表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フツメンに生まれたかった…  作者: 橘アカシ
テスト×眼鏡×弁当編
61/63

その破壊力たるや…






最後に付け足された言葉によって俺たちはどう反応すればいいのか、若干戸惑い気味だ。

すると岡倉は真っ赤だった頰を真っ白に染め、顔を歪めた。


「……やっぱり、旅行なんて、嫌だよね。ごめん、変な事、言って」


今にも泣き出しそうな岡倉に、青葉が慌ててフォローを入れる。


「嫌じゃないよ!!むしろすごく嬉しい!誘ってくれてありがとう岡倉くん!」


青葉の言葉に岡倉はぽかんとし、次第に表情を綻ばせ、花のように笑った。青葉はほっとため息を吐くと、「でも」と言葉を続ける。断られると思ったのか岡倉はさっと表情を硬ばらせた。……忙しい奴だな。美人はどんな表情でも綺麗なんだなっていうのを野郎で再発見してもなんも面白くないわ。


「お父さんがってどういう事?」


岡倉は「あっ」と口を開いた。やっと説明不足だという事に気づいたらしい。普段から口下手というか、口数が少ないというか。


しどろもどろな岡倉の話を要約するとこうだ。



カメラマンの岡倉父は多人数での撮影旅行を企画していたそうだ。

小島を丸々借り上げ、二泊三日を予定していたのだが、なんとアシスタントさんが日にちを間違えて、一ヶ月も早く予約を入れてしまったらしい。

気づいた時にはキャンセル不可。一ヶ月後でスケジュールを組んでいたため日にちの変更も不可。だからと言って、お金を払うだけ払って、何もなしというのはあまりにももったいない。そういえば雅人。最近、仲のいい友達が出来たんだろう。友達を誘って行ってきたらどうだと父に言われて、現場に至る。

父さんが言っていたというのも、あながち間違いではない。


日にちを間違えた割に夏休み真っ只中のくそ忙しい時に予約を取れたアシスタントさんは優秀なのかそうじゃないのか判断に困る。


しかし、そのアシスタントさんのおかげで俺たちは旅行に誘われているという訳だ。


「まあ!素敵ですわ!お友達と旅行なんて初めて!!」


「あたしも!岡倉くん、誘ってくれてありがとう!」


珍しく大野さんが青葉以外の事で屈託のない喜びを表現し、井上さんと手を合わせてはしゃいでいる。藤木さんもにこにこ笑っているため嬉しいのだろう。


「海……。一夏のアバンチュール……。青葉さんと二人きりで……。ふふ。ふふふ……」


うん。俺は何も言わない。てか、何も見ていない。何も聞こえない。美少女が虚ろな目をして妄想を口からだだ漏れにしているなんて現実にあるはずがない。


天野さんからそっと目を逸らすとじっと俺を見ている岡倉に気づいた。俺の返事を待っているらしい。


「何日?」


「あ!えっと、八月二日からの三日間だけど……」


不安そうに答える岡倉。こいつ、どんなけ自分に自信がないんだ?せっかく美形なんだからもっと堂々としてればいいのに。……いや、青葉を前にして自信喪失中の俺が言えることではないか。


だけどの続きを言われる前に俺は答えた。


「空けとく」


「僕も大丈夫!参加させてもらってもいいかな?」


「絶対に行きます!」


俺の言葉に続き青葉たちも次々に参加表明していく。


岡倉もみんなが喜んでいると分かるとふにゃりと口元を緩めて笑った。


「みんな、ありがと」


その笑顔の破壊力たるや。青葉しか眼中にない美少女たちが頰を染めて硬直し、天野さんすらちょっとびっくりして、岡倉に見入っている。


気の抜けたというのだろうか。どこか肩肘の張っていた岡倉は、懐いたと思ってもこっちが油断するとすぐに逃げていってしまう野生動物のようだった。

だけど、今回の事で、岡倉との距離がもう少しだけ縮まったのかもしれない。


なんて感慨深く思っていると、空気の読めない奴が待ったをかけた。


「おい!僕を無視するな!」


そういえば、こいつもいたんだっけ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