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彼女は手を繋ぐ




「まじか」

俺は成績表を見て、思わず声を上げた。


期末テストが終了し、テストも全て返却され、貰った成績表を放課後皆で見せ合う。


「こんなもんだよねー」

葉月は苦い顔で呟いた。

思ったより順位が伸びなかったようだ。

だが、しかし。


「いやいや、十分だろ」

俺は言う。

前回128位だと言っていて、今回12位。凄すぎる。


「くそー。1桁狙ってたのに」

葉月はとても悔しがっていたが、笑顔で田原を見た。


葉月の腹黒い部分が少し垣間見える。


「ほら、やれば出来るじゃん」

葉月の成績表を見た本田がそう発言する。

「まじか。凄いな、井上」

同じように成績表を見せ合っていた中田も口を開く。

中田は16位だった。相変わらず賢い。


「見て見て。私も順位上がったー!」

松原が嬉しそうに声を上げる。

どうやら、20番ほど順位が上がったらしい。十分な進歩である。


「で、隆臣は?」

葉月は俺の成績表を覗く。

「こんなもんで悪いな」

俺は苦い顔で見せる。


「58位じゃん。めっちゃ上がってるじゃん。次は20位以内に入れるんじゃない?」

葉月は言う。

「間違えた所、見せて。それで対策立てる」

「めっちゃ上がってるって言ったって、はづ……井上には敵わないけどな」

俺は発言する。

やばい。日頃、文面では互いの名前でやり取りしてるので、つい言いそうになった。


「いやいや、ここまで上がるなら、まだ上がるよ」

葉月は、うーんと唸る。


「何でそんな上がるのよ。カンニングでしょ、絶対!100番も成績が上がるわけないし!」

田原がヒステリックのように叫ぶ。


田原は62位。少しだけ上がったものの、前と然程変わらなかったようだ。

そして、まさかの俺が勝ってしまった。


「カンニングと思うなら先生に言えば?」

葉月は堂々と答える。

「!言ってやるわよ!絶対おかしいし!!」

田原は息巻いて、栗原を連れて去って行った。


「……はぁ」

葉月はため息をつく。

珍しく、皆がいる前で。


「お疲れ様」

本田が苦笑いで告げ、彼女の肩を叩く。

「ほんとね。リカのせいだけどね」

「悪かったって。でも信じてたからさ」

本田は答えると、じゃ、と言って部活に向かう。

松原も本田と喋りながら教室を出た。


3年は夏で引退となるため、もうすぐで部活が終わってしまう。


「凄いな、井上。どうやって勉強したんだ?俺にも教えてほしい」

中田が言う。

「んー。どうやったんだろうね」

葉月は苦笑しながら肩をすくめる。

「私、短期記憶だからねー」

そう答える葉月。

あまり詳しく話したくないようだ。


「中田も部活でしょ?最後なんだし、頑張ってきなよ」

葉月は話題を変える。

「ああ。甲子園行きたいしな。試合見に来いよ」

中田は誘う。

「んー。そうだね。一回くらい見に行こっかな」

珍しい。俺は少し驚いた。


そんな俺の表情に気付いたんだろう。

葉月は理由を述べる。


「野球は好きだからね。夏は甲子園絶対見るし。するのも好きだし」

「へー!!」

中田と俺の声が重なる。


「誰か好きな野球選手とかいるのか?」

中田は尋ねる。

「えー、誰だろー。親がジャイアントファンだったから、何人かは分かるけど、そこまでかなー。野球の試合、特に甲子園を見るのが好きなの。別に好きな高校がある訳じゃないんだけどね」

