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名門落ちの俺、二流実戦校で成り上がる  作者: ボンゴレ11代目


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第7話 夜の補習


日が沈み、校舎の明かりもまばらになった頃。


俺は訓練場の端で腕を組みながら待っていた。


「……遅え」


約束の時間をとっくに過ぎている。


やっぱり来ないのか。

そう思った時だった。


「人に教わる側が先に文句を言うの?」


背後から声。


振り向くと、エリシア・ノヴァ が立っていた。


昼間と違い、動きやすそうな簡素な訓練着姿だ。


「五分遅れだ」


「待たせる価値があるか見極めていたの」


「感じ悪いな」


「あなたほどじゃないわ」


いつもの調子だ。


だが、来たってことは付き合う気はあるらしい。


「で、何すりゃいい」


「まず、その態度を改めて」


「無理だな」


「知ってる」


エリシアはため息をつき、訓練場中央へ歩く。


「制御が低い人間は、力を出そうとしすぎる傾向がある」


「悪いかよ」


「悪いわ。蛇口全開で水を撒き散らしてるようなものだもの」


言い返せねえ。


「今日は出力禁止」


「は?」


「身体強化も最低限。速さも力も求めない」


「意味あんのか、それ」


「あるから来たのよ」


……確かに。


エリシアは地面に細い白線を引いた。


「この線の上を歩いて」


「それだけ?」


「それだけ。身体強化を使いながら」


舐めてるのかと思った。


だが、やってみると難しい。


強化しすぎれば身体が跳ねる。

弱すぎれば足がぶれる。


線から何度も外れるたび、エリシアの冷たい声が飛ぶ。


「雑」

「力みすぎ」

「今のは論外」


「うるせえな!」


「事実だから」


三十分後。


汗だくになった俺は、ようやく十歩連続で線上を歩けた。


「……できた」


「まだ最低ラインだけど」


「褒めろよ少しは」


「期待値が低いから難しいわね」


本当に嫌な女だ。


その時、訓練場の入口から拍手が聞こえた。


「へえ。居残り勉強とは感心だな」


現れたのは ユウト・セルヴァ だった。


パンをかじりながらにやにやしている。


「なんでいる」


「夜食のついでに見物」


「帰れ」


「ひどいなあ。友達だろ?」


「違う」


「違うわ」


また同時だった。


ユウトは腹を抱えて笑う。


「仲良し確定じゃん」


「殴るぞ」


「クロウ、今の状態で殴ったら線から落ちるよ?」


……こいつ、意外と察しがいい。


エリシアが腕を組む。


「で、何しに来たの?」


「情報提供」


急に真面目な顔になる。


「明日、体術クラスで編成試験やるらしい」


「編成試験?」


俺が聞くと、ユウトは頷いた。


「三人一組で課題達成。成績優秀組は教官推薦候補になる」


「へえ」


面白そうだ。


「ちなみに毎年、ここで揉める」


「なんでだよ」


「誰と組むかで当たり外れが大きいから」


それは確かに荒れそうだ。


ユウトは俺とエリシアを交互に見た。


「で、お前ら組むの?」


「組まないわ」


「組まねえ」


また同時だった。


数秒沈黙。


ユウトが吹き出す。


「息ぴったりすぎるだろ」


「黙れ」


「黙って」


エリシアは少しだけ目を細めた。


「でも……合理的に考えれば、あなたと組む価値はある」


「上からだな」


「事実よ。出力は高いもの」


俺は鼻で笑った。


「俺もお前の頭は使えると思ってる」


「言い方が気に入らないわね」


「お互い様だろ」


少しだけ、空気が緩む。


ユウトが手を挙げた。


「はいはい! そこに情報担当兼補助役の俺を入れれば完璧では?」


「却下」


「却下よ」


三度目の同時。


「なんで!?」


夜の訓練場に、ユウトの悲鳴が響いた。


……悪くない夜だった。


だが明日の試験次第で、この学校での立ち位置はまた変わる。


俺は拳を握る。


今度こそ、負けねえ。

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