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モンスターがあふれる世界になったので、好きに生きたいと思います 作者:よっしゃあっ!
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12.モモの実力



 モモを連れて、近所のコンビニへ向かう。
 昨日まで何となかった道路はボロボロになっていた。
 少なくとも周囲にモンスターはいないが、別の物が目に付くようになる。

 死体だ。
 ゴブリンか、それともオークか。
 襲われ、傷つけられ、ボロボロになった死体が、あっちこっちに散らばっていた。

「うわっ……こりゃグロイな……」

 『ストレス耐性』が無ければ、吐いていただろう。
 見た目も凄惨だが、それ以上に匂いもすごかった。
 肉や血の生臭さ。 鼻がおかしくなりそうだ。
 腐臭に惹かれる様にハエが集っている。
 女性の死体なんかは特にひどかった。
 おそらく死ぬ直前まで暴行を受けていたのだろう。

「ゥー……」

 モモも、相当参っている様だ。
 犬の嗅覚は人間よりも遥かに優れてるから、俺よりも相当きついだろうに。

「モモ、大丈夫か?やっぱり、戻って待ってても良いんだぞ?」

 俺がそう言うと、モモはふるふると首を振って、俺に体を擦り付けてくる。
 大丈夫、心配しないでと言っている様だ。

「うっし、じゃあ進もう」

「わん」


 再び歩き出す。
 コンビニまで半分くらいの距離に来ただろうか。
 息をひそめて移動してるから、結構時間が掛かってる。
 敵意感知に反応があった。
 角を曲がった先に、モンスターの気配を感じる。

「モモ、止まれ」

 俺の声で、モモはピタッと動きを止める。
 ゆっくりと壁際に近づき、何が居るかを確かめる。

「……ありゃゾンビか?」

 そこに居たのは、ゾンビだった。
 パンデミック映画ではおなじみのゾンビが町を徘徊していた。
 ただ町の住民が、ゾンビになったという感じじゃない。
 着ている服はボロボロで、露出した肌の部分は腐ってただれている。
 噛まれてゾンビになったとしても、一日二日でああはなるまい。
 つまり、あれもモンスターなのだろう。

 噛まれればどうなるのだろうか?
 やっぱゾンビになるのか?
 というか、ゾンビって物理攻撃が効くのか?
 映画とかだと、頭が弱点だったりするけど……。

 俺はゾンビをじっと観察する。
 動きは鈍い。
 おそらく、頭上に洗濯機でも落とせば確実に潰せるだろう。
 でも、ゴブリンの時とは違い、ここで洗濯機を使えば確実に目立つ。
 頭だけを静かに潰すのがベスト。

 ここを通り抜けなきゃ、かなりの遠回りになる。
 幸い他にモンスターもいない。
 潰していこう。

「これを使うか……」

 取り出したのは『ダンベル(重さ10㎏)』。
 俺の持ち物じゃなく、同じアパートの住民さんが置いて言ったモノだ。
 鈍器としてはこの上ない殺傷能力だろう。
 今の俺のステータスなら、それを軽々と持つ事が出来る。
 気づかれずに近づき、これで一気に仕留める。

 ゾンビが俺たちに背を向けた瞬間、俺は一気に駆け出す。
 大丈夫だ。『隠密行動』、それに『忍び足』のおかげで、俺の行動は悟られていない。
 急接近し、鉄アレイを振りかざそうとする。
 その瞬間、ゾンビは急に俺の方を向いた。

「ア゛ァァァ……?」

 多分偶然だったのだろう。
 偶々方向転換をしただけ。
 でも、その瞬間、驚きで俺の体は硬直してしまった。
 ヤバッ―――、噛まれる、そう思った。

 だが、驚くべき事に、ゾンビは動きを止めた。
 まるで何かに拘束されたかのように。

「えっ……?」

 事実、その通りだった。
 『黒い何か』がゾンビの体を縛り上げ、その動きを阻害していたのだ。
 『観察』スキルのレベルが上がっていたおかげか、この状況であっても、俺はその正体を看破する事が出来た。

 影だ。
 俺の影が不自然に伸びて、ゾンビの体を拘束しているのだ。
 どういう事だ?
 こんなスキル、俺は持っていない。
 では、誰が?

