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二十六話 戦乱の時~東の山のベルモント精肉店牧場にて・奇襲と練習~

 宜しくお願い致しますm(_ _)m

 まずは加工場から一番近い家の裏手へと移動したフィリアとシャロン。

 

 こっそり中を覗くと、女性と子供が二人。

 疲れた表情で食事をしている姿が見えた。

 

 二人の側には、ハンサウス兵の姿。

 おそらく四六時中見張っているのだろう。


 一人に一人ずつハンサウス兵がくっついているのかと思ったが、この家の場合は母親らしき女性と子供を一人のハンサウス兵が見張っているようだ。


 窓から身を離したフィリアとシャロンは小声で話し始める。


「どうしましょう。窓に小石でもぶつけてハンサウス兵の気を引きますか?」


 フィリアの提案にシャロンは十秒ほど目を閉じて考えてから。


「いいえ。このまま空間移動の術でハンサウス兵の背後に回りましょう。フィリアちゃん。両刃で幅広の剣(グラディウス・シルフ)を構えてちょうだい」


 言われるままに、フィリアは両刃で幅広の剣(グラディウス・シルフ)を構える。


 シャロンは背後からフィリアの両肩を掴むと宿屋から宝物庫へ移動した時と同じ呪文を唱え始めた。


 やはりフィリアには何を言っているのかさっぱり分からないが、シャロンが呪文を唱え終わると、体が浮いたような感覚に陥る。


 目に映る景色が白くなったかと思うが早いか、フィリアはハンサウス兵の背後に移動している。


 考えるよりも先に体が動き、前に一歩踏み出すと共に両刃で幅広の剣(グラディウス・シルフ)で後ろからハンサウス兵の横っつらを思い切り殴った。


 ――ガヅッ、と鈍い音がして、ドタッ、とハンサウス兵が横に倒れる。どうやら上手く気を失わせられたようだ。


「あ、あなた達は――」


 親子の母親のほうが呆然とフィリア達を見つめている。


「ここはわたしが見張っていますから、お二人を加工場へ連れて行って下さい」


 フィリアは持ってきた縄で倒したハンサウス兵を後ろ手に縛りながら、シャロンに頼む。


「分かったわ」


 シャロンは親子に近づくと、子供のほうが怯えて母親に抱きつくが、シャロンは気にせず母親に事情を話をし、親子を空間移動の術で加工場に連れて行った。


 フィリアはハンサウス兵の両手を後ろ手にしてほどけないようしっかりと縛り、持っている武器をなどを取り上げた。

 

 一般的な両刃の剣。

 投げナイフが五本。

 それから――


「これは……何かしら?」


 ハンサウス兵の持ち物の中に、小さな袋があった。


 中から出てきたのは一センチにも満たない鉄製の球体に、同じく鉄製のトゲがいくつもついている物体だ。


 ()()がなんなのか分からず頭を悩ませているうちに、シャロンが戻って来た。


「フィリアちゃん、どうしたの? 難しい表情かおをして」


 相変わらず気配と声が同時だったが、三回目なのでさすがにフィリアは驚かない。


「シャロン……これ、なんでしょう?」


 掌に乗せた()()をシャロンに見せる。


「あら。それは、敵の進行を妨げる為に地面にまく、罠の一種ね」


 シャロンはフィリアの掌にある()()を慎重につまみ上げ自分の掌に置く。


暗器あんきの一種でもあるのよ。これを思い切り敵に向かって投げると立派な武器になるでしょう?」 


 熟練者でなければ扱いが難しそうではあるが、確かに武器にもなるなとフィリアは思った。

 だがどちらにせよ、敵の進行を妨げることはできる。


「それじゃあ、取り敢えずは袋ごと持っていますね」


 フィリアはハンサウス兵から取り上げた袋を懐に入れた。

 

「それじゃあシャロン。わたしとハンサウス兵を加工場に連れて行って下さい」


 ――そして、フィリアとシャロンは気を失っているハンサウス兵を加工場に置いて、次の家へと向かう。

 

 似たようたことを繰り返すこと四回。残りの人質は五人と身重の奥様だけになった。


 加工場の交代要員も全員取り戻し、次は奥様ではなく、家畜の世話をしている者達を取り戻すのが先になるだろう。


「シャロン。明日には本格的にこの山と北の山で戦闘が開始されるのですよね?」


 フィリアは加工場の一角でシャロンに問う。


「正確に言えば、この山では既に戦いが始まっているわ。ただしこの山と北の山に総攻撃がしかけられるのは、うちの国王が打ち取られてからよ」


「――っ!?」


 フィリアはけわしい表情になり、まともに言葉を紡げなかった。


「この国のトップ――つまり国王が打ち取られれば、士気は下がる。そこへ畳みかければ、ケアフィールドは陥落すると思われてるのよ」


 確かに……国王を打ち取ってしまえば、世継ぎたる男子がいないこの国では――いや、国王の子供ならいないことはないのだ。


 王子はいないが王女ならいる。

 だが、この国では女が王位を継ぐことは出来ない……。


「あぁ……それは、確かにそうです。王位を継ぐ者がいませんものね」


 フィリアの言葉の意味を理解し、シャロンは怒りながら言う。


「そうよ! だから王女しかいないなら、王女にも王位継承権を与えるようイアン様もわたしも忠告したのに!」


 国のトップの考えが変われば少しずつ男尊女卑の考えも改まって行くだろうに。


「『伝統』だから変わえられないって言ったのよ!」


 賢君けんくんではあるのだろうが、やはり考え方が古いと言うか、凝り固まっていると言うか……。


「何が『伝統』よ! そんこと言ってるから今回みたいにつけ込まれるのよ!」


 どうやらシャロンは国王に忠告したときのことを思い出していかりがこみ上げているようだ。


「え、ええと……それでですね。奥様のほうは一度おくとして、家畜の世話をしている五人の人質はどうやって取り戻しましょう」


 フィリアは脱線した話を修正すべく問いかける。


「ああ、それなら……」  


 シャロンはフィリアがあらたに腰に着けた投げナイフの袋を見る。


「ちょっと投げナイフの練習をしてから、家畜の世話をしてる人達の救出に向かいましょう」


 シャロンは敢えて木々を切らずに置いてある場所へと、空間移動の術でフィリアを連れて行く。


「一応、投げナイフは扱えますが……実戦となると不安でしたので、練習させて頂けるのはありがたいですが……家畜の世話はそろそろ終わるのでは?」


 今は、フィリアが行動を起こしてから、一時間と半分を過ぎた頃だろうか。


「ええ、だから国王様に連絡して来るわね」


 言うが早いかシャロンは空間移動の術で、その場から姿を消してしまう。


 フィリアはシャロンが戻って来るまで、実戦で使えるレベルなのかを確めるべく、投げナイフを手に取った。



 この作品はカクヨムで完結済みのですが、バックアップの意味も込めてなろうさんにも投稿しています。


 バックアップの意味を込めていますので、誤字脱字、ルビのミス以外はカクヨムにあるものと何も変えていません。


 そして、お読み頂いた全ての皆様に感謝致しますm(_ _)m

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