第8話 チーム結成!荒れる学内大会!?
「整列しろ!」
朝の訓練場に、ガイゼン教官 の怒声が響く。
一年体術クラス全員が集められていた。
「今日から一ヶ月、お前らには実戦リーグをやってもらう」
ざわつきが広がる。
「三人一組のスリーマンセル戦だ」
教官の背後には、大きな掲示板が立てられていた。
そこには日程表と点数表が貼られている。
「毎日、くじ引きで対戦相手を決める。勝てば加点、負ければ減点」
さらに教官は続けた。
「一ヶ月終了時、上位十チームで決勝トーナメント。そこから上位三チームは――」
一拍置く。
「国営武術大会 への参加資格を得る」
一気に空気が変わった。
「マジかよ!」
「一年から国営大会出られるのか!?」
俺も少しだけ目を見開いた。
国営大会。
各校、各地域の若手が集まる本戦。
そこへ行ければ、名門校連中とも戦える。
悪くない。
「チームは各自で組め」
……その一言で、空気がさらに変わった。
次の瞬間、生徒たちが一斉に動く。
「セイル、お前組もうぜ!」
「前衛足りねえ、来い!」
「回復役いるチームどこだ!?」
一瞬で勧誘合戦になった。
俺は腕を組んだまま周囲を見る。
……誰も来ない。
まあ、そうだろう。
昨日入学したばかり。
問題児扱い。
模擬戦では暴走気味。
使いづらいと思われて当然だ。
少し離れた場所では、エリシア・ノヴァ の周囲に人だかりができていた。
「エリシアさん! うち来てくれ!」
「戦術役いれば勝てる!」
本人は面倒そうな顔で全員を見ている。
その中から、長身の槍使いの女子と、大盾持ちの男子が前へ出た。
レナ。
ゴード。
二人ともクラス上位常連だ。
エリシアは少し考えたあと、頷いた。
「……合理的ね。組みましょう」
周囲がざわつく。
「うわ、優勝候補だろ」
「強すぎる……」
……さすがだな。
一方、俺はまだ一人だった。
「クロウ」
声をかけてきたのは ユウト・セルヴァ だった。
「まだ余ってんのか」
「うるせえ」
ユウトは笑う。
「心配して来てやったのに」
「……悪い」
「お、珍しい」
「茶化すな」
こいつは敵意がなくて話しやすい。
周囲を見る。
もうほとんどチームが決まりかけている。
このままだと、本当に余る。
「……おい」
「ん?」
「組んでくれ」
ユウトが少し目を丸くした。
「今、ちゃんと頼んだ?」
「二回言わせんな」
「いや、嬉しくて」
……調子狂うな。
「いいよ。俺、お前と組む」
「助かる」
「素直!」
うるさい。
「でも、二人じゃ出られない」
「分かってる」
「安心しろ。もう一人、目星つけてる」
ユウトはにやりと笑った。
「お前と相性いいやつ」
数分後。
訓練場の端から、小柄な男子が連れてこられた。
茶髪。眠そうな目。軽装。
どう見ても強そうには見えない。
カイト。
「こいつ?」
「失礼だな」
カイトはあくびしながら言った。
「俺、補助型。強化支援と崩し専門」
「崩し?」
「相手の体勢、呼吸、流れを乱す。前衛が殴りやすくする仕事」
ユウトが頷く。
「クロウが突っ込んで、カイトが通す。俺が全体見る」
……なるほど。
悪くない。
カイトは俺を見上げる。
「暴走しすぎなければ、かなり強いと思う」
「初対面で遠慮ねえな」
「みんな言ってる」
否定しづらい。
ガイゼン教官が名簿を確認する。
「チーム名を出せ」
「チーム名?」
ユウトが焦る。
「決めてねえ!」
俺は少し考えてから言った。
「お前が決めろ。こういうの得意そうだしな」
ユウトが固まる。
「……クロウ、お前今日優しくない?」
「早くしろ」
「照れ隠し雑!」
数秒悩んだあと、胸を張る。
「――トライ・ブレイク!」
「だせえ」
「ひどっ!?」
カイトが笑いをこらえていた。
その時、遠くからエリシアの視線を感じた。
彼女は腕を組み、こちらを見ていた。
「……変な組み合わせね」
「そっちこそ、強そうじゃねえか」
「当然よ」
少しだけ笑う。
負ける気はないらしい。
こっちも同じだ。
俺は新しくできた仲間二人を見る。
寄せ集め。
即席。
優勝候補でも何でもない。
だが――悪くない。
「行くぞ」
ユウトが笑う。
「どこへ?」
「上だよ」
一ヶ月後、この三人で全部ひっくり返してやる。
そう思った。
少なくとも、一人でいるよりずっとマシだった。