「わん!」

 モモの声。
 まさか―――お前か?
 確証はない。
 でも、なんとなくそうなのだと思った。

 モモが走って俺に近づいてくる。
 そして、モモと俺の距離が縮まる程に、ゾンビを拘束する影の力が強くなってゆく。
 ゾンビは完全にその動きを封じられ、口すら満足に動かせなくなった。

 ―――やるなら今しかねぇ!
 俺は再び鉄アレイを振りかざす!
 ゴンッと、鈍い音が鳴る。
 ゾンビはその場に倒れた。

≪経験値を獲得しました≫

 頭の中にアナウンスが響いた。
 やっぱり頭が弱点だったみたいだ。
 ゾンビの死体―――いや、元から死んでるから死体って言うのも変だけどゾンビの死体が消える。

 小さな赤色の魔石が転がった。
 ゾンビの魔石は赤色なのか。
 素早く回収し、アイテムボックスへ収納。
 確認すると、「ゾンビの魔石(極小)×1個」と表示されていた。
 それを再び取り出し、モモに見せる。

「ほら、モモ。食べるか?」

「わん!」

 俺が渡した魔石をモモは嬉しそうに食べた。
 モモが食べ終わってから、俺はモモに問いかける。

「なあ、モモ。もしかして、今のはお前が助けてくれたのか?」

「わん!」

 モモはフリフリと尻尾を振りながら、頷く。
 可愛い。
 でも、やっぱりそうなのか。

 『影を操るスキル』。
 名称は分からないが、多分モモはそう言うスキルを持っている。

 原因としては、一番考えられるのは俺が与えた魔石。
 シャドウ・ウルフの魔石だ。 シャドウ(影)なんて名前が付いてる辺り、あの犬がその手のスキルを持っていたとしてもおかしくはない。
 魔石を食べたことで、そのスキルがモモに宿った?
 どうだろうか? 考察としては悪くない線の様な気がする。
 試しに聞いてみるか。

「モモ、さっきのスキルを獲得したのは、俺が魔石を与えたからか?」

「わん」

 そうだよーと、体を擦り付けてくる。
 ほめてー。がんばったから、ほめてーと言ってる様だ。
 もちろん、褒める。撫でる。可愛い。

 うーん、魔石を食べればスキルを獲得するのか?
 でも俺は食えなかった。
 モモだけか?
 それもと、他の動物……もしくはモンスターなんかもそうなのか?
 でもこの仮説が正しいなら、モンスターにも『スキル』や『レベル』が存在するって事になるけど……。

「モモ、さっきのヤツ、もう一回できるか?」

「わん!」

 モモに頼むと、先程と同じように俺の影が形を変えて動く。
 明らかに物理法則や常識を無視した動きだ。

 色々と確認をしてみたところ、モモが操れる影は本人か、俺のどちらかだけ。
 有効範囲はおよそ十メートルほど。
 本人との距離が近ければ近い程、『影』の力も強くなる。
 立体的に動くのではなく、あくまで物体の上を這うようにしか動けないと言う事。

 そして、『影』の拘束は、力が強ければ破られてしまう。
 試しに俺の今のステータスで全力で抵抗すれば、影の拘束を抜け出すことが出来た。そこまで万能ではないって事だ。
 でも、かなり使えるな。

 『影を操る』スキル。
 これは俺の『隠密行動』と凄く相性がいい。
 『隠密行動』で接近し、『影』で動きを封じ、家電で圧殺。
 素晴らしいコンボである。

 その後、俺とモモは簡単な打ち合わせをして移動を再開する。
 三回ほどゾンビ、ゴブリンに遭遇したが、モモの『影』が大活躍したおかげで危なげなく倒す事が出来た。

 ただ、レベルは上がらなかった。
 やはりモンスターの種類によって得られる経験値は違うのだろう。
 それにレベルアップに必要な経験値も、レベルが上がれば増えるだろうしな。


 そして、アパートを出てから約二十分後。

「ふぅー……ようやく着いたな……」

「わふぅ……」

 ようやく俺たちはコンビニに到着した。

ちなみにモモはまだ実力の全てを見せていません。この意味が分かるな……?
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