属性のお勉強
「さて、課題は終わらせてきたようだね」
結局五枚渡された課題は、それぞれの属性について調べる、というものだった。
光と闇についてはあまり知られていない部分もあるので二つで一枚、それ以外の属性は一枚ずつ。図書室が使えないので書けることはあまりなかったが、だいたいが紙の半分くらいを埋めてきたようだ。
「うん、図書室開いてない中でもよくやってきた。それじゃあ、これから説明するのは空いている部分を使って必要なところを書き込んでいくように」
書き込む、とブレア先生が告げたとたんに皆一斉にペンを持つ。その速さからもこの授業に対してどれだけ期待していたのかが分かる。
「最初は火と水の属性が多かったことについて。
だいたい、魔法を発現するときは自身の生活に密接していることが多い」
「生まれつき魔法を使える人もいますよね?」
「そう、多くはないけどいない訳じゃない。そういう場合は別だね。後から魔法が使えることが分かった人のほうがこのクラスには多いだろう?」
生まれてすぐに魔法を発動するのは王族か貴族に多い。そのため、このクラスには、という言い方をしたんだろう。
魔法は、体に無意識に取り込んだ魔力が自身の許容量を超えた時に発現する、と言われている。他にもいろいろと研究されてはいるが、今のところはこの説が有力だ。王族や貴族なんかは代々魔力の高い者が多い分、子にも引き継がれやすいってだけ。
俺も生まれつきの魔力量からどっかの貴族の血は流れてるだろう、って師匠に言われてるからな。
「火とか水は毎日の生活で使うことが多い分、それだけ属性に出やすい。農作業するなら土、風は自然の恩恵を受ける生活をしていたりね」
普通に生活していたら、かまどや暖炉に火を入れたり、井戸で水を汲んだりとその魔力に触れる機会がたくさんある。土や風も当たり前のように感じているが、魔力を取り込む量が少ないのか、属性が発現するまでに時間は、火や水に比べて長い。森で気配を読んだり、ひたすらに移動していたりすると早くなるんだけど、日常生活でその機会はなかなかない。
使える属性を自分から進んで増やそうとしなければ現れる属性はだいたい一つ、だけど魔法の力を込めた道具なんかもあるから、それだけ使えれば生活に困ることはない。
「ただ、光と闇についてはどう属性が発現するのか、まだ分かっていないことがほとんどだ。
だからこの二つの属性持ちの習熟は他より難しいがあらゆる面で重宝されやすい」
隣のウィードはいつも以上に真剣な面持ちだ。自分にわずかながらでも光属性があるからだろう、聞き漏らすまいと必死に書き込んでいる。このあたりの知識は俺も学んではいるが、ユリエスのほうがより細かい話ができるだろう。今度、機会を見てウィードに話を振ってもいいかもしれない。
魔法省にも光属性はいるが、回復が出来る魔法使いとして王宮や医務院にいることのほうが多い。深入りをするつもりなんてないが、ここで発掘できるなら使える人材として魔法省に紹介だってできるだろう。
「各属性のことが少しは理解できたところで、次はその属性ごとに使える魔法について学ぼうか」
手狭だから外に行くよ、と教室を出たブレア先生の後について演習場へ移動する。
「なあ、ディオいよいよだな!」
「そうだな」
「お、なんだ緊張してるのか。大丈夫だって演習場には魔法省の人たちが結界かけてくれてるっていうからな」
どの程度の威力で使うのだろうかと考えていたらウィードへの返事が適当になった。それをどうやら俺の不安定な魔力に緊張してると捉えたようで、緩く握った拳で、軽く肩を叩かれた。
その気遣いに緊張しているわけでもないのに、気持ちがすっと軽くなったような気がして口元が小さく笑みを描く。
でもな、ウィード。結界の強度については何も心配してないぞ。今、補強してるの俺とユリエス、それとスカーレットだからな。
そこにいるのに派遣する理由がない、なんて手紙を送りつけてきた師匠の顔なんて、想像するまでもなく笑顔だったんだろうな。
こういう説明って楽しいんですよね。
後から頭抱えたりもしますけど。
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