その4 騎士団見学
今日は、黒髪さん率いる第一騎士団を見学に来た。この中から選抜された人達が魔王討伐に赴く事になるそうだ。それにしても、観客席が凄いことになってる。着飾った女子、女子、女子……滅茶苦茶、黄色い声あげてますよ。
どれどれ、近くまで行ってみましょうか。ほー、なるほど。屈強な美男子がわんさか鍛練していらっしゃいますね。第一騎士団に入団出来た人は超エリートで、中でも討伐隊に選ばれる人は、エリート中のエリートだとメイドさん達に聞きました。尚且つ、討伐隊の方って、万が一の事があってもいいように(良くないけど)独身者のみが選らばれるとか。帰って来たら英雄だものね。今から唾付けておかなくちゃ。わかる、その気持ち。よーく、わかります。
独身男子の群れの中に女子を連れて行くのは、不味いだろうと言うことで討伐隊に女性はいないそうです。って、私も歴とした女性なんですけど! 宰相さんに言ったら『聖女様は特別なので』って言いながら明後日の方向向いてたもの。やっぱり、私、子供扱いされてるよね。
黒髪さん、五人一遍に相手してるんですけど!? 凄! あっという間に打ち負かしちゃった。
「サーヤ!」
この声は、連獅子さん。騎士団に混ざって鍛練してたのねって、それはいい。水を被って来たのかびしょ濡れで赤髪が落ち着いているのもいい。だけど、何で上半身裸のままで私の方に来る? 止めて! キラッキラしてて格好いいけど、目の遣り場に困るし、周りの女子、失神しちゃうから。
横から、水色髪の可愛い系騎士さんがタオルを持ってきた。ナイスフォローです。きゃ、こっち向いてニコッて笑ってくれた。長い水色髪をポニーテールにしてるけど、是非ツインテールにしてくださいませ。有名処のヴォーカロイドみたいです。ヴォカロちゃんと呼びましょう。
「こんにちは! 聖女様。」
「こんにちは! 鍛練お疲れ様です!」
「ありがとうございます。申し遅れました。僕、ヒンス・クィッカーと言います」
「千東紗綾です。宜しくお願いします」
「おい! 俺が先に声を掛けたのに何無視してる」
忘れてました。可愛い子に目が行っちゃったんだもの。ごめんなさい。
「王太子様もお疲れ様でした」
「『も』って、なんだ!」
「えーと、皆様鍛練してらっしゃるので……」
「まあいい。後、俺の事はジャッカスと呼べ」
「ジャッカス様……?」
「おお。それで良い」
なんだろう? 何か満足気だから良いか。
「もう、選抜は終わったのですか?」
「一応な」
「あ、僕もご一緒します!」
「まあ、ヒンス様も。どうか宜しくお願いしますね」
「おい! 俺には言わないのか」
「えっ、ジャッカス様も行かれるのですか?」
「当たり前だ。俺が討伐隊総大将だ」
うん? 連獅子さんって王太子って言ってたよね。下に四人弟妹がいるとは聞いたけど。良いのかな? 王太子って王様の跡継ぎってことでしょ?
「何、一人で頭を捻ってる」
「いえ、王太子殿下が討伐なんて危険を冒して良いのかなと思いまして」
「王太子だから行くんだ。国の大事に人任せにできるか。俺が行くだけでも士気が上がるしな」
「こう見えて、殿下って強いんですよ」
「へぇー。ちゃんとしてるんですね」
「何だ、その感想は」
「あ、色々考えていて偉いなって」
「うっ……」
ここの王族って、体面だけじゃなくて実行も伴ってるのね。ふんずり返って命令するだけじゃないのは好感持てるわね。でも、勝手に召喚するのは頂けないけど。
部屋に戻り、午後からは討伐会議がありますって侍女さんから伝えられた。会議ね。どんな話するんだろうなんて思っていたら、またまた、ショックな事を聞いてしまいました。
連獅子さんは十九才で、黒髪さんもまだ二十一才なんですか!? 二人とも私より年下でした。言われてみたら、確かに連獅子さん、さっき見た裸からしてピチピチの十代ってわかりますよ。でも、でもですよ。黒髪さんのあの半端ない落ち着き。年下なの!? お姉さん、参りました。
さあ、気分を変えて(変わるかなぁ)、午後の会議に出陣します。




