170話 初詣
俺は実家のこたつでぬくぬくしながら紅と白の歌番組を観ながら、みかんを剥いて、一粒口に入れる。
はぁ、、、こんな何も考えずにゆっくりするのはいつぶりだろうか。
そして、ダンジョン漬けの毎日だったので、この歌番組を観ていても誰1人わからない。
高校生なのにマジで最近の音楽がわからなすぎてヤバい。なんじゃこりゃ。
あれ?おかしいな、、、
たくさんのアイドルが出演しているのだが全員同じ顔に見えるぞ?
ああ、わかった。分身のスキルでも使ってるのか?
まさか、こ、この現象は40代以降に起きると言われる現象じゃなかったのか?
くそっ、、、区別がつかん。
そんなどうでもいい事を考えている間に紅組が優勝した。
毎年のように盛大なフィナーレが行われて幕を閉じようとしていたのだが、今年は一風変わったフィナーレとなっているみたいだ。
昨今バズっているらしいダンジョン系アイドルの男性グループと女性グループが前に出てきて、魔法スキルを発動したではないか。
風魔法を発動したかと思うと紙吹雪がキラキラと綺麗に乱舞し、水魔法でダイヤモンドダストのような煌めきを追加する。
その幻想的なフィナーレは今までとは明らかに違う、新時代を予感させる演出となっていた。
そんな演出に目を奪われていると不意にどこかは知らないがお寺の映像へと切り替わった。
毎年のことなのだが、このわちゃわちゃした番組からいきなり切り替わって静かなお寺の映像になるの、本当にギャップがありすぎてなんとも言えない感情になるんだよなぁ。
そして、その後はどん兵衛のかき揚げ蕎麦をささっと完食し、明日のためにすぐに就寝したのであった。
〜〜〜〜〜
「マサト!トシ!あけおめっ!」
「あけおめ、今年もよろしくな」
「明けましておめでとう!今年もよろしくね!」
1月1日の昼前、俺たちは秦野にある白笹稲荷神社の参拝客たちが並ぶ列の後方に並んでいる。
「意外と並んでるね!僕、ここ来るの初めてなんだよ」
「実は俺もなんだよなぁ、マサトは?」
「俺はじぃちゃん家とかいかない時はいつもここだ」
「そうなんだね!そういえばさ、さっき屋台出てたよね!なんか食べようよ!」
「だなっ!俺、たこ焼きと焼きそばにしよっかな〜」
そんな他愛のない会話をしていると10分ほどで順番が俺たちに回ってくる。
俺は高校生としては破格な1万円札を財布から取り出し、賽銭箱に折りたたんで放り投げる。
二礼二拍手一礼。
礼をしながら叶わないかもしれない願いの事を頭の中で考える。
2027年、平和に過ごせますように。
でも、俺はもっと戦いたいからそんなに平和じゃなくても良いけど、俺以外の世界の人々は平和であってほしいと思っている。
そんな漠然とした願いを込め、礼をしたのだった。
そして、初詣から1週間と少しが経ち、1月9日の土曜日。
東京都千代田区丸の内のビルが立ち並ぶそこに俺たちは来ていた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
40代以降のアイドル見分けつかない方いたら失礼致しました。冗談ですので忘れて下さい。
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