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彼女は野球を少し




試合は残念ながら、俺達の高校が敗れた。

まあ仕方ない。それに、公立で3回戦までいったことが充分凄かった。


「一応、挨拶しに行くか?」

山口は提案する。

「だな」

俺は同意する。


葉月は俺達の後ろにいて、ついて来る。


「お疲れー!惜しかったな!」

山口は野球部に話しかける。

中には涙を流している者もいるが、公立なだけあって少数である。


「くそーっ!勝てると思ったんだけどな!」

中田は悔しそうに叫ぶ。

「そうだな。俺も勝つと思ってた」

俺も同意する。


「井上ーっ!どうだった?」

中田は、俺達からちょっと離れて控えている葉月に声をかける。


「え!?あれ、井上!?」

「うわ、足細っ!」

「ボーイッシュ系なんだ!?」

「いや、前ワンピース着てたぞ」

中田は言う。


「そーゆー系も似合うな!」

「元がいいもんなー!」

野球部の奴らが次々に感想を言う。


それを聞いて、葉月は少し俺の後ろに隠れた。


「お疲れ様。充分強かったし、相手が悪かったかな」

葉月は俺の背後から答える。

「俺が打ったとこ見たか?」

中田は尋ねる。


「見た見た。野球上手いじゃん」

葉月は答える。

「だろ。今日、野球部の打ち上げがあるんだけど来るか?」

「いやいや、流石に関係ないからね。私、帰宅部だし」

「別に大丈夫だよな?」

中田は野球部の皆に尋ねる。


「いいぞー!女子がいた方が盛り上がるしな!」

「……」

葉月は後ろから俺の服を掴んだ。

「知らない人がいたら気つかうだろ。井上のこと知らない奴もいるだろうし、まず野球部関係ないだろ」

俺は答える。


「おー!井上来るか!?来ていいぞ」

そう声を上げたのは、顧問の先生だった。

「俺もいるから、健全だぞ」

先生は言う。

「因みに何食べるんですか」

葉月は俺の隣に並んで尋ねる。


「お好み焼きだ。……財布の事情でな」

先生は後者の台詞を小声で告げた。

「なるほど。こっちの2人も一緒にいいですか?それなら行きます」

葉月は俺と山口を指差す。


「まあ、いいだろ」

「じゃあ、参加で。隆臣もぐっちも時間大丈夫?」

葉月は俺達に尋ねる。

「ああ。いいぞ」

「じゃあ、先生、そういうことで」

「了解。今から学校に帰って軽くクールダウンを兼ねてキャッチボールとかノックするんだが、来るか?」

先生は尋ねる。


「混ざってもいいんですか!?」

葉月は嬉しそうな声を上げる。

「いいぞ。体育の先生から、キャッチボール上手いの聞いてるからな」

「やりたい!やりたいです!!是非!!!」

葉月の機嫌が一気に良くなった。


「お、本当に好きなんだな」

先生はくすっと笑う。

「じゃあ、学校の運動場でな」

先生はそう言って、野球部員達と共に去って行く。


「キャッチボール、行ってくる!隆臣とぐっちはどうする?」

葉月はルンルンで俺達の方を振り返り、尋ねる。

「一応、ついて行く」

俺は答える。

「うん。一緒にはしない?」

「そうだなー。俺は上手くないからなー」

「でも一緒にいてくれる?」

葉月は不安げに尋ねる。


「一応な」

「ありがと。ぐっちはどうする?」

「俺も行くー。暇だし」

「じゃあ、行こっか。軽く何か食べ物買って行こー」

「だな」


俺達3人はコンビニでおにぎりでも買い、食べながら学校に向かった。

(※自転車に乗りながらの飲食はいけません)


