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三十九話 正騎士の時~セーフフィールド独立騎士団本部にて(二)~

 宜しくお願い致しますm(_ _)m

暫定的ざんていてきでもグレース王女殿下に王位継承権が与えられるのですか!?」


 ケアフィールド王国では過去に一度もなかったことだ。

 

 王位継承権があるのは王族の男のみで、必ず王家の血が入っていなけばならない。


 例え現国王の血筋とは言え、女性に王位継承権が与えられることはなかった。


(国王陛下のお考えが変化したとしても……周りの者をどう説得したのかしら? それとも周りの誰かがグレース王女殿下を強く推薦したのかしら?)


 どう考えてもフィリアには分からない。


「それにともない、マースティンをグレース王女殿下の専属騎士にしたいと国王陛下がお考えになったのだ」


 団長の口から飛び出した言葉に、フィリアは二の句が継げなかった。


 ゼックも、ぽかんと口を開けて声を出せずにいる。


「……――お、王女殿下の専属騎士です……か?」


 フィリアはしばし固まっていたが、どうにか二の句を継ぐことができた。


「ああ、独立騎士団ではなく、王立騎士団の正騎士に入団、昇格させてからと言うことだが――」


 団長の言葉はあまりにも衝撃的なものだった。


「――お、王立騎士団!? 国王陛下は本気なのですか!?」


 フィリアは喜べば良いのか、困れば良いのか分からなくなる。


「ああ、本気だそうだ。東の山でのマースティンの戦い振りや、牧場での振る舞いを見て是非にと思ったそうだ」


 団長は淡々と話しているが「戸惑っている」と言っていたので、内心は複雑なのではないかな、とフィリアは思った。


「ええと……では、わたしの父はなんと言っているのです?」


 フィリアの父は王立騎士団長、アダム・I・マースティンだ。


 男尊女卑思考で凝り固まっており、頑固な性格でもある。


「シャロンから聞いた話だが……アダムは国王陛下の意向にしたがったそうだ。渋々ではあるがな」


 やはり父は、内心は納得などできていないのだろう。とフィリアは思った。 


「父は……グレース王女殿下が暫定的にでも王位継承権を与えられることも、良くは思っていないのではありませんか?」


 フィリアが真剣な表情で問うと、団長は軽く溜め息をいた。


「さすが、実の娘だけあるな……マースティンの言う通りだ。アダムは表だっては賛成しているが、実際は心良こころよく思っていないらしい」


 団長は、あからさまに渋い表情になる。


「なのに、わたしは『王立騎士団の正騎士』になるのですか? さすがに無理があるのでは――それに、わたしは……」


 その先を言って良いのか分からず、フィリアはいいよどむ。

 

 ――兄のハリソンならまだしも、父とはどうやっても上手くやって行く自信がないのだ。


 グレース王女殿下が王位継承権を与えられることすら良くは思っていないのならば、余計にだ――


「マースティンも複雑だろうとは思うがな……どちらにせよ。マースティンは陛下から謁見するように言われている――謁見の理由は東の山での一件だろうとは思うが」


 粗相そそうをしたつもりはないが、何かが国王陛下の気にさわったのかも知れない。とフィリアは不安になる。


「ああ、別にお叱りがある訳ではないそうだ。それと――マースティンはイアン様と一緒に塔城とうじょうするようにと言われている」


 フィリアは自分の不安な感情が顔に出てしまっていたことを恥じる――


「イアンお祖父様と一緒に? 何故ですか?」


 と、同時に疑問が湧く。


「イアン様がマースティンと一緒に塔城する意味はわたしにもよく分からない」


 ――……ともあれ、フィリアは塔城の日を告げられて、ゼックと共に執務室をあとにした。


「あの、ゼック先輩……ホーク・ベルモントさんは、本当にわたしのことを『強くて優しい騎士そのものだった』とおっしゃってくれたんですか?」


 フィリアが目標にしている騎士は祖父である『剣聖』イアンで、『強くて優しい騎士』は祖父イアンが騎士だった頃の代名詞なのだ。


「ああ、七日ほど前にホーク・ベルモント殿が『弟とマースティンに会いに来た』と言って独立騎士団本部まで訪ねて来られたんだ。そのときに色々と話を聞かせて貰った」


 フィリアは驚き、短い廊下を歩く足をとめて思わずゼックを見つめた。


「な、七日前にホーク・ベルモントさんが来られていたんですか?」


 あの襲撃から一日と経っていないのに、直接ここまで来ていたとは夢にも思わなかったフィリアである。


「家族に無事な姿を見せたいと言ってな。東の山から下りて来られたんだ。マースティンに会えなかったことを残念がっていたぞ」


 と、ゼックは立ち止まってフィリアの顔を見ながら答えた。


 ホーク・ベルモントが訪ねて来たときは、フィリアは昏睡状態だったのだ。


(ホーク・ベルモントさんがわたしを『強くて優しい騎士』と言って下さったのは嬉しいのですが……わたしは『剣聖』イアン・マースティンに、少しでも近づけたのでしょうか?)


 自問自答しながらも、フィリアは再びゼックの隣に立って歩き出す。

 

「それと――マースティンには、我が騎士団でも正騎士昇格の話が出ているんだ」


 ゼックの衝撃発言を聞いたフィリアは、あまりの驚きに言葉を失い、その場で固まってしまった。




 お読み頂きありがとうございますm(_ _)m

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