13/31
世界は平和になったが、こいつは変わらない
世界は一応、救われた。
街は平和を取り戻し、人々は日常へと戻りつつある。
——ただし一部を除いて。
「この屋台全部気になるんだが」
「全部は食うな」
ハルキは王都の市場で立ち止まり、片っ端から興味を示していた。
(この串なんだ?このスープやばそうだな…あ、あっちの店も)
視線が忙しい。
クレアは呆れながらも周囲を警戒する。
「平和になった直後が一番危険なんだ」
「分かる分かる」
「分かってない顔だぞそれ」
ダルムは笑う。
「まあ、こやつは変わらんじゃろう」
実際、その通りだった。
世界がどうなろうと、ハルキの基準は変わらない。
「なんか面白そうかどうか」
それだけで動く。
だがその瞬間。
ハルキの動きが止まった。
「……あ?」
「どうした」
「今、なんか変な感じした」
空気がわずかに歪む。
誰も気づかないレベルの違和感。
だがハルキはそれを拾った。
(……まだ終わってないなこれ)
平和の裏で、
何かが静かに動いていた。




