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第十話「暗躍」

 子供の頃から何か話題の中心に自分がいる事は無かったし、人間関係において俯瞰と楽観的思考は苦にならなかった。

人を騙すとか、利益を誘導するとか俺はそういうのは案外と簡単なものである。

自分が受けた手口をやり返してやれば良いのだ。


そんな事はどうでも良くってな、上手いことレイラに鍵を開けさせて不審者君に本来の仕事を完遂させてもらおう。

俺は厄介事は嫌いでな、こんな異世界だなんだと言った場所に連れてこられて、女の話し相手なんてしたく無いんだ。


レイラ、コイツと会話を試みるけど相手はまだ奥の手があるかもしれない。 牢の中に入りたいから鍵を貸してくれないか?

あぁ大丈夫、心配いらないって! さっきの見ただろ?


とかテキトーな事を言えば問題なく鍵を貸してくれるだろう。


レイラは俺を少し怪しんでいながらも渋々と青銅の色をした鍵を渡して地下牢を後にしてくれた。

全く、人を見る目が無いんだろうなレイラは…きっと少し前まではいろいろ信じていたんだろうなぁ。

神様がいるとか、人に向けたやさしさは思わぬ形で帰ってくるとかね…

駄目だよ、人は結局のところ我儘で自分勝手なんだから、都合が悪くなったら直ぐに尻尾を巻いて逃げるに決まっているじゃないか。


よし…これで邪魔は無くなった。 さてオタクさん、取引をしようじゃないか。


返答は無し…まぁいいや聞くだけ聞いてくれ、悪い話じゃない。

分が持っている契約関係がまた酷いもんでよ、そろそろ潮時じゃないかって思ってたんだ、どうだい、あんたの雇い主に俺を紹介してくれるっていうんなら今晩にでも構わない。


牢の鍵をちらつかせ、脱出のための行動を考えさせる。

俺にはあの女の事は関係ない、王国だろうと帝国だろうと勝手にしてくれ、只の一市民に世の中をひっくり返すなんて事が出来る訳が無いんだ。


鍵は俺が持っておく。夜になってもアンタがしっぽをこっちに向けたままなら俺はきっぱり諦めてアンタを縛ったまんまここで朽ちてもらうしかない。

急かす訳じゃないが俺としては良い返事を期待しているぜ? よろしくな!!


地下牢を出る為に俺は出口へ踵を返す、出口の扉を開けようと手を掛けると背後からお前は何者だと小さく掠れた子声が聞こえてきた。

何者だ…か、多分事前の情報では異邦人である俺は知らされていなかったんだろう、


俺はそうだな…sas Védelem とか適当に言っておこうか、俺もいろいろ調べてみたんだ

さ、御膳立てを始めていきましょうか。

レイラに囚人はやはり口を割りませんねと話をしておいた。


「ふーん、そう失敗したのねタツヤ」

反応はそこまで無かった所を見るに、期待はしていなかったって事か、わざわざ扉の前で待っていなくとも執務室?で待っててくれれば良かったのに…


「あら、ご不満なの? 女帝を待たせるなんてあなた位しか出来ないんだから光栄に思うと良いわ」


レイラの後を追いながら俺は思考を巡らせていた。 ここから事態がどう転がっていくのか見てやろうじゃないか…


次回へ続く



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