケホッ……面倒ね」


 女性は悪態をつきつつも態勢を立て直すと再び二人を追おうとする。が、その度ハルカはそれをさせまいと進路に立ちふさがった。


 そうしてる間にも少女達は遠ざかって行き、やがて見えなくなった。

 二人が消えていった方を見つめ、女性は憮然と呟く。


「あーあ、残念ね。逃しちゃった」

「もう追いかけないので?」

「あら、良いの?」

「まさか」

「ふふ。だから、よ」


 言い終えるや否や、女性はハルカ目掛けて強く踏み込み、その勢いが全て乗った剣を叩きつけた。

 ハルカはそれを真正面から受け止めるが、その衝撃は女性の細腕からは想像もできない程に凄まじく、柄を握る手に走った痺れに仮面の内で顔をしかめた。


 鍔迫り合いの態勢のまま、女性が口を開く。


「それにね。実を言うと、今回の目的は勇者じゃないの」

「……ほう?」


 両者同時に剣を振り抜きつつ、お互い後ろへと跳ぶ。

 開いた数歩程度の間合いを詰める事もせず話を続ける女性の佇まいは一見突っ立っているだけに見えるが、いざ攻めようと思うとどこにも隙が見当たらない。

 膠着に陥った戦闘に、会話だけが続いた。


「昨日ね、私のお仲間が学院生に手傷を負わされたの。

 それも、勇者様でもなんでもない一介の学生に」

「それはそれは」

「その学生さん、黒髪だったらしくてね。それで勇者と勘違いして、襲いかかってまさかの返り討ち。

 ふふ、呆れるでしょ?」

「最近の学生は凄まじいですからねえ。

 なんでもS級の魔物と刺し違えた者までいるのだとか」


 とぼけるようにハルカが返すと女性は鼻で笑ってみせた。


「ラギアス家のご令嬢、ね。確かに彼女も凄まじいけれど、あの程度では駄目よ。あの二人を撃退するなら、あの()()()()()()の隊長様くらいじゃないと。

 それがどのくらいなのか、貴方ならよーく知ってるんじゃない?」

「……知りませんね。そんな部隊に所属していた記憶など無いですし」


 ねえ?と同意を求めるように尋ねる女性に、ハルカは間を空けて否定を返した。その声は先程までのとぼけるようなものとは異なり、どこか剣呑さを帯びている。

 その反応に笑みを深め、女性は頷く。


「そうね。貴方自身は正式な聖国の部隊の人間じゃない。けれど個人的な依頼によって聖女護衛を務め、邪竜さえ討伐して見せた。……ちゃあんと知ってるのよ?」

「……!」


 聞いて、ハルカは思わず動揺した。

 女性の話しているそれは、彼が聖女リマと関わりを持ったきっかけ。

 まさかこちらの自分(ミスターマイスター)の事が、それも二年も前の事まで調べられているなんて思っても見ず、余裕が剥がれてかけてしまっていた。

 なるほど、そういえばその話は噂になっていた。知り合いが本など書いてしまった所為で。


「知ってるの。貴方の本だって読んだし、王城でのことまで調べたけれど、その仮面の中身は知らないの。

 ねえ邪竜殺しの英雄さん?貴方の()()()()かしら」

「ーーー」


 どこまで知っている。

 その言葉を抑え込むのに必死だった。

 それでもなんとか余裕を取り繕って、ハルカは今一度誤魔化すように返答する。


「……私の事を良くご存知のようで。しかし生憎、私の瞳など見ても面白くありませんよ」

「もう演技なんて要らないわ。ここにいる時点で、いえ、入って来る事が出来たその時点で、昨日ルダと交戦したのが貴方だってわかってるのだから。

そう、今回の目的は勇者じゃない。貴方よ。

 ほら、お顔を見せて?勇者モドキのハルカ・ウィルノートさん」


 遂に女性は、核心を突いた。


「……ああ、なるほど、わかりました。いや、分かった」


 口調が変わる。切り替わる。

 ゆっくりと仮面に手が掛けられ、その内が露わになった。

 不機嫌そうな仏頂面に勇者と酷似した顔つき。そして何より、真っ黒な瞳。

 女性はしたり顔を浮かべる。


「ほら、やっぱーーーー」

「ーーアンタは、絶対にここで仕留める」


 言い切る前に、気がつくと、いくつもの光の矢が目と鼻の先に迫っていた。

 女性は話を打ち切って弾かれたように勢い良く後ろへ跳ぶ。

 標的を失った光の矢は石畳の地面を砕いて行き、あっという間に一面に巨大なクレーターが出来てしまった。

 その凄まじい威力を目の当たりにした女性はそれを回避した事に安堵しつつ視線をハルカへ戻す。

 すると視界に映ったハルカは目の前で剣を振りかぶっていた。


「ーーーな」

「吹き飛べ」


 いつの間に、と言わんばかりに目を見開いて驚愕を浮かべる女性に、ハルカは先程の再現のように勢い良く剣を叩きつける。

 剣を前に出すことで辛うじて防御が出来た女性だったが、空中では踏ん張る事は許されない。

 抵抗の余地もなく後方へ吹き飛び、いくつもの建物を超えて勢い良く王都の外壁に叩きつけられた。


