第二十話「高度な科学は魔法と区別がつかない」
設定練って世界作るのに時間がかかりました…(苦笑)
整理しても整理しても、次々に仕舞うものや捨てるものへの情が芽生えてしまって収拾がつかなくなることってあるよなぁ…
そんな時には無感情に半年使ってないものとそうで無いものに分けて使って無い方を捨ててしまえばいいんだぜ?
まぁ、なんでそんな話をするかといえばだな…レイラの周りに散在する書類の束と本の整理がまるで進まないからだな。
あのなぁ…イデアの文字列とか全く俺には読めないんだ、そんな奴に文字列の並びで並び替えて背表紙の見える様に置いてこいとか出来る訳ないでしょう?
「うっ…それはそうだったわ、言葉はどうにか翻訳する魔法があったから良かったのに、なんで文字の統一する魔法は見つからないのかしらね」
あいも変わらずの画面で申し訳ないけども時間は前回からあまり変わっていないんだ。
どうだろうな、まだ「文字」が普及してないからだったりして?未開発なんじゃね?
レイラの疑問にふっと思って返してみる。
「そんな訳…古代文字の体系分類だってもう百年も前に現代語訳が出来ているのよ? どっかに地方言語と中央言語の訳を自動翻訳する方法があったはず…きっと…多分…」
まー、それ自体が可能になるのとそれが誰でも使える様になるってのは違うからなーそれに…いや止めておこう。
「それにって何よ、ちょっと勿体つけて言うじゃない、良いわ。 貴方の思った事を言ってみて頂戴」
本当に大した事じゃ無いんだ、忘れてくれ。
「あのね、私は別にちょっとやそっとの事で誰かに怒鳴り散らす程度量が小さいつもりは無いわよ。と言うより気になるから早くして」
…本当に大した事じゃ無いぞ?
「はいはい」
「魔法」がなんでも叶えてくれる夢の道具だとは限らないんじゃないかってちょっとばっかし思っただけだよ。
正直に話したものの、そこからレイラはすっと黙ってしまう。
…ほらーやっぱり変な空気になった。
「いえ、言われてみればと思ってどれだけの事を今、魔法に頼ろうとしていたかと考えていたところよ、この分だと新しい仕組みを構築した方が早いのかも…」
なるほど? それは良いんだが、結局の所今は何を目標に書物に没頭していらっしゃるのですかね?
「暇潰しに…って冗談よ、そんな顔しないで頂戴」
俺は別になんとも思ってませんが?
「いいえ、分かりやすい表情をしてたわでも安心しなさい。自分の趣味に臣下を使う程耄碌してないもの」
それなら良いんだが…
「貴方が読めないから説明するとこの本は召喚した者にもこっちの世界の法則が当てはまるかって参考書よ」
ほーん? それで参考になりそうなんです?
「びみょーね。 事例が無い訳では無いけど、一時的に魔力を補充する為に精霊みたいなものを呼び出すとかしか無くて…人を一人別世界からってなると勝手が違うのよ、貴方実は土の精霊とかでは無いでしょう?」
精霊って…俺はただの人間だからなぁ、使えるのは農具とIT機器位だし
「だから困ってるのよー、事例が無いものを試して貴方にもしものことがあったら…この半年間の時間の試行と思考が無駄に帰すもの」
うわっ、それはまた難儀だな。
「でしょ? だから悩んでいるの」
我がご主人様もご苦労をなさっている様で、なによりだ。
「苦労ならいつもしているわ、それも生まれてきてからずっとね」
皮肉を混ぜたつもりだったがレイラは相変わらず書類に目を向けたままである。
うーん、異世界に召喚された自覚とか全然湧いてこないのだが、目の前の現実離れした美少女? の臣下にされたと…飲み会の与太話にもなりゃしない。
実はやっぱりこれよく出来た今流行りのVRゲームとかなんじゃね?
「因みにだけどタツヤ、貴方って何か特出して出来る事とか無いの? 経歴は?」
え、なんで急にそんな事聞いてくるんですかね…面接?
「いいえ、私の単純な興味よ。 参考書は差し当たって参考にならないし、丁度集中力が切れたからという理由では駄目かしら?」
俺もずっと暇という訳では無いんだがな…
「召喚してからまだ時間経っていないし、コチラの都合上呼べるのは一日二、三回までだから時間は有効活用したいじゃない?」
別に俺の事なんざ知ったところでと言いたかったが、矢継ぎ早にレイラの質問が先に飛んできた。
「貴方って…どんな世界に生きているの?」
ど、どんな世界…?それはまた変な質問だな。 俺みたいな奴にそんな事を聞いてどうする?
