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名門落ちの俺、二流実戦校で成り上がる  作者: ボンゴレ11代目


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第9話 初陣の三人

第一訓練場は、朝から妙な熱気に包まれていた。


一年限定実戦リーグ、初日。


観客席には試合待ちの生徒たちが集まり、好き勝手に騒いでいる。


「寄せ集めチーム、初戦で消えるだろ」

「いや、クロウ一人で押し切るんじゃね?」

「でもユウトいるぞ。あいつ運動だめだろ」


好きに言ってろ。


俺はリング中央へ向かいながら、拳を鳴らした。


隣では ユウト・セルヴァ が顔色を悪くしている。


「胃が痛い……」


「まだ始まってねえぞ」


「初戦だぞ!? 緊張するだろ普通!」


その反対側では、カイト が欠伸をしていた。


「眠い」


「お前、緊張感ねえな」


「あるよ。面倒なだけで」


こいつ、本当にやる気あるのか分からない。


対戦相手は三人。


ジン。

マルク。

リナ。


前衛、後衛、遊撃。


綺麗に役割分担されたバランス型だ。


「初戦で当たり引いたな……」


ユウトが小声で呟く。


「勝てるのか?」


「知らん」


「知らんって言うな!」


カイトがぽつりと言った。


「でも、崩せる」


全員がこいつを見る。


「相手、教科書通りすぎる。動き読みやすい」


「……なら、それを早く言え」


「今言った」


本当にマイペースだ。


開始線に立つ。


観客席上段で ガイゼン教官 が腕を組んでいた。


「ルールは単純。戦闘不能二名、または場外二名で決着」


腕が振り下ろされる。


「始め!」


同時に俺は踏み込んだ。


「クロウ待て!」


ユウトの声が飛ぶ。


……分かってる。


昨日までの俺なら突っ込んでいた。


だが、一拍止まる。


その瞬間、相手後衛リナの火球が俺のいた場所を焼いた。


「危なっ……!」


「だから言ったろ!」


ユウトが叫びながら補助魔法を飛ばす。


淡い光が脚にまとわりつく。


身体が軽い。


「速度補助!?」


「三十秒限定! 無駄遣いすんな!」


悪くねえ。


俺は軌道を変え、一気に右側へ回り込む。


遊撃のマルクが迎撃に出た。


短剣二本。速い。


だが――


「今」


カイトが小さく言う。


次の瞬間、マルクの足元が揺れた。


体勢が崩れる。


「っ!?」


カイトの崩し魔法。


重心だけを乱された一瞬の隙。


俺は迷わず踏み込む。


拳が腹にめり込んだ。


マルクが吹き飛ぶ。


「一人!」


観客席が沸く。


「やるじゃねえか!」

「寄せ集めのくせに!」


だが相手も甘くない。


盾役ジンが前に出て、俺を止める。


硬い。


拳が通らねえ。


その背後から火球が飛ぶ。


避けても盾、盾の横から魔法、さらに牽制。


「うざってえな!」


「連携って言うんだよ!」


ユウトが怒鳴る。


「クロウ! 二段目の踏み込み使え!」


「まだできねえ!」


「今やれ!」


無茶言うなこいつ。


だが、やるしかない。


一歩目で左へ。


ジンが盾を向ける。


そこから、もう一歩。


逆方向へ踏み替える。


昨日までなら勢いが死んでいた。

だが今朝の練習を思い出す。


脚、腰、肩。


流して繋げる。


「……っ!」


身体がぶれずに回った。


盾の横を抜ける。


「なっ!?」


ジンの横腹へ拳。


巨体が揺れる。


その背後のリナが慌てて詠唱する。


「カイト!」


「はいはい」


空気が歪む。


リナの術式が一瞬乱れた。


そこへユウトの拘束補助が飛ぶ。


足が止まる。


「今だクロウ!」


言われなくても分かってる。


踏み込み、拳。


火球使いリナが場外まで吹き飛んだ。


「二人場外! 勝者、トライ・ブレイク!」


歓声が上がる。


「初戦勝ったぞ!」

「思ったより強え!」


俺は息を吐いた。


……ギリギリだった。


ユウトはその場にへたり込む。


「寿命縮んだ……」


「大げさだろ」


「補助三種同時使用したんだぞ!?」


カイトは欠伸した。


「疲れた。帰りたい」


「お前、全然疲れてねえだろ」


「精神的に」


意味が分からん。


だが――悪くなかった。


俺一人じゃ勝てなかった。


ユウトの補助。

カイトの崩し。

そして俺の拳。


まだ噛み合い切っていない。


それでも勝てた。


観客席の上から、エリシアがこちらを見ていた。


腕を組み、静かな顔で。


「……少しは形になってきたみたいね」


聞こえない距離なのに、そう言われた気がした。


俺は笑う。


まだ初戦だ。


ここから、もっと強くなる。

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