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本能寺の変の3日前に戻ったオレ。まずは最初の滅亡フラグ(石田三成)を回収する

「うわああああああああっ!」


焼け落ちる大坂城。炎に包まれる豊臣の栄華。我が子、そして我が妻ねねが泣き叫ぶ声。

かつて天下を統一し、絶頂を極めたはずのオレ、豊臣秀吉の人生は、最悪のバッドエンドで幕を閉じた――はずだった。


「……ありゃ? ここはどこだて?」


ハッと目を覚ますと、オレは豪華な大坂城の寝所ではなく、うだるような暑さの簡素な陣幕の中にいた。

自分の手を見る。シワだらけだったはずの手は、まだ若々しく、力強い。

鏡に映った顔は、まさしく天下人になる前、織田信長様に「猿」と呼ばれてこき使われていた頃の、若き羽柴秀吉の姿だった。


「秀吉様! お目覚めですか!」


陣幕に入ってきたのは、まだあどけなさの残る、しかし聡明な瞳をした少年。

オレの最も信頼する側近であり、史実では関ヶ原の戦いで西軍を率いて敗れ、豊臣崩壊の引き金となった男――石田三成(佐吉)だった。


「さ、佐吉……! おみゃあ、生きとるのか!」


「何を寝ぼけたことを言っているのです。中国大返しの真っ最中、明智光秀を討つために全軍で京へ向かっているのですよ」


三成の言葉に、オレの脳細胞がフル回転を始める。

中国大返し。明智光秀の謀反。本能寺の変。

間違いない。オレは、豊臣家が滅亡するあの悪夢の未来をすべて抱えたまま、人生のターニングポイントへとタイムリープしたのだ。


(待てよ。本能寺の変が起きたということは……信長様はもう本能寺で……)


オレは慌てて机の上の書状や日付を確認する。

すると、驚くべき事実が発覚した。


「おい、佐吉。今日の日付は……天正十年、五月二十九日か?」


「はあ、左様ですが。それが何か?」


オレはガタガタと立ち上がった。

本能寺の変が起きるのは、六月二日。つまり、本能寺の変が起きる『3日前』だ。信長様はまだ、京都の本能寺で生きている!


「よっしゃああ! まだ間に合うがね!」


「ひゃあ!? な、何がですか秀吉様!」


突然叫び出したオレに、三成が目を丸くする。

オレは三成の肩をガシッと掴んだ。未来の記憶では、この生真面目すぎる男が周囲との摩擦を生み、豊臣家を分裂させてしまった。だが、その忠義心と事務処理能力は間違いなく天下無双だ。


「佐吉、おみゃあに最初の特別任務をやるわ。今すぐ全軍の進路を反転させ、毛利との和睦を取りまとめろ。そして、全力で京へ向かう準備をしろ!」


「なっ……! まだ明智の謀反など起きておりませんぞ! なぜ戦の最中にそのような……!」


「いいからオレを信じろ。佐吉、おみゃあのその几帳面な頭脳が必要なんだわ。オレと一緒に、誰も死なねぇ最高の天下を作ってみんかね?」


オレが未来の知識(三成の長所や、これから起きる毛利軍の動向)をスラスラと語ると、三成はその驚異的な先見明瞭さに圧倒され、やがて不敵な笑みを浮かべて深く頭を垂れた。


「……分かりました。この石田三成、秀吉様の『予言』に我が知略のすべてを賭けましょう」


よし、最初の仲間(三成)の信頼はガッチリ掴んだ。

豊臣滅亡のフラグは、オレがこの手で一枚残らずへし折ってやる!

まずは3日後――織田信長様を救いに、京へ爆走するがね!

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