第十一話「内心と確信」
子供に読み聞かせるハッピーエンドの物語の様にならなかった話は幾らでもある、
俺が巻き込まれた話だってそうだ、契約だかなんだか知らないが一度変わって固まったものを戻す事は出来ないんだよ。
茹で卵を氷水で冷やしても元には戻らない、つまりはそーゆー事だ。
無双や下克上を期待していたのなら残念だが俺の物語にそんなものは登場しない。
全てが上手くいくなんてそんなものはつまらないじゃないか。
「それじゃあタツヤ、地下のやつは任せちゃっていいかしら?」
おう任せてくれ、レイラがわざわざ出張る事じゃない。
分かったわと返事が返ってきた。
それにしたってどうやって国をひっくり返すつもりなんだい?
「そうね…一番なのは軍事力で制圧するのが後々禍根を残さないで良いんじゃない?」
今の状況から考えるに一番選択肢から外れて来るんじゃないか、俺たちまだ二人だぞ?
それもそうね…でもやっぱり四大貴族の篭絡は前提条件なのよ。 いつまでも机上の空論を捏ね繰り回すわけにはいかないわ。
軽く息を吐いてレイラは目の前の長机に何か古い紙を広げる。
「この城は国の南方にあるって話はしたわよね、今日は簡単にこの帝国について説明していこうと思うわ」
俺にそれを理解できる頭があれば良いんだが…
「大丈夫よ、その為に地図も持ってきたんだから。
ま、ここが使われてた当時のものだから若干古い情報だけどそれは許してね」
古い地図…触った感触がざらざらとしたものなので恐らく羊皮紙で描かれているのかもしれない。
「帝国の発祥の地は、北西部の都市シャスフィーサク、都市国家としてスタートしたわ。」
都市国家…つまりは最初の領地は狭かったわけか
あまりに長々とレイラの話を要約するとこんな感じだった。
今の帝国は半島の付け根から平原までの大陸の中央に位置する一大帝国である。
西方と北方をを山地に囲まれてているので滅多な事では敵対する勢力が侵入して来ない…とか必要にならないであろう帝都の観光名所などを話してくれた。
なんで自分の国の事そんな詳しいんだこの人、え
何?帝国の事なら何でも聞いてって…?
なんでもっていうんならレイラさんの…何でもないです魔が差しただけなんです許してください。
「私の個人の事よりもっと為になる事を聞いたらどうなの?」
そんなに睨まなくても良いじゃないですかー、やだなー
「言っておきますけど、召喚された者と召喚した者の魔術的な優先度は歴然ですからね? 目に余る行動をする様なら制約を課すのもやむ得ないんですよ?」
魔術ねー、そんなもの有るわけないだろと言いかけてそもそも論に辿り着いた。
この世界ってなに、魔法が存在するの?
「存在はするわよ、ロストテクノロジーに近いけど
大体の人間が素質はあるわ、でもそんな便利なものって訳でもないの」
なるほど? 俺のイメージする呪文を唱えればあら不思議って訳でもないのか。
「あら不思議って…タツヤ、貴方を召喚するのに私どれだけ時間掛けたか分かってない様ね…」
あー、これは長くなるなと身構えたらきっちりと聞き応えのある話が飛んできた。
話半分に聞いて分からないが箇所をまた話させるのがこーゆー時の相槌のコツなんだ。
ま、こんな面倒とも今夜限りだ…
次回へ続く




