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名門落ちの俺、二流実戦校で成り上がる  作者: ボンゴレ11代目


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第13話 泥臭い3連戦

月曜日、朝。


週末明けの第一訓練場は、いつも以上にざわついていた。


生徒たちの視線は一ヶ所に集まっている。


掲示板前だ。


「また休戦かよ」

「今週入ってもう二件目だぞ」

「エリシア隊、戦わず勝点稼いでるじゃねえか」


俺たち三人も人混みをかき分けて前へ出た。


掲示板には、その日の対戦表と順位表、そして休戦届けの提出状況まで張り出されている。


この実戦リーグでは、平日に毎日試合が組まれる。


だが、試合開始前までに休戦届けを出せば、その日は対戦回避が可能だ。


一週間に二回まで。


そして――


休戦を使われた側は、不戦勝扱いで勝利点を得る。


つまり、強豪相手に無理して負けるくらいなら休戦するチームも多いということだ。


「うまくできてるよな、この制度」


ユウト・セルヴァ が腕を組む。


「弱い側は減点を避けられる。強い側は勝点を取れる。学校側は怪我人も減る」


「戦場で撤退判断できるかも見てるんだろ」


俺が言うと、ユウトが少し驚いた顔をした。


「……たまに頭いいこと言うよな」


「殴るぞ」


横で カイト が欠伸する。


「朝から元気だね」


「お前が無さすぎるんだよ」


掲示板を見上げる。


今日の対戦表。


エリシア隊

ウルフハウル


横に赤印。


休戦届け提出済み


「また逃げられてるのか」


俺が鼻を鳴らすと、ユウトが肩をすくめた。


「実際、賢い判断だよ。あそこ相手に減点食らうより、別日に賭けたいだろ」


「つまんねえな」


「観客目線だとそうだけど」


一方で、強豪チームは戦わずして勝点を積む。


そして空いた時間で鍛えられる。


……かなり厄介な仕組みだ。


「俺たちは?」


カイトが聞く。


対戦表を下へ追う。


トライ・ブレイク

アイアン・クロウ


「名前被ってて腹立つ」


「向こうも思ってるかもよ」


「俺が先だ」


「いや、生まれ順知らないけど」


---


## 第一試合


相手チーム、アイアン・クロウは重装型だった。


前衛二人が金属籠手と胸当てで固め、後衛一人が土属性補助。


「押し潰し型だな」


ユウトが小声で言う。


「正面勝負すると削られる」


「なら横から殴る」


「思考が単純!」


開始と同時に相手前衛二人が突進してくる。


重い足音。


だが以前の俺なら、そこへ真正面から突っ込んでいた。


今は違う。


「クロウ、三歩待て!」


ユウトの声。


待つ。


一歩。二歩。三歩。


相手の踏み込みが深くなった瞬間、カイトが指を鳴らした。


土の足場がわずかに傾く。


重装二人の体勢が崩れる。


「今!」


速度補助が脚に走る。


俺は二段踏み込みで側面へ入り、脇腹へ拳を叩き込んだ。


鎧越しでも関係ない。


衝撃で一人が場外まで転がる。


「うおっ!?」

「またあの加速か!」


観客席が沸く。


二人目もカイトが足を乱し、俺が追撃。


残る後衛はユウトの拘束補助で止まり、試合終了。


「勝者、トライ・ブレイク!」


---


## 第二試合


昼前。


次の相手は魔法寄りのチームだった。


煙幕、拘束、水弾。


ひたすら嫌がらせのように距離を取ってくる。


「うざってえな……」


思わず口に出る。


「そう思わせるのが相手の勝ち筋だよ」


ユウトが冷静に言う。


「クロウ、今日は頭使え」


腹立つが、その通りだ。


煙幕の中で無闇に動けば囲まれる。


俺は踏み込みたい衝動を抑え、呼吸を整えた。


カイトがぼそりと呟く。


「左のやつ、詠唱癖ある」


「どんな」


「最後に肩が上がる」


数秒後、煙の奥で影の肩が動いた。


「そこだ!」


ユウトの逆妨害術が飛ぶ。


相手術式が乱れた瞬間、俺が飛び込む。


煙を割り、一人目を沈める。


残り二人は焦って距離を取る。


そこへカイトが重心崩し。


足が止まり、俺の拳が届く。


「勝者、トライ・ブレイク!」


二勝目。


---


## 昼休み


食堂。


前より明らかに周囲の視線が増えていた。


「クロウ、突っ込むだけじゃなくなってね?」

「ユウトの補助、地味に強い」

「カイトって何者なんだよ」


ユウトが嬉しそうにパンをかじる。


「人気チームじゃん俺たち」


「お前だけ浮かれてるな」


「嬉しくないの?」


「……少しだけ」


「今、少しだけって言った!」


うるさい。


カイトはスープを見つめていた。


「この芋、昨日より硬い」


「そこ気にしてたのかよ」


---


## 第三試合


午後。


相手は俊敏型。


軽装三人で、とにかく速い。


開始直後、俺の頬を蹴りが掠めた。


「ちっ……!」


「右から二人!」


ユウトの指示。


「左一人、軸足浅い」


カイトの補足。


二人の声が重なる。


身体が自然に動いた。


右へ牽制の踏み込み。


相手二人が反応する。


その瞬間、左へ切り返し。


一人目の懐へ拳。


さらに二段踏み込みで二人目へ接近。


「速っ――」


顎へ一撃。


最後の一人は逃げようとしたが、ユウトの拘束補助で止まり、カイトが転ばせる。


俺が決めた。


「勝者、トライ・ブレイク!」


三連勝。


観客席から拍手まで起こる。


---


## 暫定順位


試合後、掲示板を見る。


一位 エリシア隊

二位 レッドファング

三位 トライ・ブレイク


「三位だぞ!」


ユウトが本気で喜んでいる。


「まだ週の頭だろ」


「それでも三位だぞ!」


カイトが眠そうに言う。


「明日には落ちるかも」


「縁起悪い!」


その時、周囲のざわめきが割れた。


人が道を空ける。


エリシア・ノヴァ だった。


その後ろに レナ と ゴード 。


三人とも試合をしていないはずなのに、空気が違う。


特にレナ。


以前より姿勢が低く、槍の持ち方に無駄がない。


穂先が微動だにせず、こちらへ向いていた。


……前に戦った時より、明らかに強い。


「少しは見られる動きになったわね」


エリシアが言う。


「お前ら、試合してねえのに強くなってんのか」


「していないから、できることもあるの」


レナが一歩前に出る。


「次は前みたいに避けられない」


ゴードは盾を鳴らした。


低い音が響く。


ユウトが小声で呟く。


「……あれ、休んでるチームじゃなくて鍛えてるチームだな」


その通りだ。


勝ちながら成長している。


一番面倒な相手だ。


俺は拳を握った。


三位じゃ足りない。


あいつらを越えるなら、もっと上へ行くしかない。

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