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【完結済】聖女になったらしいので不測事態対応対策いたします  作者: 紙垂川 比依子


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30/32

その30 救出と女神像

 激しく扉を叩く音で目が覚めた。


「サーヤ! そこに居るのか?!」

「ジャッカス?」

「見つけたぞ! この扉を直ぐに開けろ!」


 声にならないような小さな声だったのに聞き取ってくれた。扉が開くと同時にジャッカスが飛び込んできた。後ろにはラジャスタさんに摘み上げられている若い神官がいた。


「サーヤ……」


 ジャッカスは、私の名前を呼んだきり無言で強く抱き締めた。私も腕を伸ばし彼を抱き締め返した。


 私は、ジャッカスに抱きかかえられたまま部屋を出て驚いた。第一騎士団だけではなく、違う色の制服を着た大勢の騎士やら文官らしき人達が神殿の中に溢れていた。


「これは?」

「王太子妃誘拐の捜査と寄付金横領の捜査だ。神殿長は既に捕らえた。加担した家門にも捜査が入っている」


 黒髪さんが駆け寄ってきた。


「聖女様、ご無事で何よりです。殿下もこちらは我々に任せて聖女様とご一緒に王城にお戻りください」

「ああ、後は任せた」


 私達は、馬車で王城に戻ることになったんだけど、馬車の中でもジャッカスは私を膝に抱いたままで下ろそうとしない。


「ジャッカス、もう下ろしても大丈夫よ」

「……」

「ジャッカス?」

「絶対一人になるなって言ったよな」

「ごめんなさい。でも、ほんの一瞬の事で……」

「馬鹿か。その一瞬が命取りにもなるんだぞ。あのジジイがお前が元の世界に戻ったなんて言いやがるから、俺は……」

「でも、信じてたよ。ジャッカスならそんな言葉を信じないって。きっと、助けに来てくれるって」

「当たり前だ、大馬鹿者めが……俺の前から消えるなんて許さないからな。一生側にいろ。命令だ。わかったな」

「……うん」


 私の部屋に戻ると、トワさんが泣きながら私の足元に跪いた。


「申し訳ございませんでした。なんてお詫びをしたら……グスッ」

「ごめんなさい。私も油断したのが悪いの。無事だったんだから、もう立って。でも、女神像、調べ損なっちゃったわね。日を改めて調べに行く時には付いてきてね」

「サアヤ様、こちらはお役に立ちませんか?」


ドゥマさんから二枚の紙を渡された。


「これは?!」

「女神像の一番上の台座に描かれていた紋様を書き写しておきました」

「登りついたの?」


ドゥマさんは、にたりと笑って頷いた。流石、プロです? 彼女から渡された紙には、文字が、日本語が書かれていた


『子供達をこの世界から連れ出せない事が今度の運命』

『病で死んだ私がこの世界に生まれ変われたのは偶然』


「サアヤ様はフェイト様によく似てらっしゃるだけで、別の方なのだと思います」

「どういうこと?」

「近くでお顔を拝見してきましたが、お顔自体も微妙に違いましたし、何より耳の形が違ったので」 

 

 ドゥマさんの言葉で納得がいった。フェイトは私じゃなくて、コインスデンスの転生前の姿なのだ。だから、双子神なんて呼ばれていたのね。元が同じ人間なんだもの。そして、私はこの世界に連れてこられたんじゃなかった。元々の場所に返されただけだったんだ。


「私、元々この世界の人間だったんだよね」


 ジャッカスと目があったから、おもいっきり笑ってみせた。また、ぎゅっと抱き締められた。


「さあ、湯浴みをいたしましょう。大変な思いをされたのですから、全部洗い流してしまいましょう」


 アンさんが目を潤ませながら促してくれた。ドゥマさんも赤い目をしていた。トワさんは、まだ泣き止んでいなかった。

後、ニ話で完結になります。ここまで読んでくださり

ありがとうございます。

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