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【完結済】聖女になったらしいので不測事態対応対策いたします  作者: 紙垂川 比依子


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23/32

その23 王宮

2話投稿します。

 王太子妃部屋は、王宮の王族だけが入れるエリアにあった。黒髪さんは護衛ということで同行してもらえたけど、区画に入るのに門番みたいに兵士が立っていたのでびっくりした。


こんなふうに厳重な場所に私が入っていいのか戸惑う。部屋までの道順も複雑で覚えきれない。これって襲撃とかの対策なのかな。魔王の棲み家とは真逆だ。たどり着いた部屋には、マイアさんが待っていてくれてほっとした。


 案内された部屋の中は、今までの聖女仕様の真っ白な部屋ではなくピンクの花柄を基調に上品だけど可愛らしく纏まっていた。後から聞いたところによると全部連獅子さん自ら選んだとか。忙しいのに何やってるのかしら。まあ、センスは良い。ちょっと嬉しかったのも事実だけど。




 マイアさんに私付きの侍女さん達を紹介されています。やっぱりこの世界は美人揃いで驚かされるわ。一番年上らしい人は、王道金髪の落ち着いた雰囲気の美人。もう一人は明るい茶髪の少し気の強そうな目が印象的なこれまた美人。最後の青髪の子はとっても背が高くてスリムな人なんだけど、さっきから頬を赤くして私の事を潤んだ目で見つめてる。


「私がお側に着けない時は、アンが取り仕切る事になります。王宮勤めも長く信用に足る人物ですので安心して頂けるかと」

「アン・クレイドと申します。お分かりにならない事がありましたら遠慮なさらずに何でもお聞きくださいませ」


落ち着いた雰囲気は、自信から来るのね。頼りになりそう。


「ドゥマは、パーセブ家の遠縁の者です。宰相府とも繋がりが深い者です」

「ドゥマ・コバートと申します。情報収集を得意としております。些細な事でもお調べ致しますのでおっしゃってください」


情報収集ってスパイみたいな事? やけに目が鋭いと思った。かっこいいんだけど。


「最後は……」

「トワです! トワ・セイバソールと申します。聖女様にお仕えできるなんて夢のようです。私、嬉しくて、嬉しくて感動してます!」

「トワ、失礼ですよ。サアヤ様、申し訳ございません。この子は少しがさつな所がございますが、決して悪い子でなく、第二騎士団団長セイバソール卿の三女でして」

「はい! 腕には自信があります! 必ず聖女様をお守りします」


「皆さん、宜しくお願い致します。基本何も知りませんので、ご迷惑をお掛けするかと思いますが」

「僭越ながら、マナーに関しては申し分ないと伺っております」

「そうですね。サアヤ様を拝見していて、お食事のご様子も立ち居振舞いも申し分ないと思いますね。」

「聖女様、どちらで習われたのですか? 聖女様のお国でもそういったマナーとか、こう小難しい事って似てるんですか? 私は、まだまだ苦手で」

「あっ、母に。後、聖女様ではなく、紗綾と呼んで欲しいのですが」

「宜しいんですか! 感激です!」

「「トワ! いい加減になさい!」」

「ひっ!?」


 ふふっ、賑やかになりそう。そっか。小さい時から一般家庭なのにお母さんは、どうしてこんなにマナーとかにうるさいんだろうって思ってたけど、私がこの国に来ることがわかってたからなのね。私が困らないようにって考えてくれていたって事なのかな。




 夜になっても誰も訪ねて来なかった。あれからどうなったんだろう。神殿の動きも婚約の手続きの事も情報が入って来ない。当事者なのに蚊帳の外って感じなのよね。


 寝室の反対側の扉の中で音がしたんだけど。衣装部屋よね。誰か呼ぶ? 夜中だし、皆寝てるわよね。武器になりそうな物は……こんな物でも役に立つかな。仕方がない、エイ!


バーン!


「わっ!」

「きゃっ! どうして貴方が衣装部屋にいるのよ!」

「ここは俺の部屋だ!」

「えっ? 俺の部屋?」

「サーヤ、ここは俺の寝室だ。お前の衣装部屋じゃない」

「続き部屋だったの?」

「う、うん。だから……王太子妃の部屋を用意してあると言ったじゃないか」


お互い無言となってしまった。だって、間取りなんて知らないもの。ちゃんと聞いて置けば良かった……。


「しゅ、首尾はどうよ」

「陛下がなかなか取っ捕まらなくてな。遅くなったから明日の朝に報告に行こうと思ってたんだ。無事、婚約は成立したぞ。晴れて俺はお前の婚約者だ」

「そっか。宜しくね」

「ああ。来週の俺の生誕祝賀会で発表するからな」

「わかった」

「ところで、何で燭台を持ってるんだ?」

「へ? だって侵入者かと思って」

「そういう時は、必ず誰か呼べ。相手が女子供であっても訓練を受けてる相手ならお前に勝ち目はないぞ。お前はどうせ聖力を人に向けられないだろう。そ、それとそんな無防備な格好でうろつくなよ」


そうだったぁ。寝間着のまま、来ちゃったんだ。だって、戦う気満々だったんだもの。


「わかった。以後気をつける。ジャッカス様も気をつけてね」

「最近、漸く口調が砕けて来たんだから、ジャッカスって呼べよ」

「うん。おやすみ、ジャッカス」

「う、うん。良く休めよ、サーヤ」


 何だかんだで婚約が成立したみたい。気付いたら、異世界で聖女の次は、王太子の婚約者になっちゃった。

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