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【完結済】聖女になったらしいので不測事態対応対策いたします  作者: 紙垂川 比依子


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14/32

その14 凱旋

 これが凱旋パレードじゃないのかなって言うくらい、多くの人達に出迎えられています。こんな歓声でも動揺しない馬の方が私よりもずっと堂々としてますよね。



 王城に着いた私は、侍女さん達にこれでもかってくらい綺麗にしてもらってます。お風呂は自分でって言ったのに却下されました。恥ずかしいけど香油のいい香りもして気持ちいいかも。


 マイアさんが『肩の力を抜いてくださいね』ってハープティを持って来てくれました。至れり尽くせりです。


 翌日、朝から国王様に帰還のご報告をしてから凱旋パレードに望みます。鏡の前の私、誰? お肌はピカピカに磨き上げられ、身に付けているのは聖女様のお衣装豪華バージョンです。少し痩せたらしくて、また、縫製の匠の出番です。ありがとうございます。


 

 謁見の間で国王様のお越しを待っています。騎士団の皆さんの正装姿、格好いいです! 黒髪さんの団長服、いっぱい勲章が着いていて今までも活躍してた方なんだなって尊敬します。勿論、滅茶苦茶格好いいです!

代表者さん達も新調していただいたんですね。似合ってますよ。


 国王様と王妃様がいらっしゃいました。


バーン!


 はい、お決まりのパターンですね。連獅子さんのご登場です。今日は、正装で格好よくって、真っ赤だった! いいんですけど、真紅の正装。全体的に真っ赤ってだけで、ええ、パレードで目立ちますよ、間違いなく。


「皆、よく無事に討伐を成し遂げた。」


 お褒めの言葉と、其々の報奨が伝えられてます。騎士団の方達は叙爵と叙勲、それと報償金が与えられ、サードアの四人は多額の報償金を得ました。私は、爵位を賜る事になりました。もらってどうするの?


「父上、聖女の活躍は目覚ましいものでした。子爵なんてケチな事言いませんよね。」

「うん? いや初めての叙爵で高位と言う訳には」

「はあ、功績によって決めるべきでしょ」

「そ、そうだな。伯爵ならどうだ」

「まあ、今回はそれで手を打ちましょう」


はあ? この二人何言ってんの? 別に爵位自体要らないんだけど。連獅子さん、何満足そうにしてるのよ。今、私って発言していいの? 黒髪さんと目が合った。哀れみの眼差しで駄目って、やっぱり口出ししちゃ駄目なの。住まいは今まで通り王城でとか言ってるんですけど。神殿とかに行かなくていいの?

 兎に角、討伐報奨に私だけが納得の行かない状態で謁見が終わりました。連獅子、覚えてろよ。



 凱旋パレードは、本当に凄い人です。出迎えてくれた人達の五倍はいそう。今回は、屋根の無い馬車に乗ってます。先頭の馬には真っ赤な連獅子さん、次が私の馬車で斜め後ろには黒髪さんがいます。その後ろに討伐隊の面々。私ったら恥ずかしかった筈なのに人々の高揚感が伝わってきて知らないうちに笑顔で手を振ってたのよね。気持ちの昂りって伝播するものなのね。凄く実感した。



 無事にパレードも終わり、興奮冷めやらぬうちに祝賀会会場へと移動です。現在、参加した貴族の方々の挨拶攻撃に合ってます。一息付こうと少し場所を変えようとしたら、代表者さんが真っ赤な顔をしてやって来ました。酔ってるの? 


「天使様、叙爵しちゃったんですよね。もう手が届かない、いや、元から届いてないんだけど、ヒック」

「天使じゃないけど……大丈夫?」


お仲間三人が迎えに来てくれました。『天使さまぁ!』叫んでらっしゃいます。聖女と天使じゃだいぶ違うんだけどな。あの人、いつも間違えるのよね。


 人波が切れて、正面にいた黒髪さんがニコッと微笑んで……いるのは私じゃなくて、お隣のすらっとした美女。ど、何方でしょう。ぎゃ、額にキスしましたよ。近くにいた配膳係の男子をこそっと呼んじゃいました。。

「あちらの方は何方でしょう」

「あちらは、シンセア卿の奥様ですね」

「ご結婚されていたんですね」

「お子様も三人いらっしゃいますよ」

「ほー」


 お子様三人ですか。討伐隊は、独身者ばかりじゃなかったの。婚約者とか恋人とかはいるかもしれないなぁくらいは考えてたわよ。でもさ、美人の奥様とお子様三人ですか。えーん、詐欺師め。今夜はやけ酒だ。


「おい、サーヤ。お前酒飲めるのか」

「飲めますよ。大人を馬鹿にしないでください。そう言う自分、未成年じゃなかったの? お酒は二十才(ハタチ)からでしょ」

「はあ? 俺はとうに成人してるぞ」

「そっか。この国だと成人なんだっけ。あっそうだ。何で伯爵なのよ。爵位なんて要らないのに」

「お前酔ってるだろ。いくら聖女だって男爵や子爵、まして平民じゃ不味いんだよ。だからさ……」


 その後、連獅子さんが何か言ってたけど、ぼやーんとして覚えてないです。翌日は、二日酔いで起きられないって思ってたら、マイアさんが『二日酔いに効きますよ』ってハープティを入れてくれました。この人こそ天使です。

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