22
家に到着。
段ボールは八個あったが車に乗ったのは二つだけ。流石に二つ同時に無理だ。一つで勘弁してください。
「おいおい、威厳はわかるが流石に持っていってやれよ」
「見つかったらやばい奴がいるんだよ。こいつに往復させるから」
ヴァイオレット嬢に見つかったら確かにめんどくさそうだ。
「じゃ、また明日」
サンディークスは帰っていった。
結局、危惧したことは起こらず往復。
帰宅。
「ルフスさん、これどうするんですか。明日トラックで持って帰ってきても、置く場所ないですけど」
「そうだな。もう書斎の本棚は既にいっぱいだ」
「捨てる……ってことはしなさそうですよね」
「そうだな。本に限っては捨てたことはないな」
ちょっと収集癖あるよね。
「まあ、奥の手がある。この部屋の左隣だが、ここも抑えてる。書庫として買った」
ド級の貴族的ワードいただきました。
家を、書庫として購入している……卒倒しそうだ。
「こっちが書庫の鍵だ。とりあえず開封はしなくていい。そのまま置いておけ。全部届いてから整理を頼む」
後で家の鍵か書庫の鍵かわかるようにしておこう……。
書庫を開ける。電気も通っている。
人気のない廊下を抜けて同じ間取り。リビングという名の書店。
窓にカーテンがしっかり閉められ、日焼けしないような対策はされている。
少し埃っぽいけれど、僕が買われる前にはある程度掃除されていたのだろう。言ってくれりゃここも掃除したのに。
とりあえず、箱を置く。
もう一つあるし、じっくり見るのはそれから。往復して、改めて。
やっぱり小難しいタイトルばかり。僕にはさっぱりわからない。
急いで直したのか、ちょっと直しきれてない一冊が目に入る。
気になって手に取る。
付箋まみれだ。
パラパラとめくる。
これがいわゆる旧ヴルク語?
タイトルは”儀式の作法”とある。
太い付箋が貼られたページの付箋に読める文字が。
『アコレードの祝詞に使う。どうせ意味は誰も知らないだろうから短縮する』
リアルなメモだな……。
下に翻訳がかかれている。
『この王の剣先を以って汝に祝福を与えん。中略。次なる高みを期待す』
結構真面目な意味だった。
でも、翻訳できるレベルで理解しているんだもんな……。
彼らは幼少期相当勉強していたんだろうな。
僕は本を元に戻して書庫を出た。
ほんの数歩の距離に見えた世界は少し異なっていた。