葉月は肩をすくめながら答える。


「そーなのか。知らなかった」

俺は呟く。

「甲子園は遠いから、うちの高校の試合見に行く?暑いけど」

葉月は苦笑しながら提案する。

「来てくれ!」

中田が食い気味に声を上げる。


「……じゃあ、皆で行かない?隆臣もぐっちもさ」

葉月は今この場にいる男子に声をかける。

「いいぞ」

俺と山口が声を揃えて頷く。

「じゃあ、そういうことで。また試合の日、教えて」

葉月は中田に言う。


「なら、連絡先交換しようぜ」

中田は言う。

「……分かった」

葉月は仕方なさげにスマホを取り出し、連絡先を交換した。


「用事とかあるから、行けるかどうか分かんないからね」

「ああ。分かってる」

中田は頷く。


葉月はバイトもあるから、難しいだろう。


「じゃあ俺、部活行ってくるわ!」

中田はとても嬉しそうに向かって行った。後ろ姿が機嫌良い。


「んじゃ、俺も部活」

山口も去って行く。


そして、残った葉月と俺。


「12位は凄いな」

「まさか。1桁狙ってたのに」

葉月は肩をすくめ、俺の前の席に腰を下ろす。

「バイトは?」

「あるー。でも、隆臣成分補充したい」

「何だそれ」

俺は突っ込む。


「まあ、お疲れ様。打ち上げのお出かけ、楽しみにしててくれ」

「あ!何処行くの!?」

葉月は前のめりになる。


「とりあえず、オムライス屋と服屋は確定。服はショッピングモールに行こうと思ってる。でも、ちょっと遠い所行くぞ。電車で40分くらい」

「遠出するの!?楽しみ!!」

葉月が笑顔になる。その笑顔が本当に可愛い。


「名探偵ロナン知ってるだろ?」

「そりゃ、勿論。日本人なら義務教育でしょ」

葉月は答える。

「義務教育ではないが、まあ、俺達とほぼ同い年なようなもんだしな」

俺は苦笑しながら答える。


「よし。じゃあ、そのロナン展行こうぜ。赤い人好きなんだろ?」

「っ!行く!行く!!」

葉月は目を見開き、もっと前のめりになる。


「今ここに机が無かったら、抱きついてる」

「!何を馬鹿なことを」

「ほんとほんと。だって、ロナンも好きだもん。隆臣の言う通り、赤井さん好きだし」

「分かる分かる。俺も好きだ」

俺は同意する。

「じゃあ、私は?」

「好き」

俺は答えたあと、ハッ!とする。


「あ、いや、その、えーっと、好きってゆーか……」

俺は慌てる。

葉月は赤面しながら、俺を見た。


「策士め」

俺は照れ隠しにデコピンする。

「いて」

普通にぽろりと答えてしまった。


「私も好きだよ」

葉月は赤面しながらそう言った。

「待て待て。こんな流れで言いたくない」

俺は慌てる。

策士にも程がある。


「えへ。ごめん。ちょっと聞きたかっただけ」

葉月はえへへと微笑む。

「馬鹿葉月」

俺はまたデコピンをしようとしたが、手を掴まれる。


そして、そのまま手を握られる。


「……葉月。あんまり攻めてくれるな」

俺は顔を背けながら言う。

「何で?」

「俺の理性がもたないだろ」

「何何。どうなるの」

葉月はにやりとしながら、俺の手を持って、自分の頬に当てる。


「……何だその、可愛い行動は」

俺は葉月の頬を優しく撫でる。

「えへへ」

葉月は俺に身を委ねる。

「可愛いすぎるだろ」

俺は言う。


もちもち、すべすべの肌はずっと触りたくなる。


「ロナン展に行ったあと、俺の家に来るか?」

「行くっ!」

葉月は即答する。

「晩御飯は外で食べてから俺ん家にしよう。あんま長いこと居ても気つかうだろ?」

「じゃあ、お言葉に甘えてそうしよっかな」

俺はまだ頬を撫でながら、葉月の話を聞く。


「バイトまで送ろうか」

「いいの?」

「ああ」

「あ、たわ言シリーズの続き読むでしょ?」

「読む。読みたかった」

試験があったので、ずっと止めていたのだ。


「持って来てるよ」

葉月は床に置いてある鞄の中から取る為に、頭を下げようとする。

すると、必然的に俺の手から離れてしまうので、俺は思わず止めてしまう。


「ん?」

葉月は動きを止め、俺を見つめる。

「いや、ちょっと触っときたくて」

俺はまだ葉月の頬を撫でる。

その言葉に葉月は、ふふ、と微笑む。


「私の肌気持ちいい?」

「ああ。もっと触りたくなる」

俺の言葉にまた葉月は、ふふ、と微笑む。


すると、葉月は頬を撫でる俺の手を握り、ゆっくり頬から離すと、握ったまま鞄から本を取り出す。


「これならいいでしょ?繋いでたらいいじゃん」

「……そ、うだな」

俺は葉月の手を握り返し、本を受け取る。

どきどきする。

自分の心拍数が上がるのを感じる。


「行こっか」

「そうだな」

俺は手を握ったまま立ち上がる。


葉月も立ち上がり、手を繋いだまま、俺達は駐輪場へと向かった。




コナンはまあ勿論ご存知かと思いますが……。笑

赤井派と安室派で分かれるかとは思いますが、私は勿論赤井さん派です。

大好き、赤井さん。

「堕ちろ」名言でしょう(*´-`)

皆さんはどちら派ですか⁇⁇

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