第十一話 兄弟
また、船が来た。
一五一八年、四隻。グリハルバという男の船団だと、後で聞いた。
前と同じだ。水を探して、岬を回って、浜に降りてきた。
前と同じように追い払った。
だが、前より数が多い。前より船が大きい。
俺が言った通りだ。次が来る。来るたびに増える。
——そして翌年、もっと来た。
一五一九年の二月。
コスメルという島に、十一隻が現れた。
十一隻。
俺が沈んだ船は一隻だった。ニクエサの船団は七隻だった。コルドバは三隻、グリハルバは四隻。
十一隻。
しかも、今度は違った。
報せを持ってきた男が、奇妙なことを言った。
白い肌の連中が、何かを探している。物ではない。人を探している。
この土地にいるはずの、白い肌の人間を探している。
俺は、座っていた場所から動けなかった。
数日後、アギラールが来た。
俺の家に来た。走ってきた。息が切れていた。
久しぶりに見た。
痩せていた。前から痩せていたが、もっと痩せた。髪が伸びている。肌は焼けて、俺たちと同じくらい黒くなっている。だが刺青はない。耳にも穴はない。
八年間、何も変えなかった男が立っている。
手に何かを持っていた。
手紙だった。
「読んでくれ」と俺は言った。
読み書きはできない。パロスにいた頃からできない。困ったこともない。水夫に字は要らない。
だが、今だけは少し困った。
アギラールが読んだ。声が震えていた。
船の長の名は、コルテスという。キューバから来た。この土地に囚われているキリスト教徒がいると聞いた。身代金を出す。来い。
アギラールが顔を上げた。
「兄弟。帰れるぞ」
兄弟。
あの檻の中で、腐った木を見つけた男。森を一緒に走った男。小屋で隣に寝ていた男。子が生まれた日に、十字を切った男。
「船が待っている。急がないと出てしまう」
俺はアギラールの顔を見ていた。
この男は八年間、この日を数えていた。あの膨らんだ本に爪で印をつけて、日曜日を覚えて、祈りの言葉を忘れないように毎日唱えて、八年間待っていた。
その八年間の全部が、今、この男の目に入っている。
「行けないんだ」
俺は言った。
アギラールは、聞こえなかったような顔をした。
「何を言っている」
「行けない」
「行ける。身代金は出ると書いてある。コルテスという男が——」
「俺の顔を見ろ」
アギラールが黙った。
俺の顔を見た。
顎から頬にかけて、黒い線が走っている。耳に穴が空いている。唇に石がはまっている。腕に蛇が巻いている。胸に模様が入っている。
この顔で、スペインの船に乗るのか。
この顔で、キューバの港を歩くのか。
この顔で、教会に入って、何の顔をして祈るのか。
「消せない」
アギラールが言った。分かっている。
「消せないんだ。これは、消せない」
俺はそう言ってから、家の奥を向いた。
子が二人、土の上で遊んでいた。上の子が三つで、下の子はまだ歩けない。
「俺には子がいる。ここに」
アギラールが子を見た。
あの顔だ。どちらでもない顔。俺にも似ていない。母親にも似ていない。
「この子を連れては帰れない。置いても帰れない」
アギラールは何も言わなかった。
しばらくして、手を開いた。
手の中に、緑色の珠が何粒か入っていた。硝子の珠だ。安物だ。向こうではただ同然の品だが、こちらでは値が出る。
「これを渡してくれ。子に。俺の兄弟がよこしたと言ってくれ」
俺はその珠を受け取った。
安物だ。光に当てると、中に泡が見える。ただの硝子だ。
握ったら、少し温かかった。あいつの手の温度だった。
奥からサシル・ハーが出てきた。
アギラールを見た。俺を見た。
何が起きているかは、分かっている。この女は、言葉を聞かなくても分かる。
アギラールに向かって、早口で何か言った。
俺は止めなかった。
全部は聞き取れなかった。だが、最後の一語だけは聞こえた。
シェーン。
行け。
アギラールは俺を見た。
まだ立っている。帰らない。
待っていた。俺が「やはり行く」と言うのを待っている。八年間数え続けた日の最後の一日に、一人で船に乗りたくないのだ。
俺は言わなかった。
八年前の檻の中で、腐った木を見つけたのはアギラールだ。あの男が見つけなければ、俺は生贄の石の上にいた。
だが、俺は行けない。
アギラールは背を向けた。
歩き出した。
振り返らなかった。
俺も追わなかった。
サシル・ハーが隣に来て、俺の腕を掴んだ。強く掴んだ。
子が泣いていた。下の子だ。何が起きたか分からないで泣いている。
俺は緑の珠を握ったまま、立っていた。




