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【完結済】聖女になったらしいので不測事態対応対策いたします  作者: 紙垂川 比依子


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その24 穏やかな時間

 翌日、連獅子さんと私の婚約を知った神殿側は、猛反発をして王家に抗議したらしい。女神認定を遅らせた上、聖女を王宮に無理やり留め、その上王太子と婚約させて王家のみに恩恵を受けようとは、如何なる所存かと。自分達だって神殿に押し込めようって考えていたんじゃないの。


 お昼前に黒髪さんが来て、昨夜、聖女の間に侵入者があったと知らせてくれた。本物はそっちに出たのね。二人の侵入者は手薬煉(テグスネ)を引いて待っていた警備隊に直ぐに捕まった。手引きした使用人は熱烈な聖女信者で神殿側の私が軟禁されているという言葉を信じていたらしい。こっちの部屋に移っていて良かった。



 午後からは、衣装合わせがあり、いつもの匠さん達登場です。いつもお世話になっています。衣装部屋(本物の)には、既にドレスが何着も掛かっていたんだけど、何時の間に揃えたんだろう。今、合わせているのは婚約発表用のドレスとの事。オフホワイトの生地一面に赤い小花の刺繍が施され、フリルやらリボンやらが付いた矢鱈と可愛いデザインのドレスに二十三才の私として少しばかり抵抗が……。マイアさんと目が合ったと思ったら、すぐ理解してくれたよう。


「肩のリボンは外して、サアヤ様はデコルテがお綺麗なのでもっとお出しして、裾はもう少し広がりを押さえて少し前上がりにして歩き易く……」


 マイアさんがいてくれて、本当に良かった! ありがとうございます。あのままだったら、何処ぞの写真館の七五三みたいだと思ったのよね。似合ってるのはわかるのよ。私、この国に来て直ぐの時には子供だって思われてたんだから。でもね、私、歴とした大人なんです。……手直しが入ると大人可愛いデザインになってました。豪華な宝飾品に緊張しつつ、靴や髪飾りといった細々とした物を選んで、当日の装いが決まりました。素敵なんだけど……褒めてくれるかな。


 マイアさんとアンさんに式次第を教わり、一安心と思ったところで問題が発覚しました。私、ダンスなんて踊ったことありません。こればかりは、お母さんも教えてくれていませんでした。だって、聖女は踊ることなんてないもの。

 

 これからもダンスは、必須であるからと二人による猛特訓が始まりました。付け焼き刃で教わってもなかなか身に付くものじゃない! この時ばかりは聖女の方が楽だったと思えてくる。どうにか回避できないかな。




 生誕祝賀会の二日前の夜、連獅子さん側の扉からノックが聞こえました。ノック、出来たのね!


「このところ忙しくて会えなかったけど、問題はないか?」

「うん。皆さん良くしてくれるから。あ、でもね。ダンスって初めてでなかなか覚えられなくて」

「そんなの簡単だ」


連獅子さんが、ひょいと私を持ち上げて、自分の靴の上に乗せました……?!


「こうしていれば、踊れてるだろ」

「曲中、乗せてて重くないの?」

「お前みたい小っこいのが乗ってたってびくともしないぞ」

「ちっちゃいけど、ドレスの重さも加わるのよ」

「足元が隠れて丁度いいじゃないか」

「一応、これからも必要だから頑張って覚えるけど、いざとなったら宜しくお願いします」

「おお、任せておけ。ハハハ」

「うん。エヘヘ」


 結構、和やかな雰囲気で一日を終わらせられて、今晩はゆっくり眠れそう。短い時間だったけど、連獅子さん……ジャッカスと過ごせて楽しかったな。


皆が神殿の動きに対応していて大変な中、一人のんびりさせてもらってるのは心苦しいんだけど、この世界に来てから怒涛の日々を過ごしてきたと自負する私には、必要な時間だったんだって思ってるのよね。お母さんのことも納得するとか理解するとかはまだ難しいけど、周りの人達のお陰もあるんだろうな。気持ちを切り替える事はできると思うから。

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