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名門落ちの俺、二流実戦校で成り上がる  作者: ボンゴレ11代目


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第15話 赤き牙との激突

上位十チーム決戦、一回戦。


第一訓練場は満員だった。


「初戦からレッドファングかよ」

「七位のトライ・ブレイク、終わったな」

「いや、あいつら最近強いぞ」


期待と嘲笑が入り混じる。


リング中央。


俺たち トライ・ブレイク と、レッドファング が向かい合う。


赤髪の大男、ガレス が笑った。


「よう、クロウ!」


「朝から騒がしいな」


「祭りみてえなもんだろ!」


隣では眼鏡の セイル が静かに観察している。


巨漢の ドグ は無言で拳を鳴らした。


嫌な三人だ。


「始め!」


---


## 開始直後、圧倒


踏み込んだのは俺だった。


だが、一歩目で分かった。


速い。


セイルの指示が飛ぶ。


「右二歩」


ドグが壁のように進路を塞ぐ。


避けた先に、ガレス。


拳が飛ぶ。


受けた腕が痺れた。


「っ……!」


重い。


ただ力が強いんじゃない。


体重移動、魔力の乗せ方、踏み込みの角度。


全部が噛み合っている。


「まだまだ!」


二発、三発。


押される。


俺が下がる。


観客席がざわついた。


「クロウが押されてる!」

「正面で勝負になってねえ!」


ユウトが補助を飛ばす。


脚部強化、反応補助、視界補助。


だがセイルが即座に妨害魔法を差し込む。


「補助術式、三秒遅延」


「うわ最悪!」


ユウトの額に汗が浮く。


ドグはその隙に前進。


カイトの崩しすら、力で踏み潰してくる。


「面倒な相手だね」


珍しくカイトが本気の声を出した。


---


## 追い詰められる


俺は再びガレスへ踏み込む。


拳と拳がぶつかる。


負ける。


押し返される。


腹へ膝。


肩へ肘。


一つ一つが重い。


「どうしたクロウ!」


ガレスが笑う。


「その程度か!」


腹立つ。


でも、事実だった。


今のままじゃ届かない。


「クロウ下がれ!」


ユウトが叫ぶ。


「一回立て直す!」


「黙ってろ!」


感情で前へ出る。


その瞬間、セイルの声。


「誘導成功」


床に張られていた拘束陣が起動した。


足が止まる。


「しまっ――」


ドグの突進。


吹き飛ばされた。


地面を転がる。


観客席がどよめく。


「終わったか!?」


---


## 逆転の流れ


立ち上がる。


血の味がする。


だが、頭は冷えた。


……熱くなりすぎた。


「ユウト」


「え?」


「指示出せ」


一瞬、驚いた顔をした。


すぐに笑う。


「了解!」


カイトも小さく息を吐く。


「やっとだ」


そこから流れが変わった。


「クロウ、左へ引け!」


従う。


ガレスの拳が空を切る。


「今、ドグの膝!」


カイトが崩す。


巨体が沈む。


「そこ!」


俺の拳がドグへ入る。


場外寸前まで吹き飛んだ。


「うおおお!」


歓声が上がる。


さらにユウトの補助で俺の速度が上がる。


二段踏み込み。


ガレスの横へ入る。


頬へ一撃。


初めて、ガレスの身体が揺れた。


「いいじゃねえか!」


笑いやがる。


だが押しているのはこっちだ。


観客席の空気が変わる。


「トライ・ブレイク逆転あるぞ!」

「クロウやべえ!」


---


## 初成功


息が荒い。


今しかない。


右腕へ魔力集中。


肩、肘、手首、拳。


今までより滑らかに流れる。


軋みが少ない。


……いける。


「クロウ!」


ユウトが気づく。


「今なら通る!」


俺は踏み込んだ。


普通の右ストレートを見せる。


途中で加速。


拳速が跳ね上がる。


軌道がぶれる。


初めて、形になった。


ガレスの目が開く。


「ほう――!」


だが、同時にガレスも踏み込んでいた。


右拳へ魔力を一点集中。


拳周りの空気が震える。


「俺も同じことを考えてたらしい!」


笑いながら言いやがる。


---


## 拳と拳


俺の未完成加速打撃。


ガレスの集中破砕拳。


真正面から衝突した。


轟音。


空気が弾ける。


床に亀裂が走る。


観客席が総立ちになった。


「うおおおおお!」

「なんだ今の!」


俺の拳は届いた。


確かに届いた。


だが――浅い。


技の完成度。


出力の乗せ方。


体幹。


経験。


全部、向こうが上だった。


衝突の次の瞬間、俺の体勢が崩れる。


そこへガレスの拳が胸へめり込んだ。


「っ……!」


息が全部抜ける。


身体が浮く。


そのまま場外へ吹き飛ばされた。


「勝者――レッドファング!」


歓声が爆発する。


---


## 敗北の価値


仰向けに倒れたまま、天井を見る。


負けた。


悔しい。


でも分かった。


届かないんじゃない。


今は、少し足りないだけだ。


ユウトが駆け寄る。


「あと少しだった……!」


目が赤い。


カイトも無言で立っていた。


珍しく真剣な顔だ。


ガレスが歩いてくる。


手を差し出した。


「クロウ」


「……なんだ」


「その拳、次はもっと重くなるな」


俺はその手を掴み、立ち上がる。


「次は倒す」


ガレスが豪快に笑う。


「それでこそだ!」


ガイゼン教官が腕を組んでいた。


「ようやく戦い方を覚え始めたな」


「遅え評価だ」


「これでも早い方だ」


負けた。


だが、終わっていない。


敗者側トーナメント。


残る出場枠は一つ。


俺は右拳を握る。


さっきの感触を忘れないように。


次は、この拳で道をこじ開ける。

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