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モンスターがあふれる世界になったので、好きに生きたいと思います 作者:よっしゃあっ!
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25.自衛隊VSハイ・オーク


 『望遠』スキルを使い、ヘリの様子を観察する。
 ヘリはもうショッピングモールの直ぐ傍まで近づいていた。
 それほど遮蔽物が無いのも幸いしたな。
 ショッピングモールの周辺がよく見える。

「……あのヘリ、中々着陸しようとしないな」

 ヘリは、ショッピングモール付近を旋回している。
 まあ、ハイ・オークの叫びの爪痕があっちこっちに残ってるし、周囲にモンスターがいないかどうかも確かめてるだろうな。

 少なくとも、空から見える範囲にはそれ程危険な奴はいない筈だ。
 ハイ・オークたちはショッピングモールの中に居るのだから。

 多分、ショッピングモールの中は地獄絵図になってるんだろうなぁ……。
 逃げ遅れた人とかはまず間違いなく殺されてるだろうし。
 仮に生きてるとしたら、オークの慰み者になってる女性位だろう。
 生きてる……とはとても言えないかもな。

「お、着陸するのか」

 旋回を続けていたヘリだが、いよいよ駐車場付近に降り立った。
 中から自衛隊員らしき人達が出てくる。
 一……二……全部で五人か。
 奇しくも最初にあのショッピングモールでオークたちと戦っていた人達と同じ人数だな。
 銃を構え、周囲を油断なく見渡している。
 やっぱ凄いな。 動きに無駄がない。
 それと同時に、こんな世界になっても職務を全うしようとする彼らは純粋に凄いと思った。
 俺の知り合いにも元自衛隊の奴がいたが、そいつから聞いた訓練の内容半端なかったからなぁ……。俺には絶対真似できないと思った。 ちなみにそいつも結局は怪我をして、ドクターストップがかかって、退役しちゃったんだけど。

「レベルやスキルは持ってるのかな?」

 こんな世界だ。
 日本で最も正面からモンスターに立ち向かう機会が多いのは、彼ら自衛隊か警察官だろう。
 何せ彼らには文明の武器、銃があるのだから。

「車でひき殺して経験値が入るんだから、銃で撃ち殺してもきっと経験値が入るよな」

 自衛隊のみなさんは隊列を崩さず、慎重に進んでいる。
 あの動きからして、既に何度かモンスターと戦闘を積んでいるのは明らかだ。
 ただ一つ、気になる点がある。

「……あれ?どうして、銃を持ってる奴と、持ってない奴がいるんだ?」

 いや、正確に言えば、銃を持ってない奴らはナイフを構えている。
 ……どうして武装にバラつきがある?
 この世界じゃ、最も頼りになる武装はは銃火器の筈だ。
 何でナイフを構えている。
 装備品が足りなかったのか? いや、流石にそんな馬鹿な話はないだろう。
 もしかして何か『理由』があるのか?武装をバラつかせなきゃいけない理由が。

「わん!」

 モモが吠える。
 どうしたのかと、視線の先を見れば、ショッピングモールの入口から一体のオークが出てくるたところだった。
 完全に油断していたのだろう。
 のんきに欠伸などしている。

「オークの方は気付いてないのか?」

 ああ、そうか。あの位置からじゃ、自衛隊が見えないのか。
 ヘリの音はしていた筈だが、警戒してないのか?

 外に出て、オークの視線が自衛隊に向いた。
 ようやく彼らの存在に気付いたようだ。
 だが、その瞬間には、既に自衛隊員らは動いていた。

 オークへ向けて、銃を構え、斉射する。
 銃弾の嵐を受け、オークはその場に倒れ込んだ。

「凄いな……一方的じゃないか……」

 オークの戦闘能力は少なく見積もっても、ゴブリンの数倍はある。
 それをああも簡単に……。やっぱ銃って反則だな。
 絶命したオークの死体が消え、その場に青い魔石が転がった。
 オークの魔石も色は青色なのか。
 つーか、この距離でそこまではっきり分かる『望遠』の性能に我ながら驚嘆する。
 一体レベルが上がればどんだけ遠くのものを見通せるようになるのやら。 

 発砲音を聞きつけたのか、入口からさらに二体のオークが現れる。
 だが再び銃弾の嵐によって、二体のオークもあっけなく死亡した。
 青い魔石が地面に転がる。

「ん?今、あの人達、明らかにオークが入口から出て来る前に発射姿勢に入ったよな……?」

 勘のいいとか、そう言う動きじゃない。
 あらかじめ知っていたから、オークが出てくる瞬間に発射を合わせたとか、そういう類の動きだ。
 確定だな、あの自衛隊員たちはスキル持ちだ。
 『索敵』か『敵意感知』かは分からないが、感知系のスキルを持っている隊員が居るのだろう。
 俺と違って、情報共有もしてるだろうし、全員何かしらのスキルや職業についているのは間違いないだろう。