 女性の体は外壁にめり込むと、崩れるように力なく地面へ落ちた。

 そこまで駆け寄り剣を突きつけながらハルカは近く。


「意識はあるか?」


 反応はない。気絶しているようだ。


「……尋問はエイナさん辺りに任せるか。俺下手だし。

 さて凍らせて手足を封じ……」

「させへんよ」


 ふと背後から子供のような甲高い声。

 次の瞬間、振り向く間も無くハルカの視界は真っ赤に染まった。



 ◇



 一方その頃。


 ヒュノは、走っていた。


「全くもう、初日でアタリを引くなんて……」


 ため息交じりについた悪態はあちらこちらから聞こえてくる轟音の元凶に対してのもの。


 彼女がハルカを嗅ぎ回っていたあの勇者二人から話を聞いたのは数分前。

 何も無いところからあの勇者二人が突然現れた時は驚いた。

 ハルカの言っていた結界の入り口とやらから漏れ出たのだろう怪しい魔力には思わず警戒したが、話を聞いてそんな考えは消え失せた。それどころかハルカが関わっている事にため息さえ溢れた。


 話を聞いた後、ヒュノは十六夜達に寮に戻るよう指示し、見つけた穴から結界へ乗り込んだ。

 あの二人が追って来れないよう入り口も塞いだ。


 そして現在、戦闘音を追ってこの王都に良く似た街中を駆けているという訳なのだが……


「……?」


 先程西の外壁より一際大きな音が鳴ったかと思えば、それきり衝撃音が止んでしまった。

 魔力を辿ろうにも先程から魔術が全然使われていなかったので戦闘が終わったのかどうかも分からず、魔眼を使ってもこの結界に入ってから辺りに妙な魔力が漂っていてよく見えない。

 結局何もわからないままとにかく外壁の方へと進んでいるのが現状だった。

 あの後輩の事だから死んでいないのは確かだが、きっちり敵を倒したかと問われれば彼ほど信用出来ない人間も居ない。

 あの運の悪さと悪運の強さはそれほどまでに凄まじい。


「敵の援軍に不意打ち、とかされてないと良いのですが」


 呟きながら屋根を蹴ると、先程音がした地点が視界に入る。

 そこに居たのは、()()()()()


 一人は外壁にもたれかかる赤い髪の女性。恐らく十六夜達が言っていた人物だろう。どうやら気絶しているようで動く気配はない。

 そしてその傍らにもう一人、幼い少女が立っていた。


「これでまだ動くんかぁ……」



 勇者の話には無かったが敵と見るべきだろう。

 少なくともその幼さは戦えない理由にはならない。

 何故なら少女が見つめるその先にはーーー


「……酷くないか? 後ろから、ハア、いきなりこんなモンぶっ刺しておいて」


 ーーー背中から槍を二本も生やしたハルカが、息も絶え絶えになって立っているのだから。


「ーーハルカッッッ!」


 案の定か、なんて思うより先に、ヒュノは駆け出していた。


「……ヒュノ?」

「あちゃーお仲間かいな。どうやって入り込んだんやろ。

 ()()()()()ようには見えへんけど」


 訝し気な少女の視線を無視し、ヒュノはハルカの下へ駆け寄る。


「大丈夫ですか?」

「大丈夫大丈夫。後ろから刺されるのももう二回目ゴホッゴホッ!……だし?」

「全然そうは見えませんが……」


 やけに良い笑顔で答えるハルカにヒュノは呆れたような目で見つめる。けれどどこか、ハルカの平気そうな様子に安堵しているようでもあった。


「そう思うんなら、ハア、あの着物着た幼女頼むわ。

 正体バレたまま逃して、ハア、どっか広まったりしたら俺もう引きこもるからな」

「ああ、バレちゃったんですか」


 そういえば仮面を着けていない事にヒュノはそこで初めて気がつく。


「学院で、ハア、『あの勇者モドキこんな事してた。ぷぷっ』とか笑われるくらいなら、ハア、まだイジメで血涙流す方がマシだ。絶対捕まえてくれ」

「分かりましたから早く下がって傷を治して下さい。目から出る血液なくなりますよ」

「あいよ」


「お話はもうエエの?」


 背後から少女の声がかかり、ヒュノはゆっくりとそちらに振り向く。

 冷徹なまでの殺意をその無表情に滲ませて。


「ええ、ええ、もう平気です。

 ところでそちらこそーー」


 突如空が白く瞬き、雷閃が少女めがけて降り注いだ。

 咄嗟に少女は横に跳んで逃れるが、衣の一部が当たり、焦げてしまっていた。


「ーー神へのお祈りはもう済ませましたか?」

「……イヤやなあ。信仰心なんか、千年前ドブに捨てたわ」


 次の瞬間、向かい合う二人の少女の姿が激突した。


テストが大変な事になっていた作者を嘲笑うようにストックが消えていたので更新は来週になります。

くそう、結構頑張ったヒュノとのイチャラブ回が……!

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