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モンスターがあふれる世界になったので、好きに生きたいと思います 作者:よっしゃあっ!
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16.休息と反省、そしてこれから



 どういうルートを通って来たかは覚えてない。
 気づけば夜になっていた。
 雨の中、俺とモモは必死に走り続けた。

 モンスターとの戦闘も極力避けた。
 一匹しかいないゴブリンやゾンビといった明らかに勝てる相手との戦闘も避けて、逃げ続けた。
 それだけ俺もモモも冷静じゃなかったのだ。


 結局、俺たちは元のボロアパートに戻っていた。
 階段へ上がり自分の部屋へ入る。
 鍵を閉め、暗がりの中、畳の上に倒れ込んだ。
 ずぶ濡れだ。気持ちわりぃ……。

「ハァ……でも生きてる……」

 生き延びた。
 あの化け物に遭遇して尚、生き延びる事が出来た。

 俺はアイテムボックスから水と取り皿を取り出す。
 取り皿に水をなみなみと注ぎ、モモに渡す。
 そして残った水を浴びる様に飲んだ。

「んぐっ……んぐっ……ぷはっ」

 水が美味い。こんなにおいしかったんだ、水って。
 あっという間に飲み干してしまう。

「わん」

 モモも足りなかったようで、前足で取り皿を差し出し催促してくる。

「大丈夫、まだまだあるよ」

 しばらく無言で、俺とモモは水を飲み続けた。

「はぁ~~~……」

 ようやく気持ちが落ち着いてきた。
 ヤバかった。
 今まで生きてきた中で、一番死を身近に感じた。

 何だよ、あの化け物。
 強さおかしいだろ。
 ありゃ間違いなく序盤で遭っていいような敵じゃない。
 ゲームだったらコントローラぶん投げて、ゲ◯に売りに行くレベルの暴挙だ。

 いや……。
 冷静に今思い返してみれば、避ける方法はいくらでもあった筈だ。
 コンビニで感じたあの「嫌な感じ」。
 アレは『危機感知』が働いていたのだ。
 ショッピングモールに行けば、ハイ・オークが居る。
 敵わない敵が居るぞと、警報を鳴らしていたのだ。

「直感に従って、素直に別の方へ行ってれば良かったんだよなー……」

 多分、それが正解。
 コンビニに居た時も、あのショッピングモールに向かっている時も、『敵意感知』や『危機感知』はきちんと仕事をしていた。
 それを無視して、「まあ、なんとかなるだろ」みたいな気分で楽観視してしまったのは、完全に俺の自己責任だ。 馬鹿としか言いようがない。
 こんなゲームの様な世界になって、レベルが上がり、スキルを手に入れ、どこか舞い上がっていたのだろう。
 それにあまり苦も無くモンスターを倒せていたことも、俺の油断に拍車をかけた。
 だからこそ、あっさりと命を危険にさらしてしまった。

「あーくそっ……くそっくそっくそっ」

 ガリガリと頭を掻きむしる。
 ストレスで剥げそうだ。

≪熟練度が一定に達しました≫
≪ストレス耐性がLV4から5に上がりました≫

 ああ、そうかい!ありがとよ!
 おかげで少し気分が落ち着いたわ! こんちくしょう!

「はぁ~疲れた……」

 とりあえず寝たい。
 なんもかんも忘れて眠りに着きたい。

「わふぅ……」

 モモもお疲れの様だ。
 声に張りがない。
 俺は濡れた服を着替える。
 あとタオルを取り出して、モモの体を拭いてやった。

 眠い。
 凄く眠い。寝てしまいたい。
 でも今この場で寝ても大丈夫か?
 万が一、寝てる最中にモンスターに襲われたら終わりだ。
 かといって、モモと交代で寝ずの番をするほど体力は、今の俺たちには無い。

「背に腹は代えられないか……」

 さっきの光景を見ている為、多少気は引けるが、バリケードを作るしかないだろう。
 アイテムボックスから、タンスや冷蔵庫、洗濯機などとにかく大きいものから順に取り出し、玄関や窓の前に置いていく。
 それを延々と続け、俺とモモが寝る以外のスペースは、全て家具で埋め尽くすという状態にした。
 ゴミ屋敷っぽい見た目になったな。
 でも、これならモンスターは入って来ようとも、音ですぐわかるし、そこそこ逃げる時間も稼げるはずだ。……あのハイ・オーククラスでない限りは。

「それじゃ、モモ、寝るか」

「わん」

 周囲を家具に囲まれて、俺とモモは眠りに就いた。
 疲れていた所為か、ほんの数秒で眠った。

 こうして、世界が変わってから最初の一日が終わった。
 ……ま、正確には二日目だけど。
 ともかく、もの凄く濃厚な一日だった。



 おはよう。
 朝が来た。
 時刻は午前6時。
 昨日眠りに就いたのが、20時頃だったので、がっちり十時間以上眠ったようだ。
 よっぽど疲れてたらしい。

 モモはとっくに起きていた。
 というか、朝起きて最初に目に飛び込んできたが、モモの顔だった。
 一瞬、びっくりした。

「わん!」

 ペロペロと、俺の顔を舐めてくる。
 おはようと言っている様だ。

「おはよう、モモ。ゆっくり休めたか?」

「わん!」

 尻尾をぶんぶんと振り、答えるモモ。
 すっかり元気になったらしい。
 ペロペロしてくるので、そのまま朝撫でを堪能する。
 うん、モフモフしてて、気持ちいい。癒されるわー。

「……どうやらモンスターの襲撃は無かったみたいだな」

 家具が荒らされた形跡はない。
 良かった。 本当に良かった。

 ん~と伸びをして、体を起こす。
 先ずは家具を収納する。
 少しだけスペースを広くし、コンビニで手に入れたパンと野菜ジュース、それにヨーグルトを取り出す。
 モモにも昨日、コンビニで口に咥えていたドッグフードを取り出す。
 軽めの朝食だ。

 食事を済ませた後は、洗面器と水を取り出し、顔を軽く洗う。
 そして歯磨き。
 うん、ようやく頭が覚醒してきた。


「さてと……」

 俺はモモに向き合う。

「モモ、話がある」

「わふ?」

 モモはお座りの態勢で俺を見る。
 俺も正座をして、モモの対面に座る。

「俺は……今日から積極的にモンスターを狩りに行こうと思う。理由は、レベルを上げるためだ」

 俺はモモに、昨日の反省点と自分の考えを伝える。
 この世界に対する認識が甘かった事。
 生き延びる為にはモンスターを狩り、レベルを上げるのが一番だと言う事。
 そして、仲間がいた方が効率的にモンスターと戦えるという事。

「もちろん、だからと言って無茶な狩りはしない。あくまで安全第一でいく。死んじゃったら、元も子もないしな」

「わん」

「だからモモ、改めて頼む。お前の力を借りたい。俺と一緒に力を合わせて生き延びよう。……まあ、俺なんかじゃ頼りないかもだけどさ」

 言いながら苦笑する俺に、モモは体を擦り付けてくる。
 だいじょうぶ、いっしょにがんばろう。そう言ってくれてる様だ。

「……ありがとうな、モモ」

「わん!」

 モモは力強く吠える

 よし、そんじゃあ、頑張るか。

 絶対に生き延びてみせる。
 このモンスターのあふれた世界で。
俺たちの戦いはこれからだ!……無論、続きます。
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