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礼堂と冬月の不完全な作戦〜愛は勘違い編〜  作者: A gyousya
殺されたロックミュージシャン ボウについて
30/59

ep.30『Can't Take My Eyes Off You』

翌月、ジャンク・バスターズが再び紗和の働くライブハウスでライブを行った。

最後の曲が終わり、ステージ中央に立つボウがマイクを握り、思いの丈を叫ぶ。


ボウ: 「今日はありがとうございました!!

俺たちは……今観てくれている皆さんの心に刻まれる歌を歌いたい!

そして、そんな演奏を届けたいと思っています!


もし次見てもらえる時には、もっと皆さんの心を動かせるような演奏をお見せします!


もちろんバンドとしてもっと大きくなるのが本音です。でも、それ以上に、今日ここで観てくれている皆さんを大事にしたい!


来月もこのライブハウスでライブをやる予定なので、ぜひまた観に来てくれたら嬉しいです!

今日は本当にありがとうございました!」


少人数の観客が大きな拍手で応え、会場には温かい空気が流れる。

ジャンク・バスターズのメンバー全員が一礼し、控え室へと戻った。


控え室


控え室ではライブを終えた余韻の中、メンバーたちが感想を言い合っている。


野田: 「ボウちゃん、最後の挨拶アツかったね!最高だったよ〜!」


他のメンバーも頷きながらボウに視線を向ける。


ボウ: 「いやさ、なんか演奏しながら自分でもアツくなっちゃってさ、気づいたら勝手に叫んでた(笑)」


メンバー全員が笑顔で話していると、控え室のドアがノックされ、ゆっくりと開いた。

紗和が恐る恐る顔を出し、控え室に足を踏み入れる。


紗和: 「あ、あの……すごくカッコよかったです!

最後の挨拶もそうですけど、演奏も本当に素晴らしくて……!」


野田がいち早く反応し、大げさに手を叩く。


野田: 「紗和ちゃん〜!そんなこと言ってくれるのね〜!ありがとう!!」


ボウが目を少し丸くして紗和に話しかける。


ボウ: 「あっ、紗和さんって言うんすね!」


紗和: 「は、はい!紗和です。よろしくお願いします!」


そこで野田がニヤニヤと笑みを浮かべながら、2人に話を振る。


野田: 「そういえば、ボウと紗和ちゃんってさ、年齢近いんじゃない?

2人ともいくつだっけ?」


ボウ: 「27だよ。」

紗和: 「27歳です!」


野田がさらにニヤつきながら、ふざけた口調で続ける。


野田: 「じゃあ、お互い敬語なんか使う必要ないじゃん〜!

紗和ちゃんも俺に敬語いらないからね!親戚のおじさんだと思ってさ!」


ボウがすかさずツッコミを入れる。


ボウ: 「いや、野田っち、1歳しか変わんねぇだろ!!」


それを聞いた紗和が、真面目な顔をしながら野田に返す。


紗和: 「うん、分かった。野田っち。」


ボウが驚いたように再度ツッコミを入れる。


ボウ: 「受け入れんの早っ!!」


控え室に笑い声が響き渡り、明るい雰囲気が続く。

その後、紗和は自然とバンドメンバーたちとも打ち解け、心地よい時間を過ごしたのだった。。。




控え室での談笑も一段落した頃。

メンバーたちは荷物をまとめ、それぞれ帰る準備を始める。


紗和も出口付近で挨拶をしようとするが、そのタイミングで野田が彼女の近くに寄り、ふいに耳打ちをする。


野田: 「ねえ、紗和ちゃん……ボウちゃんさ、紗和ちゃんのこと気になってるよ。間違いない。」


紗和は驚き、顔を赤らめながら慌てて答える。


紗和: 「えっ!ちょっと、いきなり何言ってるんですか!いい加減なこと言わないでください!」


野田はニヤニヤといたずらっぽい笑みを浮かべたまま続ける。


野田: 「いやいや、ボウとは付き合い長いから分かるんだって。あの感じ、絶対だよ。」


紗和はさらに困惑しながら、言葉に詰まる。


紗和: 「そ、そんなの……分かるわけないじゃないですか!」


野田は得意げに笑いながら、ボウの癖について語り出す。


野田: 「ボウはさ、2回目に会った人とは基本タメ口になるんだよ。相手がかなり目上の人とかじゃなければ、だけどな。

でもさ、同世代の紗和ちゃんに敬語のままだったの、気にしてる証拠だと思うぞ。少し緊張してんじゃない?」


野田は軽く肩をすくめると、さらにニヤリと笑う。


野田: 「それに、最後の挨拶……あれ、たぶんいいとこ見せたかったんじゃないか?(笑)

まあ、信じるか信じないかは……あなた次第!」


そう言って軽く手を振りながら、先に帰っていく野田。

紗和はその場に立ち尽くし、頬を赤らめたまま、どこかそわそわとした様子で小さくつぶやく。


紗和: 「……そんなわけないでしょ……」


心の中で野田の言葉を否定しようとするも、どこか気になってしまう自分がいる。

紗和は自分の気持ちに戸惑いながらも、静かにライブハウスの片付けを再開したのだった。

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