十三話 私達が、勇者!?
GWなのにあまり書き溜め出来なかった……。
さて休日が終わり、作者は中間試験一週間前です。
赤点回避できるかな?(白目)
今回は勇者サイドのお話です。
視点・来ノ未
銀髪の美少女に先導され、私達三人はとある建物の廊下を歩いていた。
この建物の名は、王立魔術学院。
才ある若者に魔術を教え、国を担う人材を育てる場所……らしい。
その廊下を、私達はただ無言で歩く。
「こちらが本日よりあなた方がお過ごしになられます教室に御座います」
とある部屋の前で、ふと促され立ち止まる。
教室、と言っていたが、覗いてみた限り高校の教室というよりは大学の講堂のようだ。
「ここで教員からの指示があるまでお待ちください。
また、その他至らぬ点がございましたらなんなりとお申し付けください」
そう言って、少女は来た道を戻って行った。
最初あの少女がこの下手な大学より広い学院の長だと知った時は耳を、いや、話を先に聞いていたので目を疑った。
見た目完全に小学生なのだが、なんとこの少女、私達より一つ年上なのだ。
道理で所作が子供らしくない。
恐らく何かしらの武道も嗜んでいるのだろう。
武人として観察すると、槍道八段の祖父よりも動きに隙がない。
照倉は何も知らずあの人形みたいな少女に見惚れていたが、なるほどこの世界、中々油断がならない。
思い返せば、城の連中も脅威でいっぱいだった。
◇
時を遡って召喚直後。
「ようこそお越しくださいました。勇者様方」
皆が呆けてしまっている中、私は前に出てきた青い髪の少女を見て、真っ先に表情を引き締めた。
あたりを見渡せば、騎士のような剣を持った男が三人と、ドレスを纏った美少女が二人。
そして何より、黒マントに黒いフードと全身黒ずくめの仮面男。
この異常性から思わず記憶を遡ろうと試みたが、こうなった事には結局なんの脈絡もなかった。
本当に突然教室がパッと光って、次の瞬間にはここに居た。
ならば最早思考は無駄だと悟り、警戒へと頭を切り替える。
その後、青髪の少女より説明が始まった。
少女は聖女様と呼ばれている偉い人らしい。この少女がまた目も覚めるような美少女だったものだから、男子どもが一人残らず見惚れて思考放棄を始め、先行きがかなり不安になった。
聖女様曰く、ここは地球ではない異世界。
私達は勇者として魔神とやらを滅ぼす為に魔術とやらで召喚されたらしい。
もうこの時点で話に付いて行けなくなったが、黒マントの男が出て来て魔術とは何か、とかを簡単に説明してくれたおかげで何となくわかった。
お伽話の魔法みたいなもので、私達にも練習すれば使えるのだとか。それを聞いて目を輝かせている人も居た。
こんな馬鹿げた話しだというのに聖女様も黒マントの男も決して嘘をついていないようだった。しかし、だからこそ少し不自然に感じた。
途中、集団拉致だ!などと憤慨しそうになる者も居たが、そもそも召喚を企てたのはこの国の国王で、青髪の少女は予知をしただけらしい。
そんな事を黒マントがやんわりと説明し、茶髪の美男子に頭を下げさせると、女子どもはすぐに大人しくなった。
逆に男子どもは金髪の少女に頭を下げられるとだらしない顔を浮かべながら引っ込んだ。
それを見て、呆れる前に安堵した。
相手が平和的に対処してくれたことに対して、だ。
早まって争いにでもなれば、この場の全員で掛かっても絶対に勝てない。そもそも相手が一般人だったなら、私は真っ先に制圧して情報を引き出していた。しかしそれをせず、こんな怪しい他人の話を大人しく聞いていたのは、相手があり得ないほどに強いからだ。
あの金髪の少女を除けば、その場の全員一人一人が恐らく祖父より強い。
茶髪の美男子はもちろん、聖女様のすぐ後ろに居た護衛らしき二人の騎士も、聖女様も、手元に槍があったとして勝つイメージが一切浮かばなかった。
黒マントとふざけた外見の男でさえ、だ。
というか黒マントの男が一番油断できない。私が警戒していることに真っ先に気づいていた。足踏みさえ見咎められた時は本当に生きた心地がしなかった。
聖女様からの説明が一通り終わったところで、扉から十人近くの人間が慌ただしく入って来た。
一人は身なりの良い中年で、他は槍と鎧で武装した兵士達だった。
この中年こそがこの国の王様らしい。
その後この王様からも色々と説明を受けたが、聖女様の話と食い違うところは全て嘘っぽかったので信用しないことにした。
◇
その後、与えられた一室にて寛ぐよう言われた。
喚び出されたのは深夜だったらしく、部屋に案内された頃にはもう空が白んで来ていた。
地球に居た時と半日もズレていて、生活リズムが崩れてしまいそうだ。メイドさんもこんな時間に起こされて私たちの部屋の整理なんて大変だったろう。
先程、耳の尖った金髪のメイドがパタパタ走って行くのを見てそう思った。
与えられた部屋に入った時は思わず呻いた。
日本の民家とは比べるまでもない程に内装が豪勢で、あちらでもそれなりにお嬢様だった私も遠慮を覚えた。
部屋にあった巨大なベッドに恐る恐る腰掛ける。
「わ……」
流石お城のベッド。とても柔らかい。
「ふわぁ……」
しばらく寝心地を堪能して落ち着くと、情報を整理する。
さて、とりあえず明確な敵は誰だろう。
あの剣聖様とかアリス王女のようなグレーゾーンはさて置く。
まず国王含むその他の重鎮らしき貴族達。
アレらは間違いなく敵だ。明確な敵意こそないが確実に碌でもない事を考えている。日本に居たような、父の財産目当てに私を攫った誘拐犯と同じ目をしていた。信用すれば道具として利用されるのがオチだろう。
あとは、聖女様と国王の話に共通して出てきた魔族とやらも敵と思っておいた方が良い。そもそも魔族が何なのかを知らないので時と場合にもよるが。
聖女様は……今の所良く分からない。
一応一切の偽りなく状況の説明をしてくれたように思えたが、嘘をつかずに行動を誘導するような人間は日本にも居た。例えば父がそうだった。
とはいえ敵意も打算も今のところ感じなかったので、あの一言も話さなかった護衛二人も含めて今の所は保留。敵対しても絶対に敵わない訳だし、触らぬ神になんとやらだ。
そして最後に、あの仮面の男。
ミスターマイスターなんてふざけた名前をしたあの男は、よく分からない、というよりは計り知れない。
表情やら体格やらが分からなかった分、現在確認している人物の中で一番情報が少ない。声もくぐもっていて、もしかしたら女性かもしれないのだ。
見た限り、武術の腕においてはあの剣聖とやらの方が上のように思えたが、そんな事ではあの男の脅威を完全に把握できた気がしなかった。
まあ、魔術とやらが実際にどんなものなのかもまだ分かっていないのでそれは先程挙げたどの人物に対しても言える事なのだが。
ともあれ、警戒しておくに越したことはないだろう。
と、そこで、ドアを叩く軽い音が三つ。
ノックの習慣はこちらにもあるようだ。
「イザヨイ様。国王陛下より今後の説明がございます。
半日後、日没の時に謁見の間にお越し下さい」
ため息をつきながら適当に返事して、ごろんベッドに突っ伏した。
◇
謁見の間に行くと、既に召喚された全員が揃っていた。
対して召喚した側の人間の中にはあの仮面男や聖女様の護衛らしき二人が居なかった。
代わりに眼鏡を掛けた金髪の男性が剣聖様や聖女様の隣に並んでいた。賢者様というらしい。
また、あのお姫様は別の人間達と国王の側で控えていた。その周りで彼女と同じような格好をした同年代くらいの少年少女がこちらを見つめている。
みんな金髪碧眼と同じ特徴と似たような顔立ちをしていることから兄弟なのだろう。
つまりあそこに居るの全部王子様と王女様か。
全然王様に似てない。王妃様がよほど美人だったのだろうか。それとも美人ばかり妾やらにとっていたのか。
……後者の方があり得そうで怖い。
「よく集まってくれた。勇者諸君」
馬鹿なことを考えていたら王様から話が始まっていた。
というかむしろなんで日没まで待たされた。
「なんか休んでたんだってさ」
それを話のタネにして小声で愚痴るように駄弁っていると、セナが答えてくれた。
昼間この子は剣聖様を探しながら城の中を散策していたらしい。
その途中でここにも訪れたが、「王様は現在お休みです」とメイドさんに追い返されたのだとか。
というかあの王様昼間に寝てたのか。
いや、私達の所為で夜寝ていないのは分かるが、それを言うなら私達もかれこれ丸一日近い時間寝ていない。
まあ私と違ってこんな場所でも安心して眠れる人は知らないが、少なくとも内政をサボるくらいなら徹夜くらい我慢しろと言いたい。大丈夫なのかこの国。
あの王様は警戒にさえ値しないのではと思えて来た。
「そして今後の事だが」
おっと重要そうな話に入った。
セナと互いに頷いて小声の雑談を切り上げ、話に集中する。
「諸君ら勇者には我が国が誇る学院に通ってもらいたい」
「学院……?」
誰かが聞き返すように呟く。
小さな呟きだったが聞こえたらしく、王様は大袈裟に頷いて説明を続ける。
「国をより良い物へと発展させる為にと取り入れた『教育』を行う施設の事だ。
主に諸君らに好評だった魔術を教えている。
中でも今回通ってもらうのは高等科。
他に中等科、初等科と、また高等科の上に大学院と一部の研究職の強い者が通う場所があるが、大学院以外は年齢的なものだ。家の都合上、高等科から通い始める者も少なくない。なので習熟度など気にせず安心して基本から魔術を学んで頂きたい。二学年のクラスに編入する手はずになっているので教えてもらうのもいいだろう。
とにかく、じっくりと、そしてしっかりと力をつけて欲しい。諸君らは我らの希望なのだから」
その話はそう締めくくられた。
感想としては、棒読みが過ぎませんか?と言ったところか。内容はまあまあ良かったのに、まるで他人のカンペを見ながらのようだった。
まあ必要な事が分かったからいいか。
「それはいつからの事なんでしょうか」
沈黙の中一人の男子がそんな質問をしていた。
確か、閧ノ宮くんだったか。私に興味を示さないまともな男子の一人だ。
確かにそういえば、学院とやらに通うとして、それはいつからになるのだろうか。どうせ後で確認できたが、今質問してくれて助かった。
「うむ」
質問を受けた王様はやはり大袈裟に頷いてーー
「明日からだ」
ーーツッコミどころ満載の返答をした。
◇
と、そんなこんなで翌日。
教室の前にて私達三人は中から呼ばれるのを待っていた。
他の人は別のクラスに行ったらしい。一部の人は学年さえ違うのだとか。なんでも良いのだが、この組み合わせは止めて欲しかった。
昨日から女に見惚れてばかりの照倉と、今ちょっと気まずい関係にある未記 風雨花とか、嫌がらせとしか思えない。
廊下だから大人しくしていると言うよりは、気まずくくて何も言えないといった感じだ。
一秒がとても長く感じられるこの時間は、教室の中からざわめきが聞こえるまでおよそ十五分も続いた。
『お入りください』と教室からかかった声が無駄に堅苦しかったが、そんな事を気にしていられる余裕さえこの時の私には無かった。
◇
教室に入ると、当然なのだが視線が私達に集中する。
若干の居心地の悪さに目を天井に逸らそうとすると、しかし次の瞬間、その視線が全て後ろを向いた。
本当に一瞬だけだったが、ついつい好奇心に駆られその視線の先を追ってしまうと、その原因が目に入った。
そこに居たのは、私達と同じ黒髪黒目の少年。
なるほどそれは注目を浴びてしまうだろう。
私達のような伝説とされている存在と同じ特徴であれば目立つに決まっている。しかもこの国では黒髪や黒目はが珍しいらしい。確かにここへ来るまでの道中にも黒髪の人間は見当たらなかった。
なんとなく悪いことをした気分になって目を逸らそうとすると、しかしその時、隣から聞き捨てならない声が聞こえた。
「……従兄さん?」
本当に小さな声だった。
しかし、隣の私に聞こえるには十分で、その内容は私を驚かせるのに十二分な物だった。
思わず弾かれたようにもう一度そちらを見る。
その黒髪の少年は、かつて行方不明になった私の親友に、本人としか思えない程にそっくりだった。
もしかしたら試験勉強始めるのでここ二週間更新が滞るかもです。
ストックがないこともないのですが、作者は夏休みの宿題を最終日にさえやらないタイプなので使い切るとエタりそう。
といった次第なので、しれっと投稿されてたら勉強サボってこっち書いてるということなので、ご冥福をお祈りください。
それもこれもGW中に書き溜めしてなかった作者が悪いんですごめんなさい。




