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モンスターがあふれる世界になったので、好きに生きたいと思います 作者:よっしゃあっ!
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58.探索と新たなスキル


 ショッピングモールの探索を再開する。
 この辺じゃ一番大きな施設だ。
 ただ歩くだけでも結構な広さを誇る。
 外も暗くなってきたし、早めに済ませるとしよう。
 先ずは食品売り場へ向かう。
 食料の確保だ。

「……やっぱ駄目になってるのが多いな」

 食品コーナーを回って出た感想がそれだ。
 特にひどかったのが肉や野菜類だ。
 オークたちが食い散らかしたのだろう。
 食べ残しが床に散乱していた。
 ゴブリンもそうだったが、コイツら人間を襲っても食う事はしないんだな。

「やっぱりモンスターが人間達を襲う理由は『経験値』なのかな……」

 『餌』として見なしていないのなら、『狩る事』それ自体に意味があると考えるのが自然だ。
 モモやアカにレベルが存在する様に、他のモンスターにもレベルは存在するのだろう。
 そして、経験値やスキルも。
 俺たちがモンスターを倒してレベルが上がるのならば、その逆があってもおかしくはない。

 モンスターは人間を狩って、自分達のレベルを上げているんだ。
 モモが進化した様に、時間が経てば経つほどに強力なモンスターが生まれる可能性もある。
 ……ハードすぎるだろ、この世界。人間にやさしくない。

「……ん?待てよ?そうなると、人間が人間を殺した場合はどうなるんだ?」

 もしかして……同じように経験値が入るとか?
 不意に頭に浮かんだ最悪の予想。
 試す勇気はないが、その可能性は高い気がした。
 人を殺して、レベルを上げる……。

 いや……考えるのはよそう。
 もしそうだったとしても、それは駄目だ。
 人も経験値の対象だと見なしてしまえば、おそらくその瞬間から俺は『人』じゃなくなる。
 自分勝手な奴だって自覚はあるが、それでも俺は人間を捨てたくはない。

 思考を戻そう。
 大丈夫そうな食品類を探す。
 その結果、カップラーメンやお菓子、調味料、それにペットボトル類をゲットする事が出来た。
 特に水が手に入ったのは嬉しいな。
 アイテムボックスに収納してゆく。
 スタッフ用の裏口に回り、未開封の段ボールも回収する。
 これだけあれば、十分だろう。
 あくまでモンスターとの戦闘に使わないって事が前提だけど。

「明日、土手にでも行って水を集めるかな……」

 生活用水を戦闘に使ってたんじゃキリが無い。
 『雨』に使う水を準備しておく必要がある。
 食料品を回収した後は、別のブースを見て回った。
 こういう施設って服か靴を売っているところが殆どだが、俺が見たかったのは別の場所だ。

「……良かった。ココは無事みたいだな」

 売り場にたどり着く。
 棚は倒れ、商品が床に散乱しているが、品質には問題ない。
 普通に読むことが出来る。

「『超簡単。初心者でも出来るサバイバル術』か……」

 俺は手に持った本をめくりながら笑みを深めた。
 そう、俺たちが今居るのは、ショッピングモール内に在る本屋だ。
 スマホやパソコン、ネットという便利な物が使えなくなった今、調べ物をするにはこういった専門的な参考書を地道に調べるしかない。

 特に医療関係やサバイバル、農業関係は生き延びる為には必要不可欠な知識だ。
 食料には余裕はある物の、最悪自分で農業を始めないといけないしな。
 もっと専門的なものになると都心部にある図書館か大きな本屋に行かなきゃいけないけど、とりあえずはこれで十分だろう。
 ……一応、マンガ本やラノベも回収しておこう。
 余裕が出来たら、読みたい。あ、新刊出てる。

「でも、もう続きは読めないんだろうなぁ……」

 こんな世界だ。
 本が出版される事なんてもうないだろう。
 そう思うと少し切なくなった。

 本を回収し、再び店内を歩く。
 雑貨コーナーや寝具売り場、食器なども回収してゆく。
 幸い、ミミックなどの擬態したモンスターは居なかった。
 探索を終える頃には、周囲はすっかり暗くなっていた。


「今日はここまでかな……」

 探索を終えて、一息つく。
 すると、『索敵』に反応があった。
 モンスターの気配だ。

「ショッピングモール内じゃないな。外か……」

 『危機感知』がそれ程反応を示していない。
 ゴブリンかゾンビだろうか?
 『索敵』の反応した方向へ近づくと、そこには初めて見るモンスターが居た。

「……骨だな」

「わん」

 それは俗にスケルトンと呼ばれるモンスターだった。
 骨格標本の様な姿で、棒や錆びた剣を持ってうろついている。
 肋骨の中心部分には心臓の代わりに赤い魔石が見える。
 周囲は暗いが、『暗視』がある為、問題なくモンスターの姿が見える。

 数は……五匹か。
 強さはそれ程じゃなさそうだな。
 『危機感知』の反応からして、ゴブリンやゾンビと同程度の強さだろう。

 HPも大分回復してる。
 せっかくだ。
 新しいスキルを試させてもらおう。

「モモ、アカ、狩るぞ」

「わん」
「……(ふるふる)」

 俺たちは気付かれないようにスケルトンに接近する。
 先ずは『操影』を使う。
 『操影』はモモと同じように『影』を変化させ操るスキルだ。
 縄や蔓の様に変化させ、それがモンスターに巻き付き動きを拘束するようイメージする。
 『影』はその通りに動き、スケルトン達に迫る。

「ッ……!?」

 スケルトン達は突然自分達を拘束した『影』に驚いている。
 いや、表情は無いんだけど、多分驚いている筈だ。
 スケルトン達は、身体を必死に動かし抵抗するが抜け出せない。

「凄いな……」

 モモが使ってるのを見た時にも思ったが、これ思った以上に便利なスキルだな。
 使い勝手が良くて、汎用性も高い。
 他のスキルとの相性も抜群だ。
 そのまま、絞め殺す事も『忍術』を使って倒す事も出来るが、ここはモモに頼もう。

「モモ、いけるか?」

「わん!」

 モモは頷き、一歩前に出る。
 そして『影』を伸ばし、ハンマーの様に変化させた。
 影のハンマーは、スケルトン達をあっさりと叩き潰す。
 どうやら見た目の通り耐久は低い様だ。
 赤い魔石が地面に転がる。

≪経験値を獲得しました≫

 ハイ・オーク戦を経て、モモの影を操るスキルもレベルが上がったようだ。
 他にも手に入れたスキルはあるが、今回は使わない。
 あれは強力だけど目立つからな。
 他のモンスターが寄ってくる可能性もあるし、使用は控えておこう。

「わん!」

 戦闘が終わり、モモがすり寄ってくる。

「よしよし、偉いぞーモモ」

「くぅーん」

 モフモフとしっかりと撫でて、モモを褒める。
 モモはますます頼りになるな。

 スケルトン達との戦闘を終え、俺たちは再び店内に戻る。
 今日はここで休憩しよう。
 明日はイチノセさんと合流しないといけないし。

「よし、アカ、頼む」

「……(ふるふる)」

 適当なスペースを確保し、モモと俺の体を『影』でコーティングする。
 その上から、アカが周囲の景色に溶け込むような姿に擬態し、目をくらませる。
 何かあったら、アカがすぐに気づくし、例え攻撃を受けたとしてもハイ・オーククラスの攻撃力でもない限りはアカの防御を突破する事は出来ない。
 安全な寝床だ。

「それじゃあ、モモ、アカ、おやすみ」

「わん」
「……(ふるふる)」

 疲れていたのか、すぐに眠りに就く事が出来た。
 こうして三日目の夜は過ぎてゆき、また朝日が昇る。
 四日目が始まる。
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