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名門落ちの俺、二流実戦校で成り上がる  作者: ボンゴレ11代目


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第26話 消えた武器庫


大会中止から一夜明けた。


王都の朝は、昨日までとは別の街みたいだった。


屋台通りは静まり返り、観光客の姿も少ない。


通りには兵士が立ち、交差点ごとに検問が敷かれている。


大会旗だけが風に揺れていた。


まるで、終わった祭りの残骸だった。


---


「……気まずい朝だな」


ユウト・セルヴァ が窓の外を見ながら呟く。


「俺、こういう空気苦手」


「得意なやついるのか」


俺は装備を整える。


横で カイト が布団に埋もれたまま言った。


「今日は帰国命令待ち?」


「ここ王国だろ」


「じゃあ帰寮命令」


「起きろ」


---


## 追加情報


朝刊が届いた。


一面には大きく、


『大会全面中止』


『商業連邦代表学生、死者五名』


『各国緊急会談へ』


ユウトが顔をしかめる。


「五名って……昨日より増えてるじゃん」


「深夜に一人亡くなったらしい」


「笑えねえ……」


記事の下には、さらに小さな見出し。


『王国中央武装管理局、厳戒態勢』


俺はそこだけ気になった。


「武装管理局?」


カイトが半目で起き上がる。


「国の保管武器庫だよ。Bランク以上の管理とか、没収品とか」


「なんで今それが載るんだ?」


「さあ」


---


## 廊下の声


宿舎を出ると、廊下奥で大人たちが揉めていた。


王国兵士と、大会運営の役員らしい男たち。


「情報統制を優先しろ!」


「もう漏れている!」


「学生を先に避難させろ!」


「武器庫の件まで知られたら混乱が増す!」


俺たちは足を止めた。


兵士がこちらに気づき、怒鳴る。


「学生は部屋へ戻れ!」


ユウトが肩をすくめた。


「今の聞いた?」


「聞こえるように揉めてたな」


武器庫の件。


昨日の不審死と、関係あるのか。


---


## 王都中央区


昼前。


待機命令が出ていたが、じっとしていられず外へ出た。


中央区はさらに警備が厳しくなっていた。


馬車道には騎士団。


空には監視用の飛行魔具。


広場には群衆が集まり、噂話が飛び交っている。


「商業連邦が犯人を王国だって疑ってるらしい」


「いや、他国の工作だろ」


「武器庫から何か消えたって話だぞ」


「Aランク武器らしい」


俺たちは顔を見合わせた。


ユウトが小声で言う。


「Aランクって、レオの剣みたいなやつ?」


「同格だろうな」


カイトの眠気が完全に消えていた。


「それが本当なら、かなりまずい、これで2回目かも知れない」


---


## すれ違う影


その時、人混みの向こうに銀髪が見えた。


エリシア・ノヴァ だった。


一人で歩いている。


昨日までの大会用制服ではなく、動きやすい旅装。


「おい、エリシア!」


ユウトが呼ぶ。


彼女は立ち止まり、こちらを見る。


「何してる」


「それはこっちの台詞よ」


声はいつも通りだった。


だが目の奥に余裕はない。


俺は聞いた。


「どこ行く」


「少し調べたいことがあるだけ」


「事件か?」


「……祖国が関わっていないか、確認したいの」


短い沈黙。


ルミナ教皇国。


この混乱の中で、疑われてもおかしくない立場だった。


「一人で行くのか」


「誰かと群れる趣味はないわ」


そう言って歩き出す。


だが数歩進んだところで止まり、振り返らずに言った。


「昨日のことは忘れなさい」


控え室のことだと分かった。


返事をする前に、彼女は人混みへ消えた。


---


## 呼び出し


宿舎へ戻ると、入口で兵士が待っていた。


「クロウ・ヴァルツ。ユウト・セルヴァ。カイト」


三人まとめて名前を呼ばれる。


「……何したっけ俺」


「心当たり多そうだな」


兵士は真顔のまま告げた。


「王国治安局より出頭命令だ」


「は?」


「至急、同行してもらう」


ユウトが青ざめる。


「え、俺たち容疑者!?」


「違う」


兵士は一拍置いた。


「君たちは、昨日の会場で妙なものを見ていないか確認したいそうだ」



## 王国治安局


兵士に連れられて着いたのは、王都中央区にある石造りの官庁だった。


入口には重武装の衛兵。


