↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうやら俺が乙女ゲームのヒロインらしい  作者: 柚みつ
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/178

繋がり始めた点

 どんなに生育状況が良くたって、これは明らかに異常だ。原因が分かっている分まだ対処の仕様はあるが、これならここで隠すように置いてあるのにも納得がいく。


「それで、ひとまずの結果なんだが」


 師匠の手には、一握りのスイサイ。それをぐっと力を込めるように握りしめ、開いたその手に乗っていたのは赤い花。


「スイサイは魔力を込めながら育てると花の色が変わる。花はそのまま、使えたよ」


 育ち切った花に魔力を込めても色が変わるのか、それとも師匠の魔力が桁違いだからかなのかは分からないけど、手にしているのは間違いなくさっきまでと同じスイサイ。

 白い花を隣にして見比べてみても、色が違う以外の変化は見当たらない。


「でも師匠、今のは」

「そうだね、これは育ち切った花に魔力を与えただけだ。初めにディオの魔力で育てた花から出来た種だからか、ここにある物は魔力を吸収しやすいんだよ」

「さっきの使えたっていうのは、具体的に」


 魔力を吸収しやすくて使える、となると思い当たる使い道は限られてくるんだけど、それでも確実にこれとは言い切れない。師匠が手に取ったのはただのランプ。魔力を込めた石を燃料として使うタイプのそれを持つって事は俺が想像した通りなんだろう。

 予想を裏切ることなく、本来なら石を置く場所に花を入れる。すると、瞬く間に柔らかく明るい光が漏れだした。


「魔道具の燃料として。

 他にも育てさせたけど、魔道具の燃料としてまで使えるほどの蓄えがあったのはディオが魔力を通したものだけだったけど」


 これは結果を見せる程度にしか入れてない、と言う師匠の言葉通りに、ランプの光は徐々に弱くなり僅かな点滅の後に光は完全に消える。残った花は少し触っただけでボロボロと崩れ落ち、そのままなくなってしまった。


「あたしも育てたのよ。頑張ったのに淡い色になればいい方だったわ」


 そこまで期待もしていなかったのか、リーンは自分の魔力でスイサイが色付くとも思っていなかったのだろう。簡単に自分の報告を済ませると、他に育てていた人物の一覧とその結果をまとめた表を見せてくれた。

 誰も鮮やかに色付くまでは育てきれなかったみたいだが、誰もがこの結果を見て言うのは同じ事。


「今までそんな報告なかったよな」

「ああ、だからこそ今後の取り扱いには注意しないといけない」


 報告があったのなら、今頃スイサイの栽培なんかは全て管理されているはずだ。

 街中ではさすがに見ないが、ちょっと奥の山なんかに行けば自然にある花だから目にする機会は多い。それが魔力を吸収して蓄えることが出来る上に、溜めた魔力を使い切ったら消えてしまう。なんて知られたら何に使われるかなんて分かりきっている。


「規格外って言われるディオくらいの魔力が必要だとはいえ、並みの魔法使いだって魔力切れ起こす寸前までを繰り返せば出来ない事はないからね」


 部屋を出るように促しながら告げた師匠の言葉、前半の自分がいとも簡単に花の色を変えて見せたことを棚に上げて俺の事を言うのはともかく、後半のやけにリアルな例えに引っかかりを感じた。

 本当に分かりづらいことするよな。というか、いつその事を知ったのやら。俺は連絡していないからユリエスかスカーレットか。

 スカーレットと言えば、情報を探ってみると言ったあれから、試験やらで慌ただしくて授業以外では会えていない。教師は長期休暇ってどうするもんなんだろ。


「さて、私は別の仕事があるのでこれで。リーンは引き続き管理をお願いするよ」

「お任せください!」

「バランが二人に会いたがっていたから、顔を出してくるといい」


 そうして、しっかりと鍵をかけたことを確認した師匠とリーンは足早に去って行く。

 リーンはともかく師匠の別の仕事っていうのはサボりの口実のような気もするけど、さっき王城からの使いが来ていたみたいだし今日はおそらく本当に仕事だろう。


「それじゃ、指名されたみたいだし」

「バランにもだけど、スカーレットにも休みのうちに会っておかないとね」

「だな。その前に昼飯にしないか」


 その提案に、ユリエスも賛成してくれたようだ。バランのよくいる研究室に向かおうとしていた足がクルリと向きを変えた。



お読みいただきありがとうございます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。