…言っておくが俺には学はあまり期待するなよ。
それでもいいわとレイラが返すのでおざなりだが「情報の世界」と俺は答えた。
「ふぅん…それはこの世界とあまり変わらないのかもしれないわね」
いやいや、イデアとは「情報」とは広がる速さが段違いなんだよ、俺も説明が下手なんだが…情報網を行き交う情報量とやり取りが誰でも出来るみたいな感じ…「インターネット」を省略して誰でもわかる様に説明したらなんとも曖昧になった。
「ふーん、それってどれ位早いのよ」
比較対象がイデアにあるのかが分かんないんだけど、一番早い運搬手段って何?
「そうね、手っ取り早く済ませるなら、早馬を頼めば手紙で伝えられるけれど?」
そうか…運送手段としてはまだ馬が最上位なのか…というか馬居るんだ。
「貴方、この世界を一体どんな世界だと思っているのかしら…?」
そりゃあ…こっちの世界で言うところの空想上の生き物がいるなんでもありの世界と期待はしてたが…そうでもないらしいな。
「あっ…そう言えば、帝国の研究所内で新しい技術でこれからは動物を使わなくともいい動力を考えているらしい話は聞いたわね」
最新の技術に何を使おうとしているのかは分からないが、
少なくともイデアの科学力は俺の居る世界とは離れているらしい…
「はぁ…どうにかして鉄から金を作ったり、天候を操れたり出来ないかしらねぇ…貴方の世界を覗いてみたけれどそれこそ魔法の世界じゃない?」
レイラの質問の意図が掴めない。
俺は魔法使いになったつもりは無いし、家は代々由緒正しい農家なのだが…どこに魔法の要素があるんだ…
「貴方が板切れと話をしていた事よ、何あれ貴方の国は板切れに魂が宿る国なのかしら?」
板切れ…あー、理解したわ。 確かにあれの理屈は俺にも理解出来ていない要素がたっぷりある。
「魔法の道具」と言っても過言では無いかもしれない。
「えっ、そうなの!? あの板きれどんな風に出来ているの! あれでもしかして遠距離の相手と会話していたの…?!ねぇねぇ教えて!」
急に木のテーブル越しに身を乗り出して来るものだから驚いた。
どうやらスマホで通話しているところを見ていたらしい…
レイラの予想は当たっている事を教え、現物を見せようと服のポケットへ手を伸ばしたが、伸ばした先には何も入っていない。
「あー、それね。 なんでか知らないけど服は持ってこられてもそれ以外のものは弾かれてしまうのよね〜なんでかしら…」
弾かれるって…じゃあ今俺の携帯はどこにあるんだ、元いた場所に放ってあるとかじゃないよな?
「た、多分…」
多分て、あれはあっちの世界で下手をすると命と衣食住の次に大事なものだぞ?
「えっ、たかだか遠距離通話が出来るだけの道具なんじゃないの?」
通話だけじゃない、調べ物や決済もそれ一つで出来る。
いわば…銀行と図書館と併設して遠隔で会話が出来るものって感じかね…例えが下手だと俺も思うが許してくれ。
レイラは要領を得るまでに少し追加で説明をした後で
「へぇ…イデアって面白い事を思いつくのね、その道具を一回見てみたくなったわ」と興味を示した様だった。
「…イデアの物には興味あるし…、私の当面の目標は召喚の魔法の研究ね…」
その為には俺の世界から身につけているものを持ってこれる様にしなくちゃいけない訳だな。
レイラは自信ありげに「任せなさい、私は一から貴方を召喚してみせたのよ、物の一つや二つ位運べる様にしてみせるわ!」と力説する。
ものが持って来られる様になれば何かとこっちの世界で物を売買出来るかもしれない…
家の畑で取れた野菜どもをこっちの世界で売れる様になれば…
「タツヤ、貴方はアンジュー家の内情を探りながらこの世界の勉強をして貰うわよ」
へ? 俺も何かしないといけないのか?
「あったり前じゃない! 貴方は私の臣下でこれから方々で活躍をしてもらうのだから、精々私を失望させない様になさい?」
ただ飲み物運んだり、資料を運んだり…掃除をする様な事だけしてるんじゃダメなんですかねぇ…
「だめよ、それ相応の対価を与えるんだからきびきび動いてくれると給料アップの交渉にもやぶさかじゃないわよ?」
まぁ農作業で虫やら天候やらと、格闘するよりかはまだマシかもしれない。
「そうね…一先ず周辺の周辺の住民や、あの分家の当主をこちらに引き入れられたらにしましょう、それがいいわ」
前言撤回、無理だ。 情報が少なすぎる。
「そこはほら…イデアの経験とかでなんとかなさい」
頭の片隅で今元の世界で何をやっていたかをすっかり忘れていたのは内緒だが、こっちの世界でもそこそこまあまあに
忙しなく働くことになりそうである。異世界も中々にハードモードの様だ…
次回へ続く!!