「……イケるんじゃないか、この調子なら」

 自然と拳を握り、笑みがこぼれる。
 圧倒的な火力。
 遠距離からの攻撃手段。
 統率のとれた動きに、レベルやスキルによるサポート。
 近距離戦闘しか出来ないオークに勝ち目があるとは思えない。

「これなら―――」

 安全だ。
 そう思った。
 次の瞬間だった。




 ―――『叫び』が、聞こえた。


『――――ォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!』


 遠く離れたここまでも木霊する咆哮。
 大気が震え、大地が揺れる。

 反射的にモモを抱き、衝撃に備えてしまう。
 すぐにモモも、『影』を展開した。

「だ、大丈夫だ、モモ。流石に、この距離なら効果はないよ……」

「くぅん……」

 心配そうに見つめてくるモモ。
 間違いない。 『アイツ』だ。
 あのハイ・オークの持つ『叫び』のスキルだ。

「―――ッ!?じ、自衛隊は……?」

 無事なのか?
 体を起こし、ショッピングモールの方を見る。
 多少ふらついたり、膝をついている隊員はいるが、全員生きている様だ。
 一番後ろにいる隊長らしき人が、なにやらヘリの方へ指示を出している。
 何を言っているのだろうか?
 流石に、声までは聞き取れないな。

「……ハイ・オークは?」

 どこだ?
 あの叫びは建物内から放たれたとは思えない。
 既にハイ・オークは外のどこかに居る筈……。

「なっ……!?」

 その予想は当たっていた。
 轟音と衝撃。
 突如、自衛隊の乗ってきたヘリが、爆発した。
 上から降ってきた『何か』によって、破壊されたのだ。
 燃え上がる炎と黒煙の中から、悠然と現れるのは赤銅色の肌をした一体のハイ・オーク。
 その手には、巨大な肉切り包丁が握られている。

「まさか、ジャンプして踏みつぶしたのか……?」

 どんな脚力してんだよ、化け物め……ッ!
 もう片方の手には、ヘリのパイロットらしき男の死体が握られていた。
 ハイ・オークはその死体を無造作に放り投げた。
 軽く腕を振っただけに見えたのに、死体はあり得ない速度で、隊員たちのほうへ向かってゆく。

 投げられた仲間の死体。
 それは一瞬の動揺を生んだ。
 隊員の一人が避けきれず、死体と共にショッピングモールの壁に叩きつけられてしまったのだ。
 ずるりと倒れ込み、動かなくなる隊員。
 気絶したのか、死んだのかはここからでは分からないが、多分アレではもう……。

 銃を持った隊員二人が叫びながら、発砲する。
 だがハイ・オークは顔の前で腕をクロスさせ、そのまま銃弾の嵐の中に飛び出した。

「嘘だろ……!?」

 悠然と弾丸の嵐の中を進むハイ・オーク。
 き、効いてないのか?
 いや、よく見れば銃弾は当たっているし、傷もついている。
 でも、それだけだ。 致命傷には至っていない。

 ……ん?なんだ?
 銃弾が当たった瞬間、ハイ・オークの体に血管の様な物が浮き出ているように見える。
 何かのスキル……?

 ともかくオークたちの命をあっさりと奪った銃の力が、あのハイ・オークにはまるで通じていない。
 そのまま自衛隊に接近し、手に持った巨大な出刃包丁で、銃を持った二人の首を刎ねた。

 隊長らしき人がナイフを構え、ハイ・オークに接近する。
 そのナイフが、ハイ・オークのわき腹を切り裂―――けなかった。
 逆にその腕を掴まれる。
 隊長らしき人は必死にもがくが、ハイ・オークは放さない。
 握られた腕が変な方向に曲がる。隊長らしき人の表情が苦悶に歪む。
 そして、そのまま抵抗虚しく首を斬り裂かれ、絶命した。

 あと一人。
 先程の叫びで膝をついた隊員。
 彼は、呆然とした様子でその光景を眺めていた。

 ハイ・オークはゆっくりと最後の一人に近づく。
 完全に腰が抜けたのか、彼は逃げる素振りすら見せず、その場にへたり込んでしまった。
 ハイ・オークが刃を振り下ろす。

 僅か一分ほどで、自衛隊の人達は全滅してしまった。
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