廊下には慌ただしく走る役人たち。


昨日まで大会運営で賑わっていた街とは、まるで別世界だった。


「俺たち本当に何もしてないよな?」


ユウト・セルヴァ が小声で確認してくる。


「お前だけ少し怪しい」


「なんでだよ!」


横で カイト がぼそっと言う。


「騒がしいから」


「理不尽!」


---


## 事情聴取


通された部屋には、三人の役人がいた。


中央に座る初老の男が名乗る。


「王国治安局特務監察官、バルド・グレイン だ」


鋭い目だった。


机の上には地図、名簿、そして大会参加校一覧。


「君たちは昨日、中央大闘技場にいたな?」


「……いました」


俺が答える。


「不審な人物、奇妙な魔法、選手の異常行動。何か見ていないか」


三人で顔を見合わせる。


正直、レオの強さ以外は何も覚えていない。


ユウトが手を挙げた。


「観客席で焼き串落として泣いてたおじさんなら――」


「座れ」


「はい」


---


## 新事実


役人の一人が紙を差し出した。


そこには被害者の一覧と簡単な報告が書かれていた。


- 商業連邦代表 五名死亡

- 三名意識不明

- 全員に外傷なし

- 体内魔力枯渇

- 部屋の施錠破壊なし


さらに下段。


『王国中央武装管理局 第三保管庫よりAランク武装一基消失』


ユウトが声を失う。


「……本当に盗まれてたのか」


カイトが目を細めた。


「第三保管庫って、かなり奥だよ」


監察官バルドが頷く。


「内部構造を知らねば不可能だ」


つまり。


内部協力者がいるか、相当な手練れが動いたか。


---


## 何故、俺たちに?


「で、なんで俺たちなんですか」


俺は率直に聞いた。


監察官は少しだけ口元を上げる。


「君たちは無名だ」


「悪口ですか?」


ユウトが食いつく。


「違う。目立つ強豪校なら監視される。だが君たちは自由に動ける」


その言葉に、部屋が静まる。


「まさか……」


「協力してもらいたい」


バルドは机の上に王都地図を広げた。


赤い印が複数打たれている。


「被害者の移動経路。失踪者の目撃地点。盗難武装搬出の可能性ルート」


「学生にやらせることか?」


俺が睨む。


「本来なら違う」


監察官は即答した。


「だが今、兵も役人も足りん。各国対応で手一杯だ」


---


## 乱入者


その時、扉が乱暴に開いた。


銀髪。


エリシア・ノヴァ が立っていた。


「私も入れなさい」


役人たちがざわつく。


「許可なく――」


「ルミナ教皇国出身者として、この件に無関係ではいられない」


真っ直ぐな声だった。


監察官バルドは数秒見つめ、椅子を指した。


「座れ」


ユウトが小声で言う。


「強い」


「色んな意味でな」


---


## 火種の国


エリシアは資料を見て、眉をひそめた。


「商業連邦の学生だけが狙われた……見せしめの可能性もある」


「なぜ商業連邦だ?」


俺が聞く。


「物流、金、人脈。五大国で最も情報が流れる国よ」


カイトが頷いた。


「混乱させるには向いてる」


監察官が低く言う。


「さらに今朝、第二の失踪者が出た。王国民間人だ」


部屋の空気が凍る。


事件は終わっていない。


まだ進行中だ。


---


## 夜への依頼


バルドが立ち上がる。


「今夜、非公式に動く」


地図の一点を指す。


王都旧港湾区。


「闇市場と密輸業者の巣だ。盗難武装が流れるならまずここ」


俺を見る。


「クロウ・ヴァルツ。君は来るか?」


迷う理由はなかった。


「行く」


ユウトが慌てる。


「え、決断早っ!?」


「置いてくぞ」


「行く!」


カイトはため息をついた。


「寝不足確定か……」


エリシアが槍袋を担ぐ。


「案内してあげる。裏路地は詳しいわ」


「なんで詳しいんだよ」


「色々あるのよ」


聞かない方がよさそうだった。


---


## 開始


官庁を出る頃には、王都は夕闇に包まれていた。


昼間の喧騒は消え、代わりに不穏な静けさが広がっている。


遠くで鐘が鳴った。


祭りの終わりを告げる鐘ではない。


何かが始まる音だった。

今回もありがとうございました〜

明日予定があって投稿できるか分からないのでストックを先に公開しときました!

今後ともよろしくお願いいたします!

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