運動場に到着すると、野球部はもう帰っていた。彼らはそこで、昼食を食べていた。


そして、食べ終わった者から軽くキャッチボールを始める。


「やるーっ!グローブある?」

葉月は荷物を俺に預け、駆け出す。

「あるぞー!」

野球部の安藤がグローブを投げる。

葉月はそれをキャッチすると、それを左手に嵌める。


「どうだ?いけるか?」

安藤は尋ねる。

「うん!大丈夫ー!一緒にしてもいいー?」

「いいぞー!」

安藤は10メートルくらい離れて、ボールを優しく投げる。


「お!上手いな!」

何回か繰り返す内に、安藤は葉月にそう声をかける。

「少し、強くするぞ?痛かったら、言ってくれ」

安藤はもう少しだけ後ろに下がり、ボールのスピードを上げた。


葉月は難なくそれをキャッチする。

そして、さっきまで普通に投げていた葉月は、距離が離れたことで初めて振りかぶった。


様になっている。

そして、難なく安藤へノーバンで投げた。


「おぉ!」

見ていた野球部員達から、感心の声が上がる。


「まじか。やるな、井上!!」

安藤は声を張り上げる。

「ありがとー!」

葉月は嬉しそうに叫ぶ。


「井上ー!ノックするからキャッチするかー?」

本塁から先生が叫ぶ。

「やりまーす!」

「じゃあ、一塁の方に並べー!一、二塁間に打つからそれを捕ったら、こいつらに投げろ」

先生の近くに2人ほど生徒が立っていて、手を振る。


「はーい!」

「投げたら次は二塁の方に並べ!」

「了解でーす!」

葉月は返事する。


そして、ノックが始まった。


一、二塁間手前でバウンドするボールを、難なくキャッチする葉月。

「おっ!やるな!」

先生も感心する。

そして、そのボールを少し山なりに投げる葉月。

野球部のようにスピードは出ないものの、ノーバンで返球出来るだけで充分凄い。


それを五回ほど繰り返す。


「次、フライ行くぞー!井上捕れるかー!?」

先生は叫ぶ。

「やるだけやりますー!」

「その意気や良し!」

先生はそう言うとフライを上げる。


葉月は空を見上げながら、ボールを追いかける。


「っ!あーーーっ!くっそ!」

葉月はキャッチ出来ず、悔しい顔をし、落ちたボールを拾って投げる。


「一回休憩してきますー!」

葉月は悔しそうな顔をしたまま、運動場から下がる。

「お疲れさん」

俺は自販機からスポーツドリンクを買ってきて、葉月に渡す。

「ありがとー!」

葉月は受け取るものの、すぐに俺に返してきた。


「あー」

俺はキャップを開けて、渡す。

「ありがと」

葉月は礼を言い、受け取るとごくごくと飲む。

その喉元がエロい。


「ほら、タオル」

俺は飲み物とタオルを交換する。

「ありがとー」

葉月はタオルを受け取る。


帽子を脱ぎ、頭を拭き、首元も拭き、脇も拭く。


「暑いと余計疲れるねーー」

はーーっと息を吐く葉月。

そして、腰を下ろす。


「はー。休憩」

「足。足。閉じてくれ」

葉月は足を広げて座る。

「あー、ごめん。暑くて。汗かいたから気持ち悪ーい」

葉月は手でぱたぱたと仰ぐ。


「仰ごうか」

俺は葉月からうちわをもらい、仰いであげる。

「ありがとー。はー。助かる」

葉月は汗を拭く。

じっとしててもじんわり汗をかくのだから、野球をしてきた葉月は更に汗をかいている。


「ちょっとシャワー浴びたい」

葉月は言う。

「で、着替えたい」


「せんせー!ご飯何時からですか!?」

山口が叫ぶ。

「17時だ!一回帰るのか?」

「帰ります!お店何処ですかー?」

葉月が答え、店を尋ねながら、3人で先生の元へと向かう。


先生は店の名前と店の電話番号を教えてくれる。


「分かりました!その時間にここに行きますね!」

「おう!また後でな!」

先生は言う。

「じゃあなー!井上ーーーっ!」

部員達が手を振り、叫ぶ。


葉月は無言で手を振った。


完全に今日の出来事で、井上は野球部のアイドルと化しただろう。

バトンタッチの南ちゃんのようなものかもしれない。


「時間あるのか?」

俺は駐輪場に向かって歩きながら、葉月に尋ねる。

葉月の家は、学校から自転車で30分はかかる。


「俺ん家来るか?」

山口が提案する。

「え」

俺と葉月が聞き返す。

まさかの提案に驚いた。


「シャワーだけだろ?なら別に。1番近いし」

山口は答える。

「ぐっちの家に着くまでに服屋さんある?」

葉月は尋ねる。

「あー、あるぞ。しもむらがある」

「じゃあ、ぐっちの家がOKならお願いしよっかな。ちゃんと確認取ってね」

葉月はそう答え、財布を確認する。


「まあ、足りるかな」

財布を確認してる間に、山口は家の人に連絡を取る。

「OKだぞー!」

「ありがとー!途中、ケーキ屋さんに寄らせてくれる?」

「了解」


俺達は急遽、山口の家に行くことになったのだった。




タッチは勿論、ご存知、ですよね⁇

公衆電話からの告白は名言でしたね〜。

たっちゃんは勿論好きなんですが、監督が地味に好きでした。


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