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パゴスの町へ

全速力で走ること五分。

後ろを振り返りトロエの丘の方を見る。


「はぁはぁはぁ。ようやく撒いたか」


丘は既に小さく見え、追っ手も来てはいない。


「スーーーーーーハーーーーー、スーーーーーハァーーーーー」


くの字に身体を曲げ呼吸を整える。

左手には男性騎士から盗んだベルトが握られている。


街道の中央で息も絶え絶えの俺を避けるように通行人は歩いていく。


『スゲー目立ってんですけど!』


羞恥心にかられ、そそくさと街道を外れ茂みに入る。

暫く歩くと少し開けたところに出た。


盗品を確認するため座り、ベルトから金属の箱と例の皮袋を外す。

まずはずっしり重い皮袋を開ける。


五百円硬貨ほどの大きさの金、銀、銅貨が出てきた。


『どれほどの価値があるのか分からんが、これだけ有れば一日は大丈夫だろう』


お望みどおりの成果に満足しながら次の獲物(金属箱)を開ける。

箱を開けると魔法陣の書かれた金属板が敷いてあるだけ。


『なんだこれ……、空っぽだぞ⁉︎』


箱の底を見ると【マジックアイテムボックス】と彫られている。


『これはあれか、猫型機械人形が持っているポケットのような物か?』


恐る恐る魔法陣に手を伸ばす。


手は金属板を通り抜け広い空間に抜けた。


『おぉぉ、思った通りだ!』


手を動かすと物体に当たる。


その物体を強引に引っ張り上げると、携帯食やら水筒、服から野営道具、凝った装飾の剣、文字が彫られているナイフ、青色や緑色の液体が入った試験管が出てきた。


『やはり、あのポケットと同様の機能が付いているようだ』


出てきた物を確認すると試験管以外は認知できた。


『見るからに怪しい色をしている。毒か何かか……』


試験管の中身を確認する勇気が無いので、そっと道具箱アイテムボックスに戻す。


他の物も順次道具箱に戻し、服はサイズが合わないから捨てることにした。

ただ純白のフード付きマントだけは貰い、着替えた。


『これで少しは見た目が良くなっただろう。ありがとう騎士様、君のことは忘れない‼︎』


俺は白いマントをはためかせ、騎士に精一杯感謝しヘグニムのいる町へ向かう。



町を囲む白色の高い市壁とそれに取り込まれている大きな門が眼前に見える。

門は開放されているが褐色の肌で筋骨隆々の門番が来訪者の身分を確認している。


「パゴスの町に何の用だ?ん……、坊主は冒険者か?それならとっとと身分証を出せ」


「どうぞよろしくお願いします」


社会人としてのサガかついついお辞儀をしてしまう。


「このような者です」と名刺を渡すように丁寧に身分証を門番に渡す。

門番はそんな奇行に不審がりながら身分証を強引に取った。

身分証を舐るように見た門番は目を見開く。


「その歳でもうランク『B』か⁉︎とんでもない奴だな」



「はあ、ありがとうございます。それで町の中に入ってもいんですかね」

強い者には巻かれろ精神の俺は常に低姿勢だ。


「あぁ、通っていいぞ。問題を起こすなよ!」


「はい、それはもう任せてください!」


俺は謎の敬礼をして街の中に入った。

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