本能寺の変、先回りで完全阻止!信長様を救って織田家不動のエースへ
天正十年、六月二日。京都、本能寺。
史実において、織田信長という不世出の英雄が、明智光秀の謀反によって命を落とす運命の日。
「……人間五十年、下天のうちを比ぶれば……」
押し寄せる明智軍数万の兵を前に、本堂の奥で信長様は静かに死を覚悟していた。四方を炎に囲まれ、もはや逃げ道はない。
信長様が覚悟を決め、自らの胸元に刀を突き立てようとした――まさにその瞬間だった。
ドゴォォォォン!!!
本能寺の正門が、あり得ない爆音と共に吹き飛んだ。
「な、何事だ!?」
騒然とする明智の兵たちの背後から、地鳴りのような咆哮を上げて突入してくる一軍があった。
泥まみれになり、息を切らし、だがその瞳に凄まじい執念を宿した男――オレだ。
「織田家筆頭、羽柴筑前守秀吉! 信長様をお救いしに参ったぁぁぁ!!」
明智軍の指揮官が目を剥いて絶叫する。
「ば、化け物か!? 秀吉は中国地方で毛利と戦っていたはずだ! なぜ、今ここにいる!?」
驚くのも無理はない。史実の『中国大返し』は謀反の報を聞いてから始まったが、タイムリープしたオレは『謀反が起きる前』から全速力で京へ向かって走っていたのだ。道中の兵糧、馬の替え、最短ルート、すべて未来の記憶で完璧に手配済み。疲弊などしている暇はねぇ。
「光秀のハゲ頭ぁ! オレの未来(豊臣)を邪魔させるかよ!」
オレは三成や子飼いの将たちを率い、大混乱に陥った明智の包囲網を正面から一刀両断に切り裂いた。戦術の先読みと未来の練兵技術で強化された我が軍の前に、油断しきっていた明智軍はひとたまりもない。
オレは燃え盛る本堂へと単騎で飛び込んだ。
煤煙の向こう、呆然と刀を握ったまま立ち尽くす信長様の姿が見える。
「信長様! お迎えに上がりました! さあ、オレの背中に!」
オレが満面の笑みで駆け寄ると、信長様は驚きに目を見張り、やがて、狂おしいほどの大笑いを破裂させた。
「……ハハハ! 秀吉、貴様、本当にただの『猿』ではないな。未来から湧いて出たとしか思えん神速だ!」
「へへ、お褒め頂き光栄にございます!」
信長様をガッチリと抱え上げ、炎の中から救い出す。外へ出ると、すでに三成の手によって明智光秀は生け捕りにされ、明智軍は完全に制圧されていた。
数日後、事態を聞きつけて大慌てで京都へ駆けつけた柴田勝家や丹羽長秀ら織田家の重臣たち。彼らが見たのは、無傷で玉座に座る信長様と、その傍らで涼しい顔をして控えるオレの姿だった。
史実(清洲会議)ではオレと激しく対立するはずだった柴田勝家も、信長様の命を直接救ったオレの圧倒的な大功績の前には、ただただ呆然と平伏するしかなかった。
「秀吉。貴様の功績、もはや領地や金だけでは払いきれん。何が望みだ?」
信長様の問いに、オレは深く頭を垂れてニヤリと笑った。
「滅相もございません。オレが欲しいのは領地ではなく、織田家すべての『経済・内政の全権』にございます。信長様はただ前線で戦ってくだされば、オレが日本全土の兵糧と金を動かしてみせましょう」
領地ではなく、国を動かす『経済の主導権』を握る。これこそが、豊臣家滅亡の歴史を知るオレの、本当の国造りの第一歩だった。




