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【完結済】聖女になったらしいので不測事態対応対策いたします  作者: 紙垂川 比依子


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その22 決断

 帰りの馬車の中には、連獅子さんと黒髪さん、そして、もう一人男性が同乗していた。パーセブ伯爵、マイアさんの旦那さんだ。


 王城の中であっても安全に話せるとは限らないからと、宰相府とも今後の打ち合わせをする必要があると判断されて、態々足を運んでくれていたのだ。


 伯爵によると神殿側は、私を早急に神殿に戻し女神として寄与すべきだと国王に正式に申し立てる準備をしているそうだ。


「サーヤ、決めてくれないだろうか。お前の気持ちが固まってからと言いたいところだが、一度神殿で女神認定されてしまうと王家とて救い出すことは出来ない。俺じゃ駄目か?」

「……駄目じゃないと思う。今更、知らない人の所には嫁ぎたくないし。でも、王太子って次の国王でしょ。そうしたら、私王妃になるの? 私、何にも出来ないよ」

「そんな事、心配していたのか。十分やってるだろう、聖女殿。何処に魔王を倒した事がある王妃がいると思う?」

「……うん」

「よし! 言質は取ったからな。パーセブ、わかっているな。王城に戻り次第直ぐに動け」

「御意」


 もし、これが運命だって言うなら、絶対いい方向に向かわせてみせる。だって、私には助けてくれる人がいるんだもの。お母さんとは違う。それにこの人は、裏切らないと思う。本当に私のことを想ってくれているみたいだし。私も嫌じゃないし……。


「ねぇ、何で神殿の女神像にはフェイトがいるんだと思う?」

「えっ? そりゃ、魔王の嫌がらせだろう。あいつ以外、お前の顔がわかる奴なんていないんだから」

「嫌がらせ?」

「酷使していた聖女は居なくなり、新たな聖女は自分達の駒にはならない。あの女神像の顔、良く見てみたか? 神殿の奴らを馬鹿にして笑っていただったろ」


 何だか、この人に言わせると些末な事に思えてくる。そっか、思い通りになんかならないぞって笑ってたのか。


 王城までの短い道程で、私は結婚を決めた。二十三年間の中で最も大きな決断をこの短時間で決めたんだ。何だか可笑しくなってきた。二十三年間……二十三……?


「あ、あの、私、貴方より四つも年上なんだけど……」

「三つだ。」

「えっ?」

「来週、俺は二十才になるからな」


どうやら、この人は気にしていないようだけど。いいのかな、私も気にしなくて。プロポーズしてきたくらいだものいいのよね。ちょっとだけ気が引けるけど。


 

 打ち合わせはどんどん進んでいる。先ず、王城に着いたらパーセブ伯爵は、宰相府へ走りGOサインを出す。やっぱり根回しは済んでたのね。で、連獅子さんは、国王に謁見を申し込む? たぶん、勝手に『バーン!』やりそうだな。そして、婚約の許可をもらって手続きを完了する。これが大雑把な流れということで、私は何をすればいいのかしら。黒髪さんが、所在無さげな私に気付いてくれました。


「聖女様は、お供しますので一度お部屋にお戻りいただければ」

「お待ちください。部屋は王宮にお移り頂きます。手配は妻が既に済ませておりますので」

「王宮ですか?」

「あの部屋に出入りしている者の中には神殿側の者もいるからな。連れ去られないとも限らない。お、王太子妃の部屋を用意してあるんだ」

「そ、そうなんだ」


何で連獅子さん、赤くなってるのよ。私まで顔が火照って、もう!




 王城に着くや否や、パーセブ伯爵は暇乞いをして走り去った。連獅子さんの手を借りて馬車を降りると何やら言いづらそうにもじもじしている。何だろうと顔を覗き込でみたら、連獅子さんの顔が赤い。


「お前、いつもの服より似合ってる。今日は一段とその……可愛い。ライアス、サーヤを頼んだぞ」


言うだけ言って走って逃げた! 今更、何言ってるのよ。私、一人残して恥ずかしいじゃない。絶対、顔が赤くなってる。黒髪さんが、見て見ないふりしてくれるけど、馬鹿!